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【読書メモ】『社会学史』(大澤真幸著)

本書を読むのは二度目です。初めて読んだのは2019年7月でして、難しくてよくわからん、、、という感想でした。その後に立教に入り、昨年の夏に社会構成主義を学ぶためにそれなりに読み込み、年が明けてからシンボリック相互作用論を理解しようと関連書籍を渉猟しました。大量のインプットが効いたのか(?)、今回は面白く読めました。「実況中継」的なノリの解説で一気に読めます。

社会学という学問分野は、哲学や自然科学などといった伝統的な学問領域と比較すると随分と新しいジャンルです。近代市民社会の誕生とともに生まれたと言われます。

こうした新しい領域である社会学について、著者は端的に「近代社会の自己意識の一つの表現」(Kindle No.12)と形容しています。自分自身という存在に対する意識を、私たちが獲得するに至るまでのプロセスを、本書では一つのストーリーとして描き出されています。

途中で、普通は社会学という分野の中の人物として描かれないフロイトが主要な存在の一人として登場します。その独創性ゆえに、レビューをいくつか見ていると批判的に捉えられていることもあるようです。

しかし、個人的には著者のストーリーには納得的です。近代社会とは、「社会」という名状し難いものがたしかに存在するものであり、私たち一人ひとりの集合としての無意識によって形成される側面があります。この無意識を提示したのはフロイトであり、フロイトから直接的にしろ間接的にしろ、後続する社会学者が影響を受けていることはあるのだろうと考えられるからです。

ざっと社会学の系譜を学びたい方や、また社会学関連の書籍を読み漁って整理したい方にオススメの一冊です。


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