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【論文レビュー】インドネシアでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Sulistiani et al. (2019)

Savickas & Porfeli (2012)の国際版キャリア・アダプタビリティ尺度は、インドネシアの現地語にも翻訳されています。本論文はその検証結果について報告しています。

Sulistiani, W., Retno Suminar, D., & Hendriani, W. (2019). The career adapt-abilities scale-Indonesian form: Psychometric properties and construct validity. Proceeding of the 4 th International Conference on Education.

インドネシアの文脈

冒頭ではインドネシアにおいてなぜキャリア・アダプタビリティ研究を行うのかが述べられています。インドネシアはアジアとオーストラリアの間に位置しており、集団主義的な文化だとされています。また多様な文化を持つ社会であることから、キャリア・アダプタビリティのような概念、すなわち学生から社会人への移行をはじめとしたトランジションへの対応に関連する概念は重要であり、そのために翻訳を行ったそうです。

国際版からインドネシア語への順翻訳と逆翻訳については手順を踏んで行われたことが説明されています。他方で、国際版の開発論文の著者たちには特に承諾を得ていないようです。

記述統計

インドネシアの大学生281名を対象とした調査を行い、4下位尺度・24設問での翻訳尺度について以下のような結果になったことをレポートしています。

p.4
p.5

特に関心と統制の二つの下位尺度について、天井効果があやしい設問がいくつかあります。上振れがすごいですね。

クロンバックのαの値はOKですので、信頼性については充分に検証されていると言えます。

モデル適合度

確認的因子分析の結果、適合度のスコアについてはRMSEA=0.6、GFI=0.87、AGFI=0.84となっていて、RMSEAは悪くないものの、GFIとAGFIは低いです。またCFIは「098」となっていて小数点の打ち忘れと思われます。大事なスコアの報告において誤植があるのはいただけません。

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