【徹底解説】キャリア構築理論とは何か?(13)構築と脱構築:Savickas(2013)
キャリア構築理論の徹底解説シリーズの第11回で、キャリア・カウンセリングに影響を与えるパラダイムの解説をしていた際に、construct、deconstruct、reconstruct、coconstruct、という4つの「construct」が続けられていることに言及しました。今回は最初の2つであるconstructとreconstructについて見ていきます。
Construction/構築
1つめの構築では、サビカス先生がキャリア構築理論を基にカウンセリングの現場で実践する手法として提唱するキャリアストーリー・インタビューでの5つの質問について解説しています。具体的には、①幼少期のロールモデル、②関心のある雑誌・テレビ番組・ウェブサイト、③好きな物語、④モットー、⑤幼少期の思い出、です。
これらの内容については『サビカス キャリア・カウンセリング理論』を解説した際に我ながら(?)詳細にまとめているので、以下をご覧いただければと思います。
Deconstruction/脱構築
キャリア・カウンセラーの役割は、インタビューを通じてクライエントが自身の生き方やキャリアについて物語を構築することを支援するだけに留まりません。人は、自身を語る際にはどうしても制約や見えない制限をかけて行うため脱構築を支援することが次に求められるとしています。
どのような点について脱構築するかが鍵になるわけですが、性別、人種、社会階級といった社会的な偏見を受けやすい領域で必要とされることが多いとサビカス先生はしています。こうした自分自身で制限してしまっている領域をオープンにすることで、クライエント自身だけでは辿り着けなかった新しい道を再構築する可能性が生まれます。
未来を決定するものではない
あくまでこれは可能性にすぎず、未来を決定するものではないという点に留意が必要です。キャリア構築理論は、物語を更新し続けることが重視されているので、ある時点での意思決定によって将来が決まるというような静的な捉え方はしません。物語ることは意味を見出すことであり、意味によって将来あり得る可能性を生み出すという考え方をとっています。
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