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【論文レビュー】イタリアでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Soresi et al.(2012)
本論文は、Savickas & Porfeliが開発したキャリア・アダプタビリティ尺度をイタリアで検証したものです。ここまでいくつかの国・地域での検証結果を見ましたが、ここまでで一番フィット感があるきれいな結果となっているように感じます。
Soresi, S., Nota, L., & Ferrari, L. (2012). Career Adapt-Abilities Scale-Italian Form: Psychometric properties and relationships to breadth of interests, quality of life, and perceived barriers. Journal of Vocational Behavior, 80(3), 705-711.
記述統計
収まりが良い感じと書いたのは以下の記述統計を見ての印象です。
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天井効果・床効果が懸念される設問は特にありません。また、四つの下位因子ともにクロンバックのアルファも問題ない内容です。4因子構造・24設問での確認的因子分析を行った上でのRMSEAおよびSRMRの数値もCAASの全体での数値より若干高い程度でOKな内容です。
収束的妥当性
イタリア語版では、平均17.38歳の学生を対象としていて、日本でいえば高校生に対して調査をしていると考えられます。そのため、教育を受ける上での障壁に関する外的障壁(external barrier)と内的障壁(internal barrier)や生活の質(quality of life)および興味の幅(breadth of interest)といった学生と関連する概念との間での収束的妥当性を検証しています。
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キャリア・アダプタビリティ全体および4つの下位尺度と4つの概念との相関は、上表の通り-0.32〜0.25となっています。これは、Cohen(1988)の0.30未満というガイドラインと概ね整合的であり収束的妥当性が検証されたと著者たちは結論づけています。
キャリア・アダプタビリティと学生生活
キャリア・アダプタビリティの高群、中群、低群の3つのタイプごとに比較しているのが以下の表です。
![](https://assets.st-note.com/img/1710661921073-FtpomZKYkc.png?width=800)
上述の相関関係から推測されることではあるもののキャリア・アダプタビリティが高い群では4つのいずれの概念でもポジティヴなスコアになっています。限られた紙幅でここまで丁寧に示唆出している本論文は個人的には好きです。
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