【ワイクを読む!(5/9)】自然淘汰と組織化:『組織化の社会心理学[第2版]』(カール・E・ワイク著)
本章では、組織化の過程が自然淘汰の過程をアナロジーとして語られます。組織化には四つの要素があるとして、①生態学的変化、②イナクトメント、③淘汰、④保持、が取り上げられています。
①生態学的変化(ecological change)
人や活動が関わる経験の流れの中には変化や違いが生じます。こうした変化をワイクは生態学的変化と呼び、組織にとっての意味形成(sense-making)の素材を提供するとしています。
②イナクトメント(enactment)
組織メンバーが環境を創造する上で果たしている積極的な役割をイナクトメントとワイクは呼んでいます。人をはじめとした有機体が外的な環境と直接的にやりとりをする過程です。
③淘汰(selection)
淘汰は、「イナクトされた多義的なディスプレーに多義性を削減しようとしてさまざまな構造をあてがうこと」(170頁)です。組織化という文脈における淘汰の過程は、「解釈のスキーマ(枠組)や特定の解釈の淘汰」(171頁)と言えます。
④保持(retention)
保持は、イナクトされた環境を貯めるプロセスです。①生態学的変化から②イナクトメント、②イナクトメントから③淘汰、③淘汰から④保持、へと影響し、後続するプロセスから先行するプロセスへのフィードバックループも存在することが提示されています。
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