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【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティがストレスや満足度に影響することを明らかにした縦断研究:Urbanaviciute et al.(2019)

本論文では、キャリア・アダプタビリティが将来のストレスや満足度に影響を与えることが縦断研究デザインによって明らかにされています。

Urbanaviciute, I., Udayar, S., & Rossier, J. (2019). Career adaptability and employee well-being over a two-year period: Investigating cross-lagged effects and their boundary conditions. Journal of Vocational Behavior, 111, 74-90.

交差遅延モデル

本研究ではT1(1時点目調査)とT2(2時点目調査)との間を2年間空けて、その間の変化を明らかにするという研究デザインをとっています。分析としては交差遅延モデルを用いてT1とT2での各変数の影響関係を明らかにしています。

Urbanaviciute et al.(2019)fig.1

見方としては、キャリア・アダプタビリティのT1(左上の丸印)から、右側の各T2の概念へ出ている矢印に着目いただければと思います。ざっくりな読み方としては、***(0.1%水準で有意)、**(1%水準で有意)、*(5%水準で有意)、というように「アスタリスク」がついていれば因果関係が推定できることが検証された、とご理解いただければ概ねOKです。

結果の読み解き

そのため、キャリア・アダプタビリティは、知覚されたストレスと負の関係があり、生活満足や職務満足とは正の関係がある、ということが明らかになったと解釈できます。

縦断調査ってそもそも大変なんですよね。それを2年間の時間差を空けた調査設計である本論文では、データの整理や分析の大変さがイメージできすぎて著者たちには頭が下がります。

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