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【読書メモ】『早わかり混合研究法』(ジョン・クレスウェル著、抱井尚子訳)

量的研究と質的研究のそれぞれの長所を組み合わせて行う研究法を混合研究法と言います。大学院の授業で学んだのですが、だいぶ忘れた(汗)ので入門系の書籍を読みました。混合研究法の考え方からプロセスまでが簡潔にまとまった良書です。

混合研究法の哲学的基盤はプラグマティズム

研究法には、明示的にせよ暗黙的にせよ、哲学や社会学といった思想的な基盤があります。たとえば、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)であれば、共著者のうちの一人であるストラウスはブルーマーのシンボリック相互作用論に依拠していると言えます。

混合研究法でもいくつかの基盤があるようで、本書によれば、主流なものの一つはプラグマティズムです。すごくざっくり言えば、経験と事実に基づいて現在と将来にとっての意味づけを生成するという考え方であり、質的も量的も手段として位置付けているのでしょう。

混合研究法デザインの三つの基本型

では量的研究と質的研究とをどのように混合させるのでしょうか。本書では、①収斂デザイン、②説明的順次デザイン、③探索的順次デザインという三つの基本型が提示されています。

①収斂デザイン(convergent design)
量的および質的データの収集と分析を別々に実施する。その目的は、量的・質的データ分析の結果を結合する(41頁)
②説明的順次デザイン(explanatory sequential design)
量的ストランドから始め、次にその結果を説明するための質的ストランド(※)を実施する(43頁)
※ストランド(strand)とは研究における量的または量的構成要素のこと(43頁)
③探索的順次デザイン(exploratory sequential design)
最初に質的データ収集・分析によって課題を探索し、次に測定尺度や介入の開発を行い、第3段階において量的調査によるフォローアップを実施する(44頁)

このように並べてみると、私がいま構想しているものは②説明的順次デザインに該当しそうだなぁと理解できました。実際的な研究を想定しながら読み進めると非常に参考になる一冊です。


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