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【読書メモ】確認的因子分析や構造方程式モデリングにつながる潜在変数モデル:『心を測る 現代の心理測定における諸問題』(デニー・ボースブーム著)

あるアンケートに答える場面を想像してください。ある四つの質問項目に対して五件法で「2、2、3、3」と回答したとしたら、これらは目で見て観測できるものなので観測変数と呼びます。他方で、それらの項目が一つの因子で括られるとした場合、その因子は客観的には観測できないものなので潜在変数と呼ばれます。このような潜在変数理論を扱っているのが本書の3章です。

確認的因子分析

潜在変数モデルによって生み出された心理統計の手法にはいくつかあり、その中の代表的なものの一つに確認的因子分析があります。確認的因子分析については、ビジネスリサーチラボの能登さんのコラムが非常にわかりやすいのでそちらをご参照ください。

構造方程式モデリング(SEM)

同様に、構造方程式モデリング(SEM)も潜在変数モデルから生み出された手法の一つです。小塩先生の入門書をまとめた際に、観測変数と潜在変数についても触れたので、よろしければご笑覧ください。

属性を配置した点が画期的

先日取り上げた古典的テスト理論では、測定される属性が適切に表現されずに曖昧であるという点が最も大きな課題の一つでした。それに対して、潜在変数理論ではモデルを定式化する上で属性を明示的に表現することを行っている点が大きな特徴だと著者はしています。

個人の内部や個人間において属性が異なれば観察される結果についても差異が生じる、という関係性を明らかにできるという点は、SEMの図を見てもわかるように視覚的にわかりやすいというメリットを生んでいると言えそうです。


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