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【論文レビュー】ジョブ・クラフティング研究の見取り図。:Zhang & Parker(2019)

論文を書かねばならない学生にとってありがたい論文は優れたレビュー論文です。自身が渉猟してきたもののどこに不足があるかを確認でき、いそいそと次の論文に取り掛かることができるためです。本論文は、ジョブ・クラフティング(以下JC)の比較的新しいレビュー論文であり、JCという概念のタイプ分けと、JCに影響を与える概念とJCが影響を与えている概念との全体像が描かれた優れものです。

Zhang, F., & Parker, S. K. (2019). Reorienting job crafting research- A hierarchical structure of job crafting concepts and integrative review. Journal of organizational behavior, 40(2), 126-146.

JCという同じ概念を用いていても、オリジナルとされるWrzesniewski & Dutton (2001)およびそれに影響を受けたものと、JD-Rモデル(Job Demands-Resources model)とそれに影響を受けた群とに分かれます。詳しくは以下の高尾先生の論文に詳しいので気になる方はそちらを見ていただくとして、本論文はこの二つの流派を整理しようとしています。

論文内にある図が網羅的なのですが、少々わかりづらいので、私が加筆したものを以下に掲載します。逆効果になっていたらごめんなさい。。

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上の図を見ていただくと八つのタイプに分かれていることがわかるかと思います。その峻別の内容を黄・青・緑の三つの蛍光ペンで表してみました。

まず黄色のペンで分けているのは行動認知かという軸です。Wrzesniewski & Dutton (2001)で言えば、タスク・関係性が行動に当たり、認知はそのまま後者に該当します。青ペンは職務を遂行するための資源職務に対する要望かを表す軸で、緑ペンはプラスを取りに行くマイナスを避けるかを表します。

図の最下段に測定尺度の欄があります。尺度がゼロあるいは一つしかないものは除き(他の概念との関連性が見出せないので)、三つに絞って関連する他の概念を列挙しているものが下図です。

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細かくてよくわからないかもですが、何に影響するのか、何から影響を受けているのかを確認するためのチェックリストとしては優れものです。

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