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【読書メモ】『実践アクションリサーチ』(デイビッド・コフラン/テレサ・ブラニック著)

先日、立教にて、中原研のメンバーを中心とした『実践アクションリサーチ』の読書会に参加してきました。齊藤さん、東南さん、加藤さん、参加者の皆様、ありがとうございました!

アクションリサーチをざっくりと言えば、働くことで企業組織の課題解決を行い、研究することで社会にとって意義のある知見を生み出す、といういいとこ取りの取り組みと言えます。以下では、私が担当した第4章「内部者アクションリサーチ・プロジェクトを構築・選択する」についてまとめてみます。

プロジェクトを始める際のポイント

アクションリサーチとして取り組むプロジェクトは、客観的に決められるものではありません。というのも、業務の中での優先順位で自動的に決まるのではなくリサーチを行う主体者のコミットメントと、それを基に関係者を巻き込んで各メンバーの多様な認識を認めつつ整合させるというプロセスを経て決まるためです。

また、一度決めたからといってもう変更しない!ということはありません。アクションリサーチのプロジェクトは、解釈と再解釈の展開によって変化するプロセスによって形成されると考えるべきでしょう。プロジェクトの最初の段階では課題を決めつけることにはリスクがあると言えます。

プロジェクト計画の策定

アクションリサーチのプロジェクト計画書は、リサーチを主導する人物の決意表明と言えます。詳細は以下にまとめていますが、①コンテクスト、②アクション、③研究、④内部プロセスについて検討して記載するべきであると著者は述べています。

アクションリサーチの発展的継続

外部の研究者と内部の実務家による分業型の通常のリサーチでは始まりと終わりが厳密に定義されています。実務家はデータを研究者に提供し、研究者が最後に論文にまとめて終了するというプロセスでしょう。

しかし、アクションリサーチにおける研究者は、そのプロジェクトが終わってもその組織での業務を継続することが特徴的です。したがって、プロジェクトの過程においてもその後においても良好な協働関係を築き続けることが重要です。それによって、リサーチという観点では新たな研究に繋がり、プロジェクトの過程で見つかった新たな課題に対して継続的な改善活動をその後に行うことも可能となるかもしれません。


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