【論文レビュー】資源保存理論とキャリア・アダプタビリティ:Amarnani et al.(2020)
本論文の研究デザインは複雑なのですが、パッション、疲労感、パフォーマンス、キャリア・アダプタビリティといったものが相互に関係しますよ、ということを考察しています。と書かれてもよくわからないと思いますので、全体像を提示します。
全体像
本論文の仮説は少々複雑です。以下の仮説が全て検証されたというのが結論です。
ざっと箇条書きすると以下のような感じです。
脅迫的情熱(Obsessive Passion)が感情的疲労(Emotional Exhaustion)を媒介して(正の相関)、役割内パフォーマンスに影響する(負の相関)
調和的情熱が感情的疲労を媒介して(負の相関)、役割内パフォーマンスに影響する(負の相関)
キャリア・アダプタビリティが、脅迫的情熱から感情的疲労への関係および感情的疲労から役割内パフォーマンスへの関係を調整する
COR理論
本論文での仮説のベースとなっているのは資源保存理論(Conservation of Resources Theory)であると著者たちは述べています。この理論、2年ほど前に参加した勉強会で東大の池田先生が発表されておられ、その内容を中原研OBの関根さんがブログにまとめているので知りたい方は以下をご参照ください。
もう少し知りたいよ、という方は、立教LDC修了生の石黒さんがnoteで端的にまとめておられるのでそちらをお読みいただければと思います。
資源保存理論の提唱者はStevan E. Hobfollという方で、以前はサビカス先生もいらっしゃるケント州立大学で教鞭を取られていたようです。両者は年齢も近いので交流があったのかもしれません。
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