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【論文レビュー】自己効力感の測り方:成田ほか(1995)

自己効力感について、個人の行動に影響するものとして生涯発達的な観点から尺度開発したものに、特性的自己効力感尺度があります。この尺度にはいくつかあり、本論文では、Sherer et al.(1982)の23の質問項目を尺度翻訳しています。

成田健一, 下仲順子, 中里克治, 河合千恵子, 佐藤眞一, & 長田由紀子. (1995). 特性的自己効力感尺度の検討 生涯発達的利用の可能性を探る. 教育心理学研究, 43(3), 306-314.

元論文との相違

Sherer et al.(1982)での23の質問項目を翻訳したものが以下の質問項目です。元論文では二因子構造だったものの、本論文での和文尺度では一因子構造であることが検証され、この点は大きな違いと言えるでしょう。

p.310

一因子構造の検証を目的とした確認的因子分析を行った形跡はありません。しかし、一因子構造でクロンバックのα係数が.80以上(.88)になっていて内的一貫性があることから、信頼性が検証されたと判断されています。

p.310

妥当性の検証

上表では、クロンバックαの数値とともに、構成概念妥当性を検証するための他の概念との相関係数も明らかになっています。全て有意な相関関係があることが検証され、抑うつ傾向(CES-D)、自尊感情(R-SE)、性役割(BSRI-M)の三つとの関係は強い関係と言えます。

主観的健康観の絶対評価(Absolute)と客観評価(Relative)との間とは弱い相関関係であるものの、有意な相関関係と言えることから妥当性の検証上での問題はないと判断されています。

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