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【論文レビュー】キャリア形成のプロセスと転職及び就職活動との関連:労働政策研究・研修機構(2021)

労働政策研究・研修機構さんの調査シリーズを引き続き読んでます。本章には、学卒後の初職の就職活動やその後の転職について興味深いデータが載っています。

労働政策研究・研修機構(2021). 就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識. 調査シリーズ. No. 208.

人はどのくらい転職するのか?

ジョブ・ホッパーと揶揄されることの多い私としては、人さまがどのくらい転職しているのか、という点は気になるところです。本章ではそうした私の疑問にもしっかりと答えてくれるデータがあります。

p.119

面白いと思ったのは、転職をしたことがある人は、1回でとどまらずに2回行う人が多い、という点です。一回転職をすると味をしめてしまう、ということでしょうか。個人的には転職そのものというよりも、転職に伴う「夏休み」的な有休消化の魅力は何物にも変えがたいと思ってはいます。笑

意外に思ったのは、私の転職回数(5回)というのはあながち異様に多いということではないのかもしれないという点です。解釈の問題もあるかもしれませんが、少なくともヒストグラムを見ている限りでは、5回まではそれなりに頻出していて、6回以上となると途端に減ってくるというようにも読み取れます。

新卒時の就職活動満足度が大事!?

本章のハイライトは、新卒時の就職活動の満足度がその後の年収にどのように関連するか、を可視化した以下のグラフです。

p.127

これは、見ようによってはなかなかエグいデータです。新卒時に希望通りの組織に就職したという人は、その後の年収の推移が高くなっています。なんとなくの感覚値とも合いますが、数値の差を見てみるとなかなか大きな年収者になっていてなんだかなーという気もします。

組織コミットメントの年代変化

年収と同様に、初職の就職活動満足度がその後の組織コミットメントにどのように関連しているかも見ています。

p.132

概ね違和感はないものの、不採用だった層の30代以降の右肩下がり感がなかなかすごいものがあります。ただ、この層はNが100を切っているので額面通りに受け取ることは留意が必要かもしれません。

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