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老けて見えないためにできること

 
こんにちは、産婦人科医の高尾美穂です。
 
私は、女性誌で、読者の皆さんがお寄せいただいた悩みにお答えをするというような連載を毎月担当させていただいております。

今日はそちらにいただいたご相談を紹介しながら考える時間を作りたいと思います。

どんなご相談だったかと言いますと、40代の前半女性、小学校、中学校に入るかなぐらいのお子さん二人をお育てになっている歯医者さんからのご相談でした。
 
一番のご相談内容としては、どんどん老けていっている。
 
自分の生活を見返してみても、特に運動習慣はなく、そして歯医者さんという仕事柄、背中を丸めるような姿勢が多く、子育ても大変。
 
そして、趣味と言ったら、アフタヌーンティに行く事というような。
 
おそらくお医者さんの空いている時間は、ぴったりランチタイムではなく、診療と診療の合間の時間ということになると思います。
 
ランチタイムよりは少し遅めのアイドルタイムのような時間帯が、お昼休憩になるような時間帯で、それがアフタヌーンティに当たるような時間帯なのだろうと理解したのですが、そんな時間にお茶を飲んだり、書いてはなかったですが、ケーキやマドレーヌを食べたりなどというのがあるのではないかと思います。
 
それが楽しみの一つで、そして子供が寝た後は、お家で漫画を読むのがストレス発散になる。
 
そして、実際には体つきが、どんどん老けていってしまうのが嫌だというようなご相談だったのですが、この老けて見えるという状態は、言ってしまえば、これから先、私たちの誰にでも起こります。
 
”老け見え”という言葉があるのか、ないのかは定かではありませんが、以前、日経ウーマンという、日経から月1回発売されている働く女性を応援するような雑誌で、ライフステージ別の女性の健康についてのまとめのような特集を巻頭で組んでいただいた際、50代に入ると老け見えで困っている、悩んでいるという女性がとても多いというアンケート結果が得られていました。
 
そして、その内容で多く見られた答えが、白髪でした。
やはりこれが、一番分かりやすい老け見えなのだと思うのですが、それ以外に気になってくるのが、体型の崩れでしょうか。この辺もおそらく老けて見えてしまうことに繋がるのだろうと思います。
 
そして、今回Martでご相談いただいた方は、40代前半だったのですが、もうすでに老け始めていると。
 
その年代で、すでに自身で感じているということは、今のままの生活習慣を続けていると必ず老けていってしまうといえると思います。
 
老けて見えてしまう原因として、アンケートで一番に上がっている白髪、これはその通りだろうと思います。
 
ただ私は、白髪よりも、老けて見えることを招いてしまうのは、“姿勢”ではないかと思っています。
 

姿勢の悪さは”老け見え”を招く


背中が丸まってくると、背中の筋肉を使わない日常になりますので、背中にお肉がついてきてしまいます。
 
輪浮き輪のように独立した状態ではなく、背中から腰にかけて全体的にお肉が乗るという状態になっていってしまうわけです。
 
しかもそれが背中がちょっと丸まった状態であれば、さらに老けて見えてしまいます。
 
よく”オバサン体型”と表現されるような状態になっているわけです。
 
このような体型の変化はいつ頃から始まるのかということを考えてみたことがなかったのですが、今回ご相談をいただいて初めて、40代前半の方でもご自身で気になり始めている方がいるということを知りました。
 
このままだと、間違いなく体型の変化が進んでいきます。
 
そして、40前半だけれどもということに気が付いていただきたいと思いました。
 
しかし、この姿勢というのは、毎日もしくは毎分、毎秒、意識をしていないと良い姿勢というのは保てないわけで、気が付くと自分の楽な姿勢になっているというのが日常の常だと思います。
 
なので例えば、椅子に座ってお仕事をする方や、日常生活の多くを椅子に座って過ごす方であれば、背もたれに持たれる姿勢が楽なわけですが、そうなると、骨盤が後傾して、お腹の筋肉は使わず、背中がちょっと丸まっている姿勢がデフォルトになってしまいます。
 
そして当然ですが、この姿勢で過ごす時間が長ければ長いほど、それが当たり前の姿勢になってしまい、背中が丸まってしまったり、背中やおなかの筋肉も使わず、お肉がつきやすくなるということに繋がります。
 
単に背中が丸いだけではなく、その上に亀の甲羅みたいに背中のお肉が乗っかっていくというように、どんどん悪い循環としてぐるぐる回ってしまうということだと思います。
 
白髪というのは、いまだにはっきりとした原因や根本的な対策が言い切れない時代なのだそうです。
 
なので、白髪にならずに済むというのは正直難しいのかもしれません。
 
白髪染めなどをされている方も多いのではないかとは思いますが、これは避けられるか、避けられないかで言うと、避けられないことに入るわけです。
 
しかし、姿勢が悪くなったり、背中にお肉が乗っかることによってより老けて見えるという状態は避けられるか、避けられないかで言ったら、避けられることだったりするわけです。
 
今回ご相談を頂いた40代前半という、私より若い女性が老けて見え始めていることがご自身で気になっている、つまり、私より若い人たちが老け始めているという社会だという意味だと思います。


若くして老け見えが始まる社会

 
私自身が、自分のこと老けてきていると感じているかと言うと、もちろん白髪は増えていますし、顔のシワが以前よりは増えたとか、あとは”あれ”とか”あれのあれ”とか、物の名前や、芸能人の方の名前などが出て来ないなど、言葉が遅くなったなという感覚はあります。
 
しかし、皆さんから見てどうなのかは、今回は別として、それ以外に対して老けてきていると感じるかというと、自分では感じていません。
 
なので、すでにそう思い始めているという状態を、どうにか変えるとしたら、変えられることを変えていくということだと思います。
 
白髪になるということを100%避けるのは、今の時点では科学的に難しいので、もし黒い髪の毛で過ごしたいということであれば、こまめに白髪染めをすることが必要になるのかもしれませんが、伸びてくる髪の毛の根本が白髪の状態を見せないということ自体は難しいと思いますので、この白髪に関しては多くの方がいずれは諦める時点が来るのではないかと思います。
 
それ以外に例えば、お肌のことであれば、くすみ、シミ、たるみなど気になる部分が特に女性の場合はお顔などにあったりするとは思いますが、その辺に関しても、いいシワの入り方であれば柔和な表情というように、前向きな捉え方ができるぐらいのものでもあると思います。
 
シミとかは、無い方がいいのかもしれないですけれども、それも私みたいに昔、よく海に行っていたというような場合は無理な話なわけで、これはこれでしょうがないかなと思ったりもします。
 
この先、例えばレーザーなどで無くしていただけるような技術がもっと進化すれば、いずれは私もピッカピカのお肌になるかなと期待をしたりもしていますけれども、とりあえず今の時点ではしょうがないかなと思っています。
 
 
日経WOMANが取ってくださったアンケートから分かることは、老けて見える理由をご自身で分かっているということ。
 
そしてそれを、ざっくり分けてみると、髪の毛、顔、そして姿勢に分かれるということです。
 
この姿勢に関しては、間違いなく変えられるところです。
 
これが例えば円背、亀背のように、漫画で描かれているような、背中が曲がったおばあさんのように、背骨自体が完全に曲がってしまった状態、もうすでに変形してしまっている状態になってしまったら、ここから姿勢を変えることは難しいです。
 
しかし、姿勢が悪い、体型が崩れてきているというような変化は意識すれば、まだ変えられる状態です。
背中の筋肉をしっかり使う、背中の筋肉をしっかり使ったら、おそらくお腹の筋肉も使わなくてはいけなくなります。
 
良い姿勢を維持するには、立位の生活を維持するためには、動体を後ろからと前から挟み込むような意識というものが必要になってきます。

そうなると知らないうちに抗重力筋、体が前に倒れ込まないような形で深層筋、体の奥深くの筋肉が使われているという状態が続き、その筋肉がいつも働けるような状態で準備されているのでいい姿勢をキープできるということになるわけです。
 
私も、ものすごく姿勢がいいかと言われたら、もちろんそんなことはなく、普段はちょっとだけ猫背だということも自分でも分かってますし、顎ももう少し押し込んだ方がいいだろうなと思ったりもします。
 
ただ、皆さんのお話を聞くのが大事な仕事のひとつで、その時は気持ちだけじゃなく、身体も前のめりになってる方がお話もしてくださりやすいのかなと思ったりします。
 
だからこそ、少し前のめりな姿勢になってるのかもしれません。
 
しかし、自分が良い姿勢を取ろうと思ったときには、しっかり肩甲骨を寄せて背中の筋肉を使ってみたいなそんな意識を持つよう努力をしていたりもします。
 
私たちの社会は、とても便利ということもあり、意識しなければあまり歩かずに済む日があったり、自身の手足で一生懸命動かなくても一日過ごしていけてしまう日もあると思います。


できることを粛々と、できない日があってもいい


 
そう考えると、何かしら自分で、思い切って、よし頑張るぞと、重い腰を上げない限り、これから先もどんどん老け続けていってしまうという状況は変えられないのかもしれません。
 
 姿勢を良く保つための努力をするとしたら、例えば、漫画を読むときに足元でステッパーを踏みながら漫画を読むとか、家の中で自転車をこぎながら漫画を読むなんていかがでしょうか。
 
あまり現実的ではないかもしれないですが、本当にこれぐらいしないとこれから先どんどん筋肉量が減っていき、姿勢も悪くなり、そして自分が望んでいないのに老けて見えていってしまうという状態は変えることができないと思った方がいいのかもしれません。
 
しかし、なかなか意識しないと、運動ってしないですよね。
 ぐるぐる体操を、皆さんにご提案したくなってしまったぐらいです。
 
そのぐらい体の色々なところを動かそうと思っても、なかなか動かせない。だから大きく動かせる肩関節と股関節を動かそうみたいな、ぐるぐる体操はそんなご提案です。
 
社会が、どんどん便利になっていく中で、体を動かさずに済む時代になってきてしまっています。

そのことを念頭に置き、その上で極端なアンチエイジングというよりも、このぐらいまではよし!みたいなそういった自分なりの線引きを作って、できることから始めていく。

そしてそんなに厳しく決めることなく、できることを続けていく。
できれば粛々と、というのが望ましいのではないかなんて思っています。
 
今日は、耳が痛いと感じる方もいらっしゃったかもしれません。
でも、年齢が高くなっていっても、シャキッとされてる方って本当に素敵じゃないですか?
 
色んな方に出会って、私にはこういう年齢の重ね方って素敵だなと感じる先輩方がおられます。
 
それは、単に若いということが価値などという表現とは全く土壌の違う話になってくるんだなということを感じます。
 
積み重ねたもの自体がその方の価値で、しかもそういう方になりたいと思うきっかけになります。
 
そう思った時に、憧れになる方というのは、間違いなく日々の努力を続けているということだと思います。
 
白髪やシワのように、しょうがないと、前向きに諦める部分もあってもいいと思いますが、姿勢や体型の変化など諦める必要がない部分。

自分の努力によって大きく変わる部分は、できれば自分が望む姿勢や、見た目で過ごしていけたらなんて思い、お話をさせていただきました。
 
なかなか難しい部分もありますけれども、できることがあるとなると、たいてい目の前はパーッと開けるものだと思います。
 
自分なりにできることというのを是非見つけていただき、忘れてしまうことがあってもそれでもいい、思い出した時にもう一回やってみようというような感じで改めてスタートする。
 
そういう考え方を持つのもありなのではないかと思っております。


皆さんからの温かいサポートはすべて「保護ねこ活動の支援」に使わせて頂きます。 いつもご声援有難うございます。