どんな挨拶が好ましいかな?
こんにちは産婦人科医の高尾美穂です。
今回はこちらの質問について考えてみたいと思います。
「高尾先生こんにちは。
早速ですが、恥ずかしながら挨拶の仕方が難しく、分からなくなってしまいました。
私は40代の主婦です。
田舎の近所付き合いの濃い土地で生まれ育ちました。
会えば必ず挨拶を交わし、ほんのわずか立ち話したりする風習のある所で気にかけてくださる反面、入り込まれすぎることもあります。
現在の環境は、その真逆で挨拶どころか目も合わせない。
それはそれであっさりしていて、慣れてしまっていたのですが、すれ違っても挨拶もかわさない感じ悪い我が子を見て、私の背中を見て育ったからかと反省しています。
このままでは駄目だなと思っても、場の雰囲気もあり、顔見知りでもあえて深入りしない暗黙の了解的な心地よさもあり、せめて感じの良い人であるよう変えていきたいのですが、今更どんな風にしたら良いかと分からなくなり、悩んでおります。
先生の住む街はどんな雰囲気で、挨拶などエレベーターやゴミ集積場などでのご挨拶はどうなさっていますか。
どんなことに心配りなさっていますか。」
今回いただいた内容は、すごく気持ちがわかります。
昔は、あまり深く関わっていないけれど、顔を見たことあるかなぐらいの人と、自転車で行き交う時にですら軽い会釈をしていましたよね。
しかし、私も東京にやってきて、当たり前のように通勤する中で、毎日多くの方とすれ違いますが、まず今の時代6割〜7割ぐらいの方がスマホを見ています。
つまり、下を向いた状態で前に進んでいるというこわい状態なのですが、それがすっかり日常になっていますよね。
私はいつも自転車で移動していますが、最近は一生懸命こがなくても前に進む、バッテリーのついた自転車が増えてきて、そういった自転車に結構追い越されますが、この自転車のスピードがとても早い。
例えば、お子さんを送っていくお母さんが自転車に乗っている場合、お子さんを前に1人、後ろに1人乗せて、レインカバーを付けてというような状態の方に、凄い勢いで追い越されるということも多々あります。
そういう状況に遭遇すると、自分ひとりが、本当に全く知らない人たちの中で過ごしているような気持ちになる方も少なくないと思います。
日常でのシーン
そんな中で、生活で実際に接するシーンとして、私が嫌だなと感じるシーンについて少しご紹介させてもらいたいと思います。
私の住むマンションには、自転車置き場が別にあり、自転車置き場用のエレベーターがあります。2階と3階に自転車置き場があり、そして1階に降りるという面倒な構造になっております。
ですので、普段は自宅から自転車置き場まで降りて、そこで自転車をピックアップして、自転車用のエレベーターに乗って1階に下りるわけです。
この方法で家の外に出なくてはいけないのですが、割と出勤の時間や、幼稚園へ送る時間に重なリます。
自転車用のエレベーターは、普通の自転車をギリギリ2台乗せることができるほどの大きさです。
しかし、サイズの大きい電動自転車だと1台しか乗せることができません。
私が2階でエレベーターに乗りたいと思い、下に降りるためのボタンを押して待っている際に、3階でも同じ様にエレベーターを待っている人がいるという状況がよくあります。
この場合、エレベーターは一度3階へ行き、そこで待っている人が乗り、私の待つ2階で止まります。
その際、以前は多くの方が詰めてスペースを作り、もう一台乗せてくれようとしていました。
しかし、コロナという状況になり、お互いに密になることを避けるようになってからは、先に誰かが乗っていたら乗らない、自転車を2台乗せるということはあまりない状況になっています。
このような背景はありますが、先に3階から乗った方がいて、2階で私がエレベーターを止めてしまったというシチュエーション。
詰めれば乗れそうだなという状況で、先に乗られていた方が振り返りもせずに、閉めるのボタンを押す。
これはあまり気分が良くないなと感じました。
おそらく急いでいらっしゃった、あまり余裕がなかったのだと思いますが、振り返りもせず、閉めるのボタンを押すという行動は、朝から相手の気持ちをモヤモヤさせてしまう事だなと感じました。
私は自宅を出る際は、降りてくるエレベーターを待つ方なので、先に乗っているというシーンに出会うことはありませんが、帰宅時に、1階からエレベーターに乗る時、後ろに誰か並んでいらっしゃる際には、もしかしたら急いでいるかもしれないと思い、乗られますかと私は一声おかけするようにしています。
このコロナの状況もあり、最近はお先にどうぞというような感じで終わることが多いです。
ほんの少しの挨拶で変わること
しかし、例えばこういったシーンで、ちょっとした会釈、もしくはすみませんのような一言があると、お互い気持ちよく過ごせるのではないかと思います。
いずれにしても、ただすれ違うだけでも挨拶をしていたような時代から、お互いの時間があったとしても挨拶をしないような時代になってきておりますので、あえて無理に挨拶しなくてはとは思いません。
しかし、挨拶をしたいなと思っているのであれば、まずは軽く頭を下げることから始めるのはいかがでしょうか。
今回書いてくださっていますが、目を合わせない人の方が今は多いと思います。
それでも、すれ違うタイミングで相手に頭を下げられているなというような感覚はきっとわかるはずです。
それが何回も繰り返されるようであれば、相手の方もさすがに頭を上げて、少し目線を下げて見えるぐらいの感じですれ違っていくようになると思います。
最終的には、目と目が合うようになり、ちょっと頭をかしげるぐらいでも十分に挨拶になりますよね。
そのうちに、おはようございます、お疲れ様ですみたいな言葉が、職場でも生活圏内でもかけていけるようになるのではないかなということを考えているタイプの人間です。
ただ、挨拶をしない方もいらっしゃると思います。
そういう場合は、ちょっとニコッとして頭を軽く下げるぐらいでやり過ごしてしまうことも私は多いかなとは思いますが、まずは自分がエレベーターの奥に乗っていて、新たに乗って来られる方がいる場合は、ちょっと頭を下げるということをします。
その後に、その方が言葉を発されるようであれば、それに対してお答えをするという感じです。
ゴミ置き場で出会う事は正直ほとんどないので、道を歩いていたり、自転車に乗っていて、何か言葉を交わすことがあれば、知り合いと出会った時になると思います。
出勤している最中に、以前一緒に働いていた人とお会いすることがあります。
その際に、私は自転車で、向こうは歩きの一瞬の間ではありますが、おはようみたいな感じで挨拶して、あっという間にすれ違うことは、朝の楽しみではあったりもします。
まとめ
おそらくお互いに感じ悪いなと思い始めると、その人に対して挨拶をしなくなってしまうと思います。
しかし、ちょっとしたことが挨拶できる良いチャンスにもつながるのではないかと思い、今回はこのお話を紹介させていただきました。
この気持ちの良さ、感じの良さとか快適な空間というのは、一人で作っていくのは本当に難しいと思います。
大都市である東京というのは、それにはなかなか到達することが難しい規模になってしまっているのだろうということも考えたりもしております。
ニコニコしている事は大事だと思いますし、だからこそお互いに、良い空間を作っていくという努力が出来るような関係性を築いていけたら良いな、そんなコミュニティでありたいものだなと。
ただ、自分の周りの人には気持ちの良い環境を作っていけるように、気持ちの良い挨拶をしていきたいですね。