記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ROMAN PORNO NOW「愛してる!」

どんなジャンルの映画でも見る自分ですら、成人映画というかピンク映画・ポルノ映画を映画館で見る機会は少ない。というか、自宅でも滅多に見ない(近所に音漏れすると嫌だし)。
そうなっている最大の要因はおそらく痴漢が怖いんだと思う。18歳になるまであと1週間ほどの時にちょっとだけインチキして、3本立てで成人映画を上映している映画館に行ったことがあるが、その時にオッサンに触られたんだよね。今でも成人映画館は“ハッテン場”になっているところもあると言われているから、痴漢行為の被害にあうのが怖いんだと思う。
あと、便所も汚かったし、上映ミスも目立ったから、尚更、成人映画館に対して良い印象を持てなかったというのもあるんだと思う。今は良くなっているとは思うけれどね。

その後、一般映画だけれど性や暴力の描写の問題で成人指定になった作品を一般の映画館で見ることはあっても、成人映画館に行くことは二度となかった。

また、レンタルビデオで洋ピンを借りてダビングしたりすることもあったが、結局、音漏れが怖くて早送りで見ることが多く、きちんと全編を通して見たのは、イメージビデオみたいな(=喘ぎ声があまり聞こえない)「ナイト・トリップス」シリーズの1作目くらいしかない。
あとは、マドンナが無名時代に出演していたポルノ作品「マドンナ in 生贄」を購入した輸入版VHSで見たくらいかな。自分が購入したものはもしかしたら再編集されたバージョンだったのかも知れないが、これのどこがポルノなんだと思った記憶がある。

それから、ケーブルTVで一時期、有料の成人チャンネルや映画チャンネルを契約していたこともあり、洋ピンやピンク映画を録画したりもしていたが、これらも早送りして見るだけだった。

一方、2000年代半ば辺りになるとピンク映画の性描写をマイルドに再編集したR15+バージョンで一般映画として一般の映画館で上映したり、WOWOWなどで放送したり、DVDとしてリリースしたりということが目立つようになった。この頃、自分は「かえるのうた」などの作品をWOWOWでの放送を録画したもので見ている。

性描写を抑えた分、さらに低予算になった(&上映時間が短くなった)ミニシアター系邦画を見ているような感覚になったことを覚えている。
とはいえ、元々は成人映画だから、やはり、はっきりと喘ぎ声が出ていると分かるシーンもある。なので、音漏れを気にすると、結局、見られないので、気付いたら、そういう作品を録画することもなくなってしまった。

それからしばらく、成人映画から遠ざかっていた自分が久しぶりに見ることになったのは、日活ロマンポルノ45周年記念のリブート企画の1本として、2017年1月に公開された「牝猫たち」だった。
ピンク映画のR15バージョンはレイトショー公開が多く、夜勤の多い自分には見に行けるものではなかったが、同作は新宿武蔵野館という立地条件も悪くないミニシアターで昼間でも上映されたこともあり、見に行くことができたというのも大きいと思う。それから、前年の「日本で一番悪い奴ら」(今では性加害の現場となった問題作になってしまったが)で注目された白石和彌が監督を務めているというのも鑑賞の動機になっていたと思う。

ただ、このリブート企画は例外中の例外で、やっぱり、R15バージョンも含めたピンク映画の一般劇場での上映はレイトショーが多く、なかなか足を運ぶ機会には恵まれなかった。

そんな自分がやっと、大蔵映画のR15バージョンの特集上映企画「OP PICTURES+フェス」に参戦することができたのは2020年のことだった。
職場の夏休み(実際に取れたのは10月下旬から11月上旬だが)がちょうど、このイベントの開催時期と重なったからだ。
この時はAV女優(現在は引退)あべみかこ主演の「眠れる森のミチコ」を鑑賞している。その後、エロのない「無慈悲な光」という彼女出演の映画を見たり、彼女が歌手としてリリースしたCDを買ったりしたくらいだから、この作品と彼女を気に入ったということなのだろう。

2021年は「OP PICTURES+フェス」には参戦できなかったが、かわりにちょうどお盆休みがわりの代休が取れた次期にエロVシネの巨匠、城定秀夫監督作品「欲しがり奈々ちゃん 〜ひとくち、ちょうだい〜」が全国順次公開となったこともあり、レイトショーであっても見ることができた。

画像1

そんなわけで、今回は日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクト「ROMAN PORNO NOW」の1本として上映された「愛してる!」を見ることになった。5年前のリブート企画の続編みたいなものだ。なんだかんだで3年連続で広義の成人映画を映画館で見ることになったというわけだ。

「眠れる森のミチコ」を見たテアトル新宿や、「欲しがり奈々ちゃん」を見たポレポレ東中野は、成人映画系の上映をコンスタントにしているオッサン臭が強いミニシアターだし、5年前のリブート企画を見た新宿武蔵野館も、かつては成人映画館が近隣にあったりもした地域に立地しているから、そんなに違和感はない。

画像2

でも、今回の上映館はヒューマントラストシネマ渋谷だからね…。
同じ渋谷のミニシアターでも周囲にラブホやクラブが多いユーロスペースなら分かるけれど、ホームレスを排除して開発された宮下公園の向かいにある映画館だからね…。

画像3

ちなみに本作を見ようと思ったきっかけは自分が興味を持っている地下アイドルの世界を描いているからだ。
元女子プロレスラーの地下アイドルがスカウトされてSMの世界でのし上がっていき、それで注目されて本業の地下アイドルとしての人気も上昇するという話だ。

画像4

要は、アイドル(ライブ)、SM(風俗)、プロレス(スポーツ)というオッサンの好きなものの盛り合わせ弁当みたいな作品だ。

このうち1つでも好きなジャンルがあれば楽しめる作品だと思う。

まぁ、ツッコミどころしかないけれどね。
クライマックスのライブハウスでの公開SMパフォーマンスは、ステージ上でパフォーマンスした主人公とSMの女王様、観客席で自慰にふけっていたライバルの地下アイドル、3人とも逮捕案件だしね。

でも、この3人を演じた川瀬知佐子、鳥之海凪紗、乙葉あいがそれぞれ魅力的なんだよね。というか、舞台挨拶を見たが、実物の方が可愛いぞ!

ただ、乳首は見せているし、喘ぎ声も聞かせてくれてはいるけれど、男女のセックスシーンはないし、レズのSMプレイ的な場面はあっても絡みと言っていいほどの描写にはなっていない。だから、これをポルノ映画と呼んでいいのかどうかは非常に迷うところだと思う。また、舞台挨拶で明かされた情報によると股関を見せているシーンで見ることができた陰毛は本物の陰毛ではなく疑似陰毛だということだ。
もしかすると、今の映倫の基準だと、陰毛とか性器はフェイクであればモザイクやぼかしなしで映していいってことなのか?

それから、地下アイドル現場の描写もだいぶストーリー展開に合わせて端折られている気もする。終演後の物販タイムに女王様はライブハウスにやってきたけれど、入場料やドリンク代を払ったのか気になって仕方ない。

ただ、メイン3人のうち、2人は地下アイドルとしてのパフォーマンスシーンもあり、それぞれがイロモノ系、萌え系とジャンルもわかれているので、ドルオタ、特に地下アイドルに興味がある人ならかなり楽しめるのではないかと思う。

画像5

それにしても、いくら本人の著書を参考に作られた映画とはいえ、高嶋政宏がSM好きの変態という現実世界の設定のまま、本人役で出てくるとはね…。しかも、外を全裸で歩いて逮捕されちゃうし…。ライブハウスで公開SMショーをやった主人公らは逮捕されず、高嶋政宏は逮捕されるのは謎だが…。まぁ、ライブハウスの観客も関係者も誰も通報せず楽しんだってことなんだろうね。

弟の高嶋政伸が朝ドラ「ちむどんどん」で演じたシェフ役は非常に粘着的な気持ち悪さがあったが、もしかすると血筋なのか?

でも、高嶋政宏が舞台挨拶で共演女優や司会の女性に対して性的な話をふったのはダメでしょ!いくら性的な題材の映画で、メインの女優3人揃って作中で脱いでいるとはいえ、それはあくまで作中でのことなんだから、公衆の面前でエロネタを女優にふるのはダメだよ!結局、ベテラン俳優だから、司会者も監督も何も言えないんだろうが、もう、そういう時代ではないんだから、はっきりと“そういうことは言わない方がいいですよ”って言うべきだ。
結局、日本の映画・ドラマ界はいつまで経っても昭和の思考から抜け出せないんだね。
ポルノ映画に出ている女優ならセクハラしていいと思っているのは、水商売の女性相手なら性的なことをしてもいいと思っている香川照之やENEOSの前会長と一緒!どんなに才能があろうと、仕事ができようと、こういう意識改革ができない奴は今すぐ現場から去って欲しい!

あと、SMクラブのオーナー役で出演しているryuchellだが、彼が現実世界で下した決断に対して賛否両論あるのは分かる。
でも、こういうLGBTQ関係の問題に関して世界的に見れば味方になるはずのフェミとかリベラルが日本では否定派になるのって納得いかないよね。結局、日本のフェミやリベラルって、自分たちが遊んで楽して暮らせればいいという連中が多いんだろうね。だから、LGBTQは女の仕事を増やす敵みたいに思っているのかな?

画像6


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?