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「鬼滅の刃 遊郭編」異例の放送形態に思うこと

「鬼滅の刃」2期「遊郭編」はフジテレビ系とTOKYO MXなど関東の独立ローカル局、それにBS11で同時に放送されるという衝撃的な形態となった。
東京および周辺地域の住民が3局で同時に(放送日時は多少ずれるのかもしれないが)見ることができるのだから、コレには驚かずにはいられない。

これまでにも、

地上波:MX BS:キー局系
地上波:MX BS:キー局系以外のBS(WOWOW含む)
地上波:キー局 BS:キー局系
地上波:キー局 BS:WOWOW

といった感じで放送され、都内では複数のチャンネルで同時に見られる番組は多数あった。

また、「鬼滅」は違うけれども、MXと同時に同じ独立ローカル局の千葉テレビやテレビ埼玉などでも同時に放送されるアニメもあるので、そういう場合は都民の鑑賞チャンスが3回以上になることもある。

でも、独立ローカル局同士がかぶることはあっても、キー局と独立ローカル局がかぶるなんてのは異例中の異例だ。

五輪中継の際にお情けで、独立ローカル局でキー局と全く同じものがサイマル放送されることはあるが、新作アニメを同時に流すというのは前代未聞としか言えない。

単なる推測だが、こんな裏事情を考えてみた。

アニプレックスなど製作側としては、フジテレビで放送すれば確かに莫大な放送権料を得ることができる。
でも、「鬼滅」ブームの礎を築いたのは1期を放送した独立系ローカル局やBS局のおかげであり、これらの局を蔑ろにしたのではアニメファンから裏切り者と言われる。
そのせめぎ合いの中での究極の落とし所として、このキー局・独立キー局同時放送という手段を取ることにしたのではないだろうか?

また、フジテレビ(文字数が多くて面倒なので、業界人っぽく、というか業界人だけれど、以下、CX呼びにします)で放送するにあたって不安なこともいくつかあるというのも、MXやBSなどでも変わらず放送する理由ではないだろうか。

まず、アニオタがよく言っているが、CXではアニメを放送する際の本編尺が他局よりも短いらしい。確かにCXの深夜アニメというのは次回予告がないものが多いし、提供も提供ベースを作ってきちんと見せるのではなく、本編中で消化することが多い。
だから、本編尺が1期より短くされるのではないかと心配する声もあるようだ。

また、コンプライアンスの基準の厳しさでいえば、キー局>ローカル局>BSだと思うが、「鬼滅の刃」というのは元々、グロい描写がある作品であり、しかも、今回は吉原が舞台ということで性的なイメージも出てくるわけだから、もしかしたら、カットはしないにしても、ボカしたり、輝度を落としたりという修正が加えられる可能性はある。

さらに、CXが展開しているFOD商法も心配材料だ。FODの契約者を増やすために、FODで先行配信するということ自体は、FODの契約者へのサービスということを考えれば問題はないとは思う。

でも、数週間後なのか、数ヵ月後なのかはさておき、FOD先行配信作品が地上波で放送されると、何故か、本編が数分カットされてしまう。
そして、その地上波バージョンには、“完全版はFOD”という宣伝文句が入れられる。

要は地上波で不完全なものを見せて、地上波の視聴者にFODに加入させるというぼったくり風俗みたいな商売をやっている。

既に配信している作品なんだから、地上波でノーカット放送しろよって思うけれどね。

また、FOD商法を取るということは、FOD独占配信になってしまうことを意味する。つまり、1期のように、様々な配信サービスで見ることは不可能になってしまうということだ。

CXでの放送にはこうした不安が多々あるし、これらの不安が全部、実行されたとしたら、あっという間に、「鬼滅」はオワコンになってしまう。

とはいえ、今後もテレビや映画で続編を作っていきたいとの思いはあるのだろうから、今回の2期で利益を上げなくてはならない。だから、CXマネーは必要だ。

そういう諸々の事情を考えれば、とりあえず、流行りにのって、何となく見たい向けにCXで放送し、落ち着いて見たい人にはこれまで通り、MXやBSでという選択肢を残しておくのがベストなんだろうなという気がする。
 
とりあえず、放送がスタートしたら、吉原が舞台だけに、今まで以上に風俗店のコスプレで禰󠄀豆子衣装が投入されそうだよね。

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