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仕掛人・藤枝梅安2

前作を見た時は、久しぶりに王道娯楽時代劇を見たという印象を持った。
最近の時代劇映画は「レジェンド&バタフライ」のような気をてらった作品か、6月公開の「大名倒産」のようなコメディ路線のもの、あるいはコロナの影響で何度も公開時期が変更になり、やっと去年公開された「峠 最後のサムライ」のようにドラマ主体のもの、あるいは岡田准一あたりが出そうな大作、そうでなければ、「刀剣乱舞」とか「るろうに剣心」のようなパラレルワールド的作品といった感じで、アクションやサスペンスの要素を中心にした娯楽時代劇映画というのは少数派だった(元々、時代劇映画の公開本数は少ないが)。

ただ、その一方でこれって映画ではなくテレビの時代劇だよねと思ってしまったのも事実だ。

まぁ、時代劇専門チャンネルを中心に準キー局や独立ローカル局、BS、CSなど多くのテレビ局が製作委員会に名を連ねているのだから、テレビドラマの劇場版っぽい作りになるのも仕方ないんだけれどね。

それから、前後編連続公開というやり方は最近ではアニメやワーナー邦画以外ではあまり見かけなくなったけれど、そういうやり方も2夜連続スペシャルドラマっぽく感じてしまう要因になっていたのではないだろうか。

そんなわけで後編にあたる本作もテレビスペシャル的な作りなんだろうなと、そんなに期待せずに見ることにしたが、これが結構面白かった。

というか、前作とは異なり、きちんと映画として作られていた。

エンドロール後に、制作予定のリメイク版「鬼平犯科帳」とクロスオーバーするようなシーンが入っていたのはマーベル原作作品などアメコミ映画みたいで面白いと思った。

まぁ、構成には難があったとは思うけれどね。

メインの2人(梅安と彦次郎)のうち、彦次郎が妻を自死に追いやったならず者を偶然見かけるが、実はその男はならず者ではなく容姿の似た兄だった。
こうした中、この兄は弟の殺害を仕掛人(要は殺し屋)に頼むことにするが、最初に声をかけられたメインの2人組とは別の仕掛人2人組はギャラが安いことを理由に断ってしまう。
一方、彦次郎の仇に対する殺害依頼があることを知った梅安はギャラなど気にせず仕事を受けることを決め、彦次郎も協力することに。
ところが、最初に断った2人組のうちの1人が梅安に恨みを持つ男で、自分たちが蹴った仕事を梅安が引き受けたことから梅安に対する怒りがさらに増幅。
そして、ならず者も自分の周囲が次々と殺害される背景に兄が関わっていることを察知。

こういう複雑に入り組んだストーリー展開だけを聞くとめちゃくちゃ面白そうなんだけれど、ちょっと処理しきれていないというのが正直なところかな。
特に椎名桔平の1人2役だから仕方ないのかも知れないが、ならず者とその兄が対峙する場面は見たかった気もするかな(原作はきちんとそういうシーンがあるのだろうか?)。

それから、彦次郎の妻がならず者にレイプされるシーンとか、ならず者一味が連れ去った女中たちを暴行するシーンなど性的なシーンって不要だったのでは?まぁ、乳首どころか乳房も映っていないけれどね。

あと、久々に会えたことと自分の命が狙われていることから来る種族保存本能的な感情というのも分からないではないし、原作発表当時はこういう描写も問題なかったのだろうが、いくら懇意の仲とはいえ、梅安が相手が合意する前に女中に対して性的行為を働くシーンは現在の基準ではレイプなんだから、こういうシーンはなくても良かったのではないかと思う。せめて、ハグくらいにしておけば良かったのに。

と不満も色々あったが、全体的には前作以上に映画として楽しむことができたと思う。なので、この流れで作られる「鬼平」も楽しみだ。

《追記》
観客のほとんどが中高年。というか、パッと見た感じ自分より若い観客はいなかった。8割くらい座席が埋まっていたのにね。ジャニーズが出ていないと時代劇映画なんて中高年とシネフィルしか見ないのかな…。これでいいのか、日本の映画業界は?アニメで儲けているからそれでOKなのか?洋画も含めた実写作品もヒットして初めて健全な映画業界なのでは?というか、アニメの記録的なヒットってほとんどが特典商法のおかげだしね。

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