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ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略

「宇宙戦艦ヤマト」のテレビシリーズ及び劇場版シリーズを冒頭からリメイクするシリーズの最新シリーズの第一章にあたる部分が本作だ。シリーズという言葉を使い過ぎだね…。でも、知らない人に説明するとこうなるよね…。

前作「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」のテレビ放送は今年の春だけれど、劇場での先行上映は2年半近く前に完結しているので久々の続編となる。

本作はテレビ放送版に換算すれば2話分の内容のはずなのに何故、上映時間が70分(本作を見た劇場のホームページに記載の数値)もあるんだと思ったが、本編前に1話分相当の尺を使ってこれまでのリメイク版のおさらいをしていた。

ソフト(Blu-rayなど)やテレビ放送版で見ていない人にとっては2年半ぶりなので、これまでの展開を忘れている人も多い。実際、自分もこのおさらいパートを見て、“こんな場面あったっけ?”と思ったくらいだから、この“サービス”は必要だったのではないかと思う。
ただ、このパートを含めても70分程度の作品で1800円均一の入場料金というのはどうかと思う。一般料金の人だって、尺の短い作品、しかも3分の1がオマケ映像の作品で通常よりたった200円の割引というのはどうかと思うが、シニアや学生、小人料金の人にとっては値上げだからね。

まぁ、シニア層はリメイク版シリーズをそんなに好きではないようだし、学生・小人はヤマトをおっさんどもが好きな古いコンテンツにしか思っていないようだから、コアな観客層は30〜50代と思われるので、このやり方はマーケティング的には合ってはいるのかも知れないが。



このリメイク版「ヤマト」シリーズの意義というのは大きくわけるとこんな感じだろう。

①過去のバージョンでは描き切れなかった細部を丁寧に描写する。
→特に劇場版のエピソードは映画の2時間かそこらの尺では語り切れない部分もあっただろうし。

②過去のバージョンはどうしたって若者からすれば画面(えづら)が古くさいから現在の技術を使い若者に受けるテイストで作画し直す。
→自分のように旧版をちょっとかじった程度の者からするとこの新版の方が見やすいというのはある。

③過去のバージョン発表当時と現在では国内外の政治情勢が異なるのでそのギャップを埋める。
→過去のバージョンは戦艦大和をモチーフにしていることや主題歌が軍艦マーチ風であることから軍国主義、愛国主義を煽る右翼ノリの作品だと思われることも多かった。明らかにヒトラーをモデルにしているであろうデスラー総統を単なる独裁者ではない悩みも抱える人間味のある人物として描いていたのはネトウヨが大好きな現在のなろう系の走りと言っていいのかも知れない。
でも、そうしたイメージのせいで、本来持っていたはずの戦争と平和の狭間で悩み苦しむ若者たちの姿の描写がきちんと伝わっていなかった面があったのではないだろうか。それをきちんと伝えようというのがこのリメイク版の最大の目的のような気がして仕方ない。
その結果、このリメイク版は全体的にリベラル寄りの思想が展開されることとなり、旧版のファンだった中高年の中にはパヨク路線などと批判する者もいる。



個人的には、このリメイク版シリーズは作る意義があったのではないかと思う。昭和のギャグや価値観をただ、若手・中堅声優でなぞっただけのリメイク版「うる星やつら」よりもそのメッセージ性はしっかりと伝わっていると思う。

今回の「ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章」はテレビ版基準で言えば、冒頭の2話分、つまり、今回のシリーズの世界観やメインテーマを提示しただけのパートに過ぎないので、本作だけではきちんとした評価は下せないと思う。

なので、論評は第二章以降を見た際にちゃんとしたいと思う。

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