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劇場版 ルパンの娘

フジテレビといえば、ネトウヨ的な人には反日メディアとして扱われることも多かった。あれほど、外国人差別主義全開なテレビ局なんてないのにね。

他局のワイドショーは、少なくともアナウンサー読みの原稿に関しては、海外の芸能人やスポーツ選手でも“さん付け”するけれど(海外セレブのみが登場する話題では呼び捨てだが、日本人も出てくる話題では海外セレブも“さん付け”にするという番組もある)、フジテレビの番組では呼び捨てがデフォルトだからね。これのどこが反日なんだよ。極右だよね。

一時期、韓流ドラマをやたらと放送していたのも、バブルな頃に洋楽アーティストを自社番組で取り上げていたもの、そして、ここ最近でいえば、K-POPを取り上げるのも、別に欧米や韓国の文化をリスペクトしているわけではなく、金になるから取り上げているだけなんだよ。

でも、そんな極右メディアのはずのフジテレビは時々、左翼的なドラマや映画を発表したりするんだよね。

まぁ、これも局としての信条とかに関係なく金になるからやっているんだと思うけれどね。
ネトウヨが反日映画と騒いでいる一連の是枝作品の製作委員会に名を連ねているのも、海外の映画祭や映画賞で話題になる=普段、映画館に来ない人が見に来る=金になるっていう発想ではないだろうか。

本作でネトウヨがマンセーする河村たかしの金メダルかじり騒動をギャグにしている=河村批判しているのも話題になればいいやって感じなのだと思う。

まぁ、フジテレビだけではなく、本作の配給を担当している東映も似たようなところはあるよね。企業としては右翼思想なのに、反権力的な特撮モノや、リベラル思想も盛り込まれたプリキュアとか作っているしね。

ところで、政治信条といえば、本作に出演している橋本環奈(以下ハシカン)が、日本版VOTEキャンペーンとも呼べるVOICE PROJECTに賛同していることには驚いてしまった。

米国でリベラル思想の俳優やミュージシャンが呼び掛けているVOTEキャンペーンというのは、口では単に“投票に行こう”と呼び掛けているだけだが、実際は、民主党への投票を呼び掛けるものだ。
こうしたキャンペーンが大々的に行われるのは基本的には共和党政権の時だ。それはつまり、民主党に投票して政権交代しようという意味しか込められていないのは明白だ。

その日本版とも言えるキャンペーンのVOICE PROJECTだが、秋元才加、ローラ、ケン・ワタナベなど賛同している顔ぶれを見て、彼等のこれまでの言動を振り返れば、これは明らかに自民党を政権から引きずりおろすためのキャンペーンであることは明らかだ。

菅田将暉は一瞬、“場違いじゃない?”って思うけれど、音楽フェスの開催に関する国や自治体の規制に対してブーブー文句を言いながら、自分は勝手にパーティーではしゃぎまくっていた野田洋次郎と近しい関係にあるから、よく考えれば、そんなにおかしくはない。

でも、ハシカンだけは、“何故、ここにいるの?”って感じだよね。キー局のテレビ番組にもよく出てくる、いかにもな若手芸能人という感じで、どちらかといえば、体制側に媚びているイメージがあるしね。出演映画やドラマだって、福田雄一作品とか、コミック実写化作品ばかりだしね…。

菅田将暉は時々、アナーキーな映画にも出たりすらから、こういう政治的な活動に関わっても、何となく理解できるけれど、ハシカンに関しては全く想像できなかった…。

それにしても、本作のハシカンはエロかった…。
広義ではアイドル女優的な存在のはずだけれど、ハシカンって、下ネタを含めて結構、NGが少ないよね。まぁ、可愛いからいいか。

可愛いといえば、深キョンがアラフォーとは思えない(こういう言い方はよろしくないのは重々承知だが)可愛いらしさを発揮しているのが本作の見所であることは間違いないと思う。
ただ、仕事復帰は早すぎだとは思うな。本作の公開に合わせて無理して復帰した感じがする。プロモーション活動に主演がいないとって感じだし、テレビ局映画だから深キョンの完全復活を待ってというわけにもいかないんだろうけれど、なんだかなって気がする。

そして、書き下ろしの新曲も含めて2曲が使われているサカナクションについても一言触れておこう。2012年から15年あたりは本当、日本で一番、一般にも通ぶった人にも受けがいいバンドって感じだったけれど、その後、リリース自体が減ったってのもあるが、一気に注目度が減ったって感じになってしまったよね。

まぁ、彼等のリリースペースが落ちた頃にサチモスやナルバリッチ辺りがそのかわりを担ってしまったって感じなのかな。そして、そのサチモスやナルバリッチも最近はあまり騒がれなくなってしまったしね。というか、サチモスは最近、不幸な出来事もあったしね…。

作品の出来自体についてはどうせツッコミどころ満載な作品なんだから言及するのをやめようとも思っていたが、あまりにも酷いので語ることにした。

いや、本当に酷い!でも、いくら、我々、映画マニアとかシネフィル、批評家などと呼ばれる人間が批判しても一般受けって良いんだよね、こういう作品って…。困ったものだ…。

コロナ禍で海外ロケができない、大勢のエキストラや外国人キャストを使えないって事情はあるにせよ、ほとんど日本人キャストしか出てこないし、街中のシーンもほんのちょっとしかないってのはショボすぎる。

それが余計に、単なるテレビスペシャルにしか見えない要因なんだよね。

あと、感動的なストーリーに見せかけようとしているけれど、無理がありすぎる。どうやっても、泥棒一族のリーダーがやろうとしていることは、自分の血を引く孫の抹殺にしか見えないのに、何かこじつけ的な説明台詞で感動的な話に見せているのは納得がいかない。

というか、主人公が実はリーダーの妹の娘であることが分かったのに、妹の夫が殺されなければ、妹も主人公も泥棒一族に関わらなくて済むってのはおかしいよね。泥棒稼業に就くのがこの一族の宿命なんでしょ?
妹はもちろん、主人公だって姪になるわけだから、リーダーと血縁関係にはあるわけだしね。

それから、タイムスリップする話もデタラメすぎる。作中の現在って何年なの?2018年に主人公は刑事と出会い、恋に落ちたわけでしょ。それですぐに子作りして出産したとしても、現在の娘は泥棒稼業を手伝えるくらいの年齢になっているってことは、現在は2020年代半ばくらいなのか?

作中でリーダーとその妻が65歳と言っていたが、タイムスリップした先の1991年の世界での若き頃の妻は20代くらいの感じだったよね?
もしかすると、作中の現在って2030年くらいなのか?

1991年の世界では既に主人公は生まれていて赤ちゃんだったけれど、育ての親となるリーダーの妻はこの時点でリーダーとは夫婦になっていたの?1991年に妹の夫が死に、その復讐を妹がして犯罪者になったことから、妹の娘を引き取ったみたいなことを言っていたが、何か、色々と話が繋がらないぞ!

そして、タイムスリップした先の1991年ってバブルなのか?

2000年代前半くらいまでは、バブル期は80年代の終わりとともに弾けたという説が一般的で、バブル期=80年代後半(85〜89年)って定義付けされていたけれど、2007年公開の映画「バブルへGO!!」では1990年3月に大蔵省が金融機関に対して行った総量規制によってバブルが終わったと定義され、この頃にはそういう見方が主流になっていた。

まぁ、89年末にしろ、90年春にしろ、この時点ではジュリアナ東京はオープンしていないから、よくバブルのイメージでジュリアナを語るのは間違いだよと指摘されていたんだよね。
ところが最近は、1991年、場合によっては92年までをバブル期としている人もいるんだよね…。
そうなると、本作でバブルの象徴としてジュリアナが描かれているのも間違いではなくなってしまうんだよね…。なんだかなって感じだな。

個人的には、1989年の消費税導入による景気悪化がバブル崩壊だと思っている。でも、その後、何度も消費税率が上げられ、そのたびに景気がさらに悪化していることを政府は認めたくないし、できれば、さらに消費税率を上げたいから、消費税導入がバブル崩壊の原因ではないと思わせるために、バブル期の期間をどんどん、後ろにのばしているんじゃないかなって気もするな。

まぁ、業界によっては、93年くらいまではバブルの残り香があったけれどね。特に自分が関与しているテレビ業界はそうだった。タクシー券使用とかがうるさくなったのは94年あたりからだしね。

ところで、このタイムスリップのネタって「バブルへGO!!」のパクリだよね。まぁ、これもフジテレビ映画だから問題はないんだろうけれどね。
というか、「バブルへGO!!」は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のパクリだよね。

そもそも、この「ルパンの娘」というコンテンツ、泥棒一族と警察一家がお互いの仕事を知っているまま、親戚の関係になるっていうのが無理あるよね。普通なら警察は泥棒を逮捕するし、そんな関係がバレたら警察一家は全員処分でしょ!

まぁ、でも、今回の劇場版で最終的には泥棒一族がお宝を盗まずに話が終わってしまうという展開については文句はないかな。
「ルパン三世」だって、ルパン一味がお宝を盗まずに心だけ盗んでいって、“気持ちのいい連中だ”って言われたくらいだからね。

ところで、ルパンの新しいテレビシリーズ、現代を舞台にした作品なのに、シャーロック・ホームズがルパンと同じ世界にいるって、どういうことだ?

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