ラブライブ!スーパースター!!
「ラブライブ!」シリーズのテレビアニメとしては第4弾となる本作「スーパースター!!」にはこれまでと違う要素がいくつも含まれている。
最も大きな違いはNHK(正確にはEテレ)で初放送となっていることだ。
これまでの「ラブライブ!」シリーズは、TOKYO MXなどのローカル局とBS放送のBS11で初放送されたものを、後日、NHKで再放送するというパターンだった。だが、今回の「スーパースター!!」は最初からNHKの新作アニメとして放送された。
その結果、過去のシリーズはそれぞれ1クール全13話(2期ある「ラブライブ!」と「サンシャイン!!」は各期それぞれ13話)という構成になっていたが、本作は全12話となっている。
NHKやキー局で放送されるアニメやドラマ全般に言えることだが、NHKやキー局ではスポーツ中継や特番の放送により、レギュラー番組の放送が休止されたり、放送時間が変更となることは日時茶飯事だ。
本作の放送中も五輪およびパラリンピックの中継で合わせて3週も放送休止となった。また、高校野球の放送時間が延長になったのに伴い、本作の放送開始時間が通常よりも3時間以上遅くなったこともあった。
ローカル局やBS局での放送ではこういうことは滅多に起きない。そもそも、深夜枠の放送だったから、選挙特番とかがあったとしてもそんなに影響はなかった(今回の「スーパースター!!」はEテレとはいえ、午後7時というゴールデン枠での放送)。
さらに、NHKは民放のようなクールがわりに合わせて番組がきっかり始まったり終わったりしないことも多い。本作も10月後半に完結するという民放の感覚からするとイレギュラーな時期での終了となった。
でも、NHKのアニメやドラマは、民放のように1クール10〜13話で構成というしばりがなく、ドラマの中には4〜5話で終わるものも多い。こうした、編成の都合で本作はこれまでよりも1話少ない形でとりあえず完結することになった。
また、特定の企業や団体のPRにつながるような名前は出せないというNHKならではの方針で設定にしばりが出てしまったことも問題点として指摘できるのではないだろうか。
表参道・原宿・青山・渋谷辺りが舞台になっているのに、そういう感じがしないのは、そのNHK特有の事情による弊害だと思う。
てっきり、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の2期もNHKで初放送になってしまうのかと思ったが、MXほかの放送に戻っているということは、NHK作品だとお台場感が出ないからってことなんだろうね。
再放送時に修正されるのは構わないが、初放送時は色々とタイアップで儲けたいからってところなのかな。
まぁ、今回の「スーパースター!!」最終回ではさすがに表参道感は出ていたけれどね。イルミネーションのおかげで。
ところで、これまでは「ラブライブ!」がテレビ2期と劇場版で完結してから、「サンシャイン」をスタートさせ、こちらもテレビ2期と劇場版で完結させていた。
だが、「虹ヶ咲」と「スーパースター!!」は同時期に進行しておる。これは、一旦完結させてから次のシリーズをやるとやると、時間もかかるし、合同ライブなどでメンバーを集結させるのが難しいってのもあるのかな?
あるいは、「虹ヶ咲」はグループアイドルではなくソロアイドル集団という設定なので番外編扱いだからとか、もしくは、「スーパースター!!」はNHK案件だから、従来のローテーションから外れたとか、色々な事情があるのだろうか?
そして、何よりも大きな違いとしてあげられるのは、主人公がスクールアイドル結成の発起人ではないということではないだろうか。
「ラブライブ!」も「サンシャイン!!」もストーリー上の主人公がスクールアイドル活動の発起人でグループのリーダーだ。
「虹ヶ咲」は多少イレギュラーで、アイドルにはならないプロデューサー的な立場の者とその幼なじみがW主人公で、ソロアイドル集団ということになっているが、それでも、このプロデューサー的な立場の者が発起人で、幼なじみが共同発起人とも言える立ち位置なので、大枠は崩れてはいない。
ところが、本作は主人公のかのんではなく、留学生の可可が発起人となっている。しかも、可可はかのんとの2人組ユニット・クーカーの時はまだ対等な関係だったが、5人組のLiella!においてはセンターとかリーダーのようなポジションからは遠ざかっている。
そもそも、この5人組というのも「ラブライブ!」シリーズにおいては異例のメンバー構成だ。
「ラブライブ!」のμ'sや「サンシャイン!!」のAqoursは9人組だった。
「虹ヶ咲」はソロアイドル集団なので厳密には何人組とかではないが、プロデューサー的立場の者を除けば、所属メンバーは9人だった(のちに3人プラス。2期には出てくるのかな?)。
でも、今回は5人なんだよね。NHK的編成だと、休止もあったりするから、今までのように、個々のメンバーにスポットを当てたエピソードを重ねていって、グループに対する共感を深めさせていくみたいな構成は難しいから人数を減らしたってことなのだろうか?
あと、NHK作品になったはずなのに、しかも、ゴールデン枠の放送になったはずなのに、コンプライアンス的にどうなんだろうって思う要素が増えたのは問題だと思う。
過去の「ラブライブ!」シリーズでは、ビジュアル的にもキャラクター的にもそんなに興味がないメンバーが何人かいるのが当たり前と言ってもいい状況だった。しかし、今回の「スーパースター!!」はタイプの違う5人全員が自分の好みなんだよね。
ちなみに最初にお気に入りになったのは可可だ。それは声を担当しているLiyuuが可愛くて好みだと思ったからだ。
でも、途中から、この可可を嫌いになりそうな案件が発生したんだよね。
それは、可可のすみれいじりが度が過ぎるからだ。すみれがかつて、グソクムシの着ぐるみをかぶる仕事をしていたことから、可可がすみれのことをグソクムシ呼ばわりするようになったせいだ。
これだけならまだ、2人の間の言い争いなので問題ないが、さらに、かのんやかのんの幼なじみである千砂都まで、すみれいじりをするようになったんだよね(さすがに生徒会長の恋はこれには加わらなかったが)。それって、いじめだからね。
まぁ、終盤になって、可可とすみれが“宿敵と書いてともと読む”関係になったので、この不快感は解消されたけれどね。
それから、NHKが関わっているのに、小学校の教師が小学生を生徒と呼んだりするシーンがあるのもどうなんだろうかねとは思った。
NHKでも、アニメ担当の連中というのは一般常識がないってことなのかな?
それはさておき、Liella!の曲って、本当良い曲が多い。「虹ヶ咲」はどうしても、ソロ曲が中心になるので、そのキャラクターに対する興味の度合いが楽曲の好き嫌いにつながってしまうが、今回はグループアイドル、しかも、5人組と人数がおさえられているから、メンバーそれぞれが、それぞれの楽曲で存在感をアピールできるってのも曲自体を良く感じさせる理由なのかな?
とりあえず、最終回まで見た感想としては終わり方が「ロッキー」の1作目みたいって感じだったかな。まぁ、試合に負けて勝負に勝つみたいな感じで1期を終えるのは、「ラブライブ!」シリーズの十八番だとは思うけれどね。
それはさておき、“ラブライブ!で優勝できないと強制帰国させられる”という家庭の事情を抱えていた可可の問題はどうなったんだよ?
最終回ですみれが可可にお守りをあげるシーンを描いておきながら、その辺を描かないってどういうこと?
まぁ、2期を作る気マンマンなのはみんな分かっているんだから、その問題についてはそこで触れればいいでしょ?って開き直っているのかな?
≪追記≫
NHKでの放送になったことの利点といえば、CMがないから放送枠が民放基準だと余るので、「リエラのうた」というメンバーによる歌を紹介するミニコーナーが毎週放送されていたけれど、これはいいアイデアだと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?