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劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』

コナン不難というくだらないダジャレを言いたくなるほど、最近、劇場版「名探偵コナン」を巡っては不運が続いているように感じる。

2012年の16作目「11人目のストライカー」から2019年の23作目「紺青の拳(フィスト)」までは毎回、前作の興収を上回り続けていた。
「紺青の拳」の興収は93億円超だったので、次の作品では100億円を突破するのではないかと期待されていた。

ところが、2020年になってコロナ禍に入り、緊急事態宣言が発令されたこともあり、24作目「緋色の弾丸」の公開は2021年まで延期されてしまった。
これにより、1997年より毎年、GWに公開されていた劇場版新作の供給は一旦ストップすることになった。

その「緋色の弾丸」は1年遅れで2021年GWに公開されたものの、公開直後に緊急事態宣言の影響で東京や大阪などのシネコンが軒並み休業となったために、興収は76億円と大幅にダウンしてしまった。

まぁ、東京オリンピックもどきの国際スポーツ大会を舞台にした作品だったので、当の東京五輪が当初の予定より1年遅れて開催となったり、最終的には無観客になったりしたので、そういう題材の作品は去年のGW時点では賞味期限切れ間際だったから、まぁ、見ても盛り上がりはしないよね。

その一方で、「コナン」シリーズでは達成したことがなかった。というか、コロナ禍に入るまではテレビアニメの劇場版で興収100億円を突破した作品は1本もなかったのに(日本で興収100億円以上を記録したアニメーション映画は海外作品含めて、それまでは劇場用オリジナル作品もしくは、その続編しかなかった)、2020年以降は、2020年秋公開の「鬼滅の刃」、2021年春公開の「シン・エヴァンゲリオン」、2021年の年末公開(日本の映画業界の慣習では2022年度扱いとなる)の「呪術廻戦」と毎年、テレビアニメの劇場版が興収100億円を突破するようになった。これは明らかに映画館にやって来る客層がコロナ禍になって変わったことを意味していると思う。

元々、こういう層(単なるテレビスペシャル的な劇場版を絶賛する人たち、つまり、映画ファンでない人たち)とコナン映画の観客は親和性が高かっただけに、コナン関係者は先を越されて悔しい思いをしているのではないだろうか。客を取られたわけだしね。もっとも、「コナン」も「鬼滅」も「エヴァ」も「呪術」も東宝配給だから、東宝としては何の問題もないのだが。

そんなわけで、今度こそ100億円を狙おうと、あからさまに、女性受けする男性キャラを多数出して作られたのが本作「ハロウィンの花嫁」だ。

まぁ、作中にアナウンサーがニュースを読むシーンがあるのに、表記がハロウィンというのはおかしいんだけれどね。大抵、どの報道機関もハロウィーン表記なんだけれどね(バラエティやドラマ、アニメはそのルールを知らないからハロウィンって平気で書くけれど)。
それから、花嫁にふさわしいキャラは誰だみたいなアンケート調査をやって、ちょっと炎上したけれど(とはいえ、フェミの中にはコナン好きが多いから、何故か、男のオタクが好きな巨乳キャラの時ほど騒いでいなかった)、そもそも、今の社会観からしたら“花嫁”というワードをタイトルに入れること自体、時代遅れなんだけれどね。

というか、GW公開なのに、ハロウィーンを題材にした作品を公開するというのも謎だけれどね。まぁ、公開時期に合わせたら春から初夏の話しかできなくなってしまうが…。

エンドロールを見ると、Huluのクレジットがデカデカと入っているし、おそらく、劇場公開から半年ほど経った秋のソフト化、配信スタートで盛り上がることを想定しているんだろうね。
ハリウッドでは、劇場公開から1ヵ月半程度で配信スタートとなるケースが増えているのに比べると、相変わらず、日本映画界はソフト化や配信開始に関する対応が遅れているって感じはするかな。

そして、本作における不難といえば、ロシアが重要な要素となっているということだ。

しかも、ロシアのテロリスト集団が出てくるけれど、その集団は決して単なる悪ではない。本当の悪は別にいるみたいな描かれ方だからね…。
ウクライナ情勢を受けて、現在、日本を含む世界ではロシアが100%悪、ウクライナが100%善みたいな風潮だから、ロシアのテロリストに同情できるような作品はPRしにくいしね。
まぁ、このテロリスト集団のリーダーの声を担当しているのが白石麻衣だから、そりゃ、完全な悪人キャラでないのは想像できたけれどね。

それにしても、本作って、単なる渋谷区や渋谷駅周辺の商業施設のプロモーション・ビデオだったな。

劇場版前作では施設名のみならず、地名ですら、まがいものみたいな名称に変えられていたのに、今回は、商業施設が実名で出てくる上に、丁寧にテロップも出てきて、あからさまなタイアップをしていたから、見ていて思わず笑ってしまった。そして、エンドロールを見たら、渋谷区や渋谷の商業施設の名前がズラリと出ていた。やっぱり、プロモーション・ビデオじゃん!
そんなタイアップだらけの作品なのに、三千里薬品は実名ではなくまがいものみたいな名前で出てきたってことは、利害関係にある団体に三千里は入っていないってことなんだろうね。クソだな。

劇場版コナンといえば、大爆発が毎回、目玉となっているけれど、今回、それがないのは(無名の雑居ビルは爆発したが)、タイアップ案件だから、イメージ悪化につながるようなことはできないってことでしょ。やっぱり、クソだな。

スケールダウンしたおかげで、今までの劇場版以上に、単なるテレビスペシャル感が強まってしまったけれどね。

それにしてもツッコミだらけの話だったな。
本作に限らず、シリーズ全般に言えることだけれど、元々、警察が部外者であるはずのコナンたちに捜査情報を教えていることがおかしいんだけれどね。それに、最近の劇場版って、サッカーボールを蹴って解決すればいいと思っているだろ。どこが名探偵なんだよ!推理しろよ!
しかも、今回の巨大サッカーボールで液体爆弾の爆発を食い止めるっていうクライマックス、何のギャグだよ!
こんな、クソみたいな話をコナン信者は絶賛しまくるから、毎回、シネフィルがコナン批判をしてしまうんだよね。
まともに、他の映画やドラマ、アニメを見ていたら、こんな内容を絶賛するなんて無理!つまり、コナン信者って、無知なんだよ。
まぁ、そういう人たちがコロナ禍になって、暇ができて、鬼滅や呪術を絶賛するようになったんだよね。

ちなみに、自分はコナンも鬼滅も呪術もつまらないとは一言も言っていません。でも、この程度の内容の作品を最高の“映画”と言っている人たちが多いから、批判したくなるんだよね。
しかも、今回の劇場版って、最近のコナン映画よりも明らかにスケールダウンしているよね。かといって、きちんと、推理ものの原典に戻ったかというと、そうでもない。

やっぱり、映画ファンとしてはコナン映画って批判しかできないよね。

そういえば、本作を公開初日の15日に新宿で見たが空席が目立っていた。やっぱり、コナンを絶賛していたような勢力が、鬼滅や呪術に気移りしているのか?それとも、作品の舞台となっている聖地・渋谷で見たいという信者が多いから、渋谷以外の地域の映画館はすいているのか?

《追記》
恒例のオープニングでの一見さん向け設定紹介、やけにメタな感じだったな…。


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