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鳩の撃退法

マスコミ向け試写にしろ、一般向け試写会にしろ、公開日もしくは情報解禁日まではオチについてどころか、どのシーンについても話してはならないと誓約書にサインさせられたり、口約束させられたりすることがある。
中には、作品を見たことも公言してはいけないような雰囲気のことさえある。

マスコミ向け試写にしろ、一般向け試写会にしろ、観客は配給・宣伝など主催側から招待され無料で見させてもらっている。つまり、プロモーションに協力する立場だから、そうした主催側からの口止めの要請に従わねばならないのは当然のことだとは思う。

でも、一般公開後に入場料金を払って鑑賞した観客に対して、オチやスペシャルゲストの登場などのネタバレをするなと配給・宣伝やスタッフ・キャストが要請するのは違うのではないかと思う。

入場料金を払って映画を見た人がネタバレさせるのは自由だと思う。もっとも、それをやるなら事前に知りたくない人に向けて、その文章なり動画にネタバレが含まれていることをメンションすべきだとは思うが。

にもかかわらず、公開後に入場料金を払って映画館で見た一般観客に向けて、配給・宣伝・スタッフ・キャストがネタバレ厳禁という要請を出すケースが多いのは、作品に対する自信がないあかしだと思う。

“結末は誰にも言わないでください”とか、“衝撃の結末が…”とか、“ラスト○分、全てがひっくり返る”とか、“あなたはこのラストを予想できない”とか、“あなたはもう一度見たくなる”みたいなキャッチコピーがつけられている作品って、大抵は見終わった後にガッカリすることが多いしね。

「シックス・センス」くらいだよね、この手のコピーがつけられた作品で、もう一度見てみようって思うのは。さすがは、作品、監督、脚本、編集といった作品の中身そのものに関わる重要な部門でノミネートされただけのことはある。

そして、この「鳩の撃退法」に関しては、“この男(主人公)が書いた小説(ウソ)を見破れるか。”というキャッチコピーがつけられている。

そんなコピーをつけたら、どれだけ巧妙なトリックが仕掛けられているか、見事な伏線が貼られているか、映画マニア、推理(小説や映画の)マニアはチェックしたくなるものだが、正直言って、見破るほどのトリックも伏線もなかった。

というか、邦画でよくある(ハリウッドのサスペンスやホラー映画でもよくあるが)終盤になって、これまでに提示されてきた出来事について、回想シーンと説明台詞で関連性を種明かしして、“どうだった?色んなところにトリックや伏線をばらまいていたでしょ?”って、制作側がマスターベーションする類のヤツだった。

事実と回想や空想、メタをごちゃまぜにする構成でありながら、その種明かしを終盤でするという作品は小説や舞台なら、アラだらけの伏線でもそれなりに楽しめるかもしれないが、映画だと興醒めするから、余程、演出的にこったことがないと駄作にしかならないので気をつけた方がいいと思う。

あと、「鳩の撃退法」というタイトルはそんなに活かされていないと思う。
作中で一応、鳩が偽札の隠語であることは語られているし、おそらくは、鳩が勝手にベランダに巣を作るように、裏社会の連中が法律的には自分たちの土地でもなんでもない所で商売をする人たちから、“自分たちのシマで勝手に商売するな”と脅すことを暗喩する言葉として使われているであろうことは容易に想像できる。

実際、主人公に対して、“勝手にこの地域で風俗店を営業するな”と脅す連中が出てくることから、そうした意味を持たせているのは間違いないと思う。
だから、偽札騒動を解決するとともに、裏社会の連中にギャフンと言わせようという意味で「鳩の撃退法」というタイトルなんだろうが、だったら、しつこいくらいに、ジョン・ウー監督作品ばりに、鳩を飛ばした方が良かったのではないだろうか。

映画なんだから、それくらいしないと効果ないよ。よく見ないと分からないレベルで鳩を飛ばしても意味はない!
ネットニュースやまとめ記事を見ると、隠れキャラ的に鳩が飛んでいるシーンがあるようだが、自分は気づかなかったぞ!

それから、タカハタ秀太監督はテレビのバラエティ番組出身ということもあってか、本作では同ポジ編集というテレビ的なつなぎがやたらと出てきたが、アレは、“延々と同じようなことを繰り返している”という描写以外のシーンではあまり意味がないからやめた方がいいと思う。

同ポジ編集って、基本、そのまま使うと無駄に長いだけのシーンの余計な所を切っただけだからね。
本来なら、きちんとサイズや構図を変えた複数のカットをつなぐものだから、同ポジ編集というのは、カメラのセッティングを変える時間や、複数のカメラを用意する時間がなかった時に妥協する編集法でしかないんだよ。

テレビのバラエティ番組なら、それでもいいが、映画なんだから、そこはきちんとやらないとね。
まぁ、本作の制作幹事には電通が入っているから、中抜きされてしまって、現場には金がないんだろうね。五輪と一緒だね。

ご都合主義も多かったな…。主人公がゴミ捨て場で古紙を漁り、簡単に知りたい事件の新聞記事が見つかるってデタラメもいいところだ!

それはさておき、語っておきたいのが西野七瀬の存在だ。本作より1週はやく公開された「孤狼の血 LEVEL2」では金髪の広島弁スナックママだったが、本作ではパーマの富山弁コーヒーショップ店員だった。

キャラクター設定は似ているし、どちらも裏社会のいざこざに巻き込まれる役だが、正直言って、本作の彼女は登場シーンを全て削っても話が成立する役だった。「孤狼の血」では見事な演技を見せていたが、本作はゲスト出演のアイドルレベルの演技だったしね。まぁ、可愛いと思えるシーンもあったから、西野七瀬オタとしては満足できるレベルかもしれないが。

なので、「孤狼の血」を見た時に抱いた今後の女優としての彼女に対する期待値は本作を見たことによって下がってしまった…。

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ところで今回、本作をTOHOシネマズ 日本橋で鑑賞したが、ここの“グッズ売場”って、こんな配置で大丈夫なのか?
治安の悪い地域なら万引きされまくりになるよ!
騒ぎたがる連中があまり近寄らない日本橋(駅は三越前だが)だからこそできるレイアウトなのかもしれないが…。

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