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映画 めんたいぴりり パンジーの花

本作は2シリーズにわたって放送されたテレビドラマ「めんたいぴりり」の劇場版第2作ということになるのだろうか。
もっとも、前作「映画 めんたいぴりり」も本作「映画 めんたいぴりり パンジーの花」も頭に“映画”というワードは入れていても、“劇場版”とか、“THE MOVIE”という言い方はしていないところを見るとテレビドラマの劇場版とは見られたくないんだろうなという制作サイドの意向は感じ取ることができる。まぁ、いわゆるキー局でなくテレビ西日本作品であることも関係あるのだろうか。

また、「映画 めんたいぴりり」シリーズとしては2作目なのに、タイトルに“2”を入れないのも、それほど全国的な知名度がある作品でもないのにナンバリングしてしまうと前作を見ていないから見なくていいやと思う人が出てくることを警戒した上での戦略なんだろうなと思った。

そうした、テレビドラマシリーズ、映画シリーズに加えて、妻役の女優が異なる舞台版シリーズもある。でも、主演はドラマも舞台も映画も博多華丸。そういう、舞台版や映画版がドラマ版の続編ものなのかリブートなのか分かりにくいというのもライト層に敬遠される要素になりがちだ。だから、なるべく、テレビドラマや舞台、映画の前作の存在は表に出ないようにしたということなのだろう。

ちなみに自分が本作を見ようと思った動機はHKT48の地頭江音々が出ているからだ。というか、彼女が出ていなければ見なかった。

地頭江音々は北九州映画実行委員会が手掛けたHKTメンバー出演の限定上映イベント用の地域おこし映画「思い出を、ラブソングにのせて」に出演しているが、(言い方は悪いが)きちんとした一般公開作品に出るのはこれが初めてだ。

同じ、北九州映画実行委員会が手掛けたHKTメンバー出演の地域おこし映画「めぐり逢わせの法則」には舞台出演も多い豊永阿紀や短編映画「おばあちゃんのふるさと」に主演した小田彩加(8月に卒業)も出ていることから分かるように、音々も演技メンバーとして注目されているということなんだと思う。

まぁ、この「めんたいぴりり」というコンテンツも福岡の地域おこしプロジェクトみたいなものだから、福岡のアイドルグループであるHKT48が起用されたんだろうが。

それにしても、よく人気アイドルのメンバーがこの役を引き受けたよねって思う。変顔はいいとしても、ヌードという言葉を発するし、実際に乳首を見せたりはしないけれど彼女をモデルにした裸に近い状態の絵画が登場するし、おっさんの手を取って色恋営業はするし、しかも、挙句の果てには色恋営業をした相手のおっさんに対して恋愛対象じゃないと言ったりする性格の悪いところも見せるし、そんな役をよく演じたよねって思う。

まぁ、可愛いからいいんだけれどね。

そして、主題歌は音々を含むHKTメンバー3人が歌っているが、これが全くHKTの曲に聞こえない。カバー曲ということもあるけれど、なんというかももクロっぽく聞こえるんだよね。

やっぱり、人選ミスだったんじゃないか?ももクロと同じスタダ所属で福岡を拠点にしているばってん少女隊を使った方が良かったのでは?まぁ、集客力はHKTの方が上だとは思うが。

全体的にはテレビシリーズの1話完結のエピソード2話とオマケのエピローグを見せられたって感じかな。1話目とエピローグはつながっているけれど、2話目はほとんど関係ないしね。そういう意味では映画としての完成度は低い。夜勤明けで見たら寝てしまうかもね。

それから、警察官が付け届けを要求するようなシーンとか、住民たちが勝手に公園にパンジーの種をまいたりとか、倫理的にどうなのよって思うシーンも多かった。

まぁ、戦後から高度経済成長期の話ならそういう倫理観でもいいんだけれどね。というか、この作品の時代設定っていつなんだ?

明太子の製造が開始されたばかりで世間的な認知度が低い時期とすると戦後間もない頃の話のはずだが、流しの役者と30年前に別れたというエピソードや町の雰囲気を見ると高度経済成長期からバブルの手前くらいの時代にも見える。
でも、メタ的要素を盛り込んだスケトウダラの妖精?が出てくるシーンではスマホも登場する。まぁ、このスケトウダラのシーンは夢とか妄想の類なんだろうが、それを抜きにしても、いったい、これはいつの時代の話なんだと思ってしまう。
音々が出てくるシーンなんかは服装とか見ても、せいぜい、ここ10年以内の話にしか見えないしね。サザエとかクレしんみたいに原作の設定をそのまま活かしながら現代の要素も取り入れたために謎の時代感覚になってしまった系なのかな?

それにしても、商店街のシーンがいかにもセットというのは映画館で見る作品としては興醒めする要素だよねって思う。セットだらけだと朝ドラにしか見えなくなってくるしね。
というか、華丸が出ているから(大吉もスケトウダラ役で友情出演)、尚更、朝ドラっぽく見えてしまうというのはあるけれどね。正確に言うと、華丸・大吉は朝ドラ出演者ではなく、その後に放送されている生活情報番組のMCで朝ドラ受けをしているだけではあるが…。

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