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シネフィルの99%は酷評する劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』

女性都知事の肝いりで誕生した救命救急医療チームを描いた話という小池百合子のステマに見えるような内容のドラマをゴールデン帯に放送するのはどうなのよとも思っていたのでテレビシリーズは1話も見ていない。

だから、劇場版の制作が発表され、予告が上映されても見る気は最初は全く起きなかった。
というか、都知事直轄の医療チームが横浜で活動する話らしいが、なんだその意味不明な話はと思ったし、爆発シーンがいかにも安っぽい日本のテレビドラマのクオリティだし、こんなの見る価値ないなと思っていた。

テレビドラマまではチェックしないが、映画に出ていればとりあえず見るといったタイプの俳優が出ていれば見るかも知れないが、そういうのもいないので尚更、鑑賞予定作品リストからは外れていた。

しかし、急遽見ざるを得ない状況となってしまった。それは、まさかの大ヒットとなっているからだ。限りなくマニアに近い映画ファンを名乗っている以上、その年を代表するヒット作は好き嫌いはさておき、見ておかないといけないと思うしね。じゃないと、その年のトレンドなんて語る資格はないからね。

最近、テレビドラマの劇場版は当たり外れが大きくなっている(内容面もそうだが興行面でも顕著になっている)。ヒット作が依然として多いフジテレビ系の作品ですら興収10億円に届かない作品もある。

また、フジテレビ系でなくてもジャニーズ出演作品はジャニオタの動員で比較的好成績をあげることが多いが、櫻井翔出演の「映画ネメシス 黄金螺旋の謎」は興収5.9億円と苦戦している。
それから、興収23.9億円の「Dr.コトー診療所」のような例外はあるものの中高年受けするドラマの劇場版は全般的に不調となっている。

本作のテレビ版はTBSの「日曜劇場」枠で放送されている。この枠と言えば、一般的には池井戸潤原作作品など中高年受けするものが多いことで知られている。
本作のもととなっているドラマ版「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」も医療や政治といった題材を扱っていることから、池井戸作品ほどではないものの、ある程度、中高年をターゲットにした作品だと思っていた。

でも、この劇場版のヒットって、明らかに若者層が支えているよね。

人気アイドルグループ、=LOVEのメンバーが本作を見に行ったり、関連イベントに行ったことを若干、興奮気味にSNSで語っていたところを見ると、それは間違いないと思う。というか、テレビ版の時点で若者支持が高かったということなのかな?それとも、テレビ初放送時は「日曜劇場」枠での放送ということで若者にはあまり注目されていなかったが、その後、配信で“面白い”と思う若者が増え、それが劇場版のヒットにつながったってことなのかな?

それにしても、今年のゴールデンウイークの映画興行って過去最高レベルになるような気がして仕方ない。GWという言葉は映画業界が生み出したと言われているが、これまでGW公開作品で興収100億円を突破したのは、「美女と野獣」と「アリス・イン・ワンダーランド」というディズニーのアニメーション映画を実写化した2作品しかなかった。

でも、今年は「名探偵コナン 黒鉄の魚影」がシリーズ初の興収100億円突破が確実視されているし、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は「コナン」よりもターゲットが広いことから、場合によっては「コナン」超えの可能性も指摘されている。
となると、今年は史上初めて複数の100億円突破作品を輩出したGWになるんだよね。

一方、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」は1本で描ける内容を無理矢理2部作にした守銭奴的なやり方が嫌われたのか、GWにハロウィンの話が合わないと思われたのか(去年の「コナン」映画はハロウィンの話で大ヒットしているけれどね)、単にオワコンになってしまったのかは知らないが現時点は興収11.7億円と物足りない数字になっている。

しかし、「東リべ」の不振を補うくらい、「TOKYO MER」が好調だからね。「マリオ」や「コナン」よりもチケット売上が良い劇場もあったらしいから、配給サイドの言う興収30億円は確実に狙えるんじゃないかって思う。
公開前は誰もがこけると思っていたのでは?「ネメシス」まで酷くないとしても、せいぜい去年のGWに公開された同じ医療ドラマの映画化作品で思ったよりヒットしなかった「劇場版 ラジエーションハウス」の9.4億円程度をあげられれば御の字と思っていた人も多かったのに興収30億円、しかも、「東リべ」超えだからね…。

ただ、感動の押し付けはどうなのかという気もする。イコラブのメンバーが“感動した”と言うくらいなら、ちょっとステマっぽく見えてしまうけれど、まぁ、許容範囲かなとは思う。
しかし、上映館の一つであるヒューマックスシネマが、“この作品で感動するかしないかで、「人間性があるかないか」がわかるそうてす”とSNSでつぶやいたのは作品自体のイメージを悪化させてしまう悪手中の悪手だと思う。

しかも、このツイートに対する批判の声を受けたヒューマックスの謝罪コメントがなっていない。

「お客様の受け取り方をこちらで判断する意図で書いた訳ではございませんが、そのように受け取れるツイートをしてしまい、深く反省しております」って、全然、反省していないよね。

まぁ、ヒューマックスに関しては時々、ブラック企業みたいな書き込みを見かけることがあるから、同調圧力の強い企業風土なんだろうなというのはこの騒動一つとってもよく分かるかな。

そんなわけで色々と話題になっている本作を見ることにした。

いやぁ〜、見ている間に思わず失笑の声が漏れてしまいました…。

ツッコミどころ満載の映画というのはたくさんあるし、綾瀬はるかとか新垣結衣あたりが出ている映画のほとんどはツッコむのを楽しむために見る映画だと思う。

でも、この映画は酷い…。
ツッコミどころ満載ではなくツッコミどころしかないからね。

おそらく、年間100本以上映画館で見るようなシネフィルとか、キネ旬や映画芸術に寄稿するような批評家・ライター・業界人でこの映画を評価する人はほぼ皆無だと思う。

一方、デートとか友達・家族の付き合いでしか映画館に行かないような人は泣けるとか迫力あるとか言って大絶賛する。

そんなタイプの映画だと思う。だから、酷評しにくい雰囲気はあるよね。例によって、批判すると「これだから映画マニアは」って叩かれるやつ…。

自分はおそらくシネフィルだと思うので、この映画を評価できません。

今年のワースト映画争いをする1本だと思います。現時点ではワースト候補作品は3本あるんだよね。うち2本が本作を含むテレビドラマの劇場版だけれど。

いちいち校閲した文章を書いていられないほど全編がツッコミどころなので印象に残ったクソポイントを以下に列記します。

⚫︎そもそも燃えている飛行機やビルの中で医療行為を行うこと自体おかしい

⚫︎揺れる車の中で手術するのもありえない

⚫︎いくら医療行為とはいえ、そして服の上からとはいえ、女児の胸を男の医師が触るのは現在の映画やドラマにおけるコンプラ的観点からしたらダメだろ

⚫︎やたらとテレビ版の名場面らしきものをインサートして感動させようとするのは映画としてダメでしょ

⚫︎都知事管轄の医療チームや東京消防庁が横浜で活動するのが意味不明

●都知事がずっと、MERの司令室にいるが他の仕事はどうした?

⚫︎横浜の名前がついたMERの指揮権を厚生労働大臣がとっているのも意味不明。これも神奈川県知事の管轄でいいのでは?

⚫︎一般人が“MERだ!”と声をあげるのも謎。一般人は知らないでしょ。知っているのは、緊急車両マニアか、去年、お台場で開催された地下中心のイベントで起きた熱中症騒ぎで記憶しているドルオタくらいでしょ!

⚫︎延焼中のビル内で患者を寝かせられる部屋が見つかるのはご都合主義が過ぎる!

⚫︎主人公同様医療従事者である妻が大惨事の最中に産気づくという話は「Dr.コトー診療所」の劇場版でも見た。これもクソ映画だった

⚫︎36人におよそをつけるのは意味不明!およそをつける時は切りのいい数字にするんだよ!

⚫︎放火犯も重傷だったはずなのに犯行の詳細を供述しているのは何故?

⚫︎主人公はガレキに脚を挟まれたのにそのガレキをバンバン叩いたら余計、脚を圧迫するよね?
そして、あれだけ長いこと挟まれていたら普通は脚は切断となるし、運が良くても一生、松葉杖をつく生活になると思うのだが、それから数十分後か数時間後か知らないが、手術を執刀しているのは意味不明

⚫︎赤ん坊の命だけ助けて妻を見捨てるのが嫌だからってメスを投げ捨てるな!お前、本当に医者か?

⚫︎どう考えても、安全第一の横浜チームの言っていることが正論なのに、根性論の東京チームの方が正義みたいな論調は腹が立って仕方なかった

⚫︎とりあえず、神奈川のことを近隣自治体は嫌っているということはよく分かった。これだけはリアリティのある描写かな

パッと思いついただけでコレだからね…。

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