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「推しが武道館いってくれたら死ぬ」というか「推しがTIFでてくれたら泣く」という話

人気コミック・アニメの実写化作品、特にオタク受けする題材の作品って、オタク側からすると、“は?”と思うものが多い。
福田雄一作品の「ヲタクに恋は難しい」なんて、何故、こんな内容になったのかと言いたくなるほど、オタクに対する偏見だらけの作品だった。

でも、「推し武道」は違った。全話ではないけれど、かなりの確率でウルウルしながら見ることになってしまった…。

良作になった最大の理由は言うまでもなく、オタクやアイドルに対する偏見のないリアルな描写がされていたことに尽きるのではないかと思う。

アイドル、特にローカルアイドルや地下アイドル、そして、そういうアイドルのファンなら共感してしまうようなエピソードのてんこ盛りだったからね。

アイドル側の話でいえば、グループ内でのメンバー間の人気格差とか、昔いたグループと今いるグループの人気格差で悩む姿はリアルだし、特に内気なアイドル、舞菜はオタクならつい好きになってしまうキャラだよね。

それから、オタク側の描写もよくできている。メインのオタク3人のキャラ設定は基本的には単推しなんだけれど、くまさは無償の愛に近い感じたし、基はガチ恋一歩手前、そして、主人公のえりぴよは厄介オタ一歩手前って感じでキャラわけされている。ドルオタとしては、この3人全てに共感できるんだよね。単なるスポンサー、単なるガチ恋、単なる厄介にならず、ほど良いところでとどまっているから感情移入できるのだと思う。

まぁ、えりぴよが巨大な桃に襲われてケガをするとか、ありえない描写もいくつかあったけれどね。

そして、何と言っても特筆すべきは、えりぴよ役の松村沙友理の演技だと思う。

常にジャージー姿の女子オタなんてデフォルメもいいところで下手すると現実感のないキャラなのに、それがリアリティあふれるキャラクターになっているのは彼女のおかげだと思う。

まぁ、さゆりんごは元々アイドルだし、アニオタでもあるから、アイドルの気持ちもオタクの気持ちも分かっているし、そりゃ、リアリティのある演技になるのも当たり前なんだけれどね。
「乃木坂シネマズ〜STORY of 46〜」の一編「超魔空騎士アルカディアス」でもオタク気質を活かした名演技を披露していたしね。

アイドル時代の露チュー騒動や、乃木坂46卒業後のヒカルとの恋愛スキャンダルなどで、さゆりんごのことを良く思わない人は多いかも知れないが、オタク役を演じるのはうまいと思う。それだけは評価して欲しい。

それにしても、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」というタイトルがいいよね。自分は死にたいとは思わないけれどね。
やっぱり、ドルオタなら自分の推しがさらに大きなステージに立つ姿を見たいと思うものだしね。

自分の場合は、「推しがTIFでてくれたら泣く」といった感じかな。

本作の主人公えりぴよは、舞菜から受け取ったビラをきっかけに彼女や彼女が所属するアイドルグループChamJamに興味を持ち、ステージを見ることになるんだけれど、ドルオタならこういう経験をしたことある人って多いと思うしね。

TOKYO IDOL FESTIVAL会場周辺ではTIF出演者でないデビュー間もないアイドルや地下アイドルなどがビラ配りするのが恒例行事なようなものになっている。自分も当時RAISEというグループに所属していた雨宮楓というメンバーからビラを受け取ったことがある。そして、何故か彼女にひかれるものがあって、その後、RAISEが出演する対バンライブに足を運んでしまったんだよね。この時はTIFの運営がグダグダで見たいものもロクに見られない状況で意気消沈していたから、つい、自分好みのルックスの彼女が天使のように見えてしまったというのもあるのかも知れない。

そして、これ以降、何度か彼女が出演するライブを見る機会を得た。RAISEはすぐに活動休止となってしまったが、その後、スタガロというグループに加入し、現在は思い出とプレゼントのメンバーだ。グループがなくなったり、別のグループに入ったりというところも、本作でメインアイドルとして描かれているChamのメンバーと共通しているよね。

そんな彼女にある時、物販(チェキ撮影会)で言われたことがある。“TIFでビラを配っても実際にライブを見に来てくれる人は多くない。でも来てくれた。だから、いつか自分もTIFのステージに立ち、TIFきっかけで得たファンと一緒にTIFの空気感を共有したい”といった趣旨の話をされた。
そして思った。自分のとりあえずの目標はこれだと。彼女がTIFのステージに立つ姿を見届けることがドルオタとしての使命だと。

彼女が現在所属している思い出とプレゼントは、過去に所属していたRAISEやスタガロよりも所属事務所の規模も大きそうだし、グループとしてもファンの数が多そうだ。とりあえず、TIF出場権をかけたイベントなどに出て、その後メジャーデビューを果たし、数年後には実際にTIFに出演する。そんな未来が期待できるような気がして仕方ない。
その時が来て、その現場に自分が行けたとしたら間違いなく泣いてしまうだろうね。

とりあえず、「推し武道」に関しては来年公開される劇場版が楽しみだ!

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