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傷物語 -こよみヴァンプ-

テレビアニメの総集編映画というのは何本も作られている。こうした作品を映画と呼んでいいのか否かという議論はたびたび起きる。

中には、単なる修正したり追加したりしたシーンがあるというレベルではなく、作画をやり直したり、BGMやSEを付け直したり、台詞を録り直したりしたものもあるので、こうした手間暇を加えた作品は映画と呼んでいいと思う。

日本アカデミー賞は原則、再編集作品はアニメだろうと実写だろうと映画として認めていないが、2019年の「男はつらいよ お帰り 寅さん」は新撮による現在のシーンが多いことから新作として認められ、最優秀作品賞候補である優秀作品賞受賞作品となった。

本作は2016年から17年にかけて3部作として上映された作品を再編集して1本の映画としてまとめたものだ(まぁ、3作中2本が上映時間60分台だからイベント上映みたいなものだが)。
だから、ある1本の映画の単なる別バージョンであるディレクターズ・カットとかロング・バージョンとは異なる。

そうした様々な要素を考慮すると、本作はかろうじて映画と呼んでいいものだとは思う。



とはいえ、出来のいい編集だったかと言うと、そうではなかったとしか言えないと思う。
無声映画の字幕っぽい黒味の説明テロップはイベント上映程度の尺の作品なら気にならないが、上映時間2時間24分の作品でやられるとウザいとしか思えない。

というか、そういう演出はオリジナル版が公開された2016〜17年にはイケてる演出だったのだろうが、2024年にやられるとダサいよねと思った。

これ以外にも時代の流れを感じさせてくれる要素が多かった。

エロやグロは現在の観点ならNGだし、ギャグも時代遅れだ。

作画や音楽の付け方も当時はクールだったのだろうが、今見ると古くさい。

主題歌担当のクレモンティーヌはオリジナル版公開の時点でもひと昔前の人気アーティストというイメージだったが、洋楽不振が長引いている現状からすると、若いアニメオタクは彼女のことを知らないのではないかと思う。

それから、堀江由衣がヒロイン役ポジションのキャラを演じることも最近ではあまりない。

本当、時の流れを感じさせてくれる作品だった。

再編集映画でなく、新たに作画し、もう少し若い世代の声優を使ってリメイクした方が良かったのではないかという気もしないでもない…。





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