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あなたの番です 劇場版

テレビドラマやテレビアニメの劇場版というのは総集編映画を除けば、基本はテレビシリーズの続きか、テレビシリーズの途中に挟まるようなエピソードやサイドストーリーを描くことが多い。
そうでなければ、前日譚か、本来の主人公以外のキャラクターをメインにしたスピンオフだ。

従来のテレビシリーズとは異なる世界観で展開するパラレルワールド的作品もある。

通常は日常生活のエピソードが中心の「クレしん」が劇場版だと、SF・ホラー的なストーリーになるのもこのパターンだと思う。

とはいえ、あくまで通常の劇場版の「クレしん」は通常の日常生活にSF・ホラー要素がミックスされただけなので、時間軸的にはサイドストーリー型の作品に近い。

一方で、本線から枝分かれしていくタイプのパラレルワールドを展開していく作品もある。
「エヴァ」の旧劇はテレビシリーズのラスト2話を別ルートでやり直すというものだった。
また、新劇はテレビシリーズと同じスタート地点からやり直していき、最初のうちはリメイク的な感じになっていたが、徐々に別ルートの話になっていくというものだった。
そして、今年公開された「シン・エヴァンゲリオン」は、テレビシリーズ、旧劇、新劇全てのルートを最終的に総括した完結編として作り上げた作品だ。

本作の作りは「エヴァ」型に近いと言っていいのかもしれない。まだ、枝分かれしたのは本作だけなので「シン・エヴァンゲリオン」のような終わり方ではないが。

話自体はツッコミどころは多いが、まぁ、2時間枠のサスペンスドラマとして見れば可もなく不可もなくといった出来だと思う。映画的カタルシスは足りないとは思うけれどね。本当、テレビスペシャルだと思う。

でも、田中要次に“あるよ”と言わせたり、豪華客船の先頭にある人物がくくりつけられているシーンは「タイタニック」を思い浮かべずにはいられないし、それから、猿岩石の曲はデュエットで歌うべきだという台詞があったりもした。こういうのはアラフォーからアラフィフの観客に向けた小ネタ提供だと思う。そうしたネタを楽しむのが好きな人はそこそこ満足できると思う。

でも、外国人=犯罪者集団みたいなステレオタイプ描写は現在のポリコレ的視点からすると、ダメでしょって思う。まぁ、こんな映画、国外は全くターゲットになっていないから国際的批判も何も起きないとは思うが。

こうした外国人に対する描写もそうだけれど、本作の原案担当の秋元康の最近のネトウヨ化は酷いよね。
乃木坂46の最新シングル“君に叱られた”なんて言いたいことは“文句を言うな!批判するな!”だからね。つまり、ネトウヨがよく言う“野党は批判ばかり”という主張と同じ内容の歌詞なんだよね。

同じく乃木坂の“僕は僕を好きになる”では、“自分にいじめやパワハラを働く奴も好きになれ、嫌うお前が悪い”というめちゃくちゃなことを歌っている。さらに、ラストアイドル“Break a leg!”や22/7“覚醒”では、いずれも一度はじめたことはやめるなと訴えている。それって、マスコミや野党に批判されても政府は無視しろって言っていることでしょ。
やっぱり、コロナ禍で握手会商法が通用しなくなって、思うように金稼ぎができなくなったから、秋元康の思想が保守化しているのではないかという気がする。

まぁ、本作の最大のツッコミどころは原田知世だよね。いくら年の差カップルとはいえ、田中圭と夫婦なのはどうなのよって言いたくなるよね。
親子でもおかしくないと思うんだけれど。
原田知世は、吉永小百合的ポジションになりつつあるのかな?「いのちの停車場」で吉永小百合の父親を演じた田中泯は彼女は同い年だしね。

あと、田中圭って、どの作品に出ても同じ演技だよね…。

まぁ、演技は微妙かも知れないが西野七瀬が可愛いかったからよしとするか。

それにしても、子どもの観客が多かったな。殺人絡みの話なのにね…。

もしかすると、今の子どもが一番見るテレビ局って、日テレなのかな?

「今日から俺は!!」の劇場版も子どもの観客が多かったし、日テレドラマの劇場版は子どもが見たがるんだろうね。
まぁ、今の小学生の親世代である30代から40代前半くらいが一番見るテレビ局が日テレなんだろうね。
その上の40代後半から50代はフジテレビ好きが多かったけれど、そうした人気テレビ局のポジションが今は日テレに移ったってことなのかな。こういうテレビドラマ劇場版の客層を見るとキー局の栄枯盛衰を感じるな。

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