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ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”

正直言って、最近の雑誌は読むところがない。ほとんど新しい情報がないし、ページ数も減っているしね。さらに、限りなくステマにしか見えない記事も多いしね。特に日経エンタテインメント!なんて酷い。
だから、アイドルやイケメン俳優のグラビアで買わせる雑誌が増えているんだと思う。

現在、自分が毎号買っている雑誌は5誌だ。これに特集や記事、グラビアなど内容を見て不定期で買っている雑誌がいくつか加わっている。

ぶっちゃけ、これらの雑誌のほとんどは情報収集のためのメディアとしてはほとんど機能していない。最新情報を入手できるのは広告ページくらいだ。
ロッキング・オン(洋楽)やBURRN!は懐古記事ばかりだし、中でもロッキング・オンなんて過去インタビューの再録も多い。リスアニ!は季刊誌だから情報の鮮度に限界がある。そして、日経エンタテインメント!なんて何度も言うが、ステマとしか思えない記事だらけだ。

そんな中、唯一、情報を仕入れられる雑誌として今でも機能しているのが、意外や意外、権威中の権威であるキネマ旬報だ。
GWや年末年始などに合併号となることが最近は増えたけれど、基本、月2回発行というペースなので、ネット時代になっても、ある程度、情報の鮮度を保てているというのもあるし、Yahoo!ニュースの芸能記事では取り上げられないようなミニシアター系映画の情報やゴシップではないハリウッドのニュースもカバーされているというのが読む価値のある理由だと思う。

でも、そんな権威的なキネ旬ですら、最近はジャニーズや日本のイケメン俳優のファンの女性に媚びた紙面作りになっているんだよね。

結局、アイドルとかイケメン俳優のファン以外はほとんど雑誌を買わなくなったってことだよね。特に女性は購買力が高い。女性のオタクは男のオタクと違って、水商売や風俗で軍資金を稼ぐことができるからね。そりゃ、売れるCDがジャニーズやK-POP、男性声優の作品ばかりになるわけだよね。

だから、雑誌の売り上げをのばすため、出版社の経営を安定させるために、ジャニーズメンバーを表紙や巻頭特集にするというのは、ビジネスとしては至極真っ当なやり方ではあるんだよね。

とはいえ、昔ながらの映画ファンとしては違和感を抱かざるを得ない面もおおいにある。
一時期、キネ旬ベスト・テンはネットでも投票を受け付けていた。ところが毎年のようにジャニーズメンバー出演作品が上位にランクインするようになってしまった。
2017年なんて、嵐の大野智主演の「忍びの国」が読者投票部門の日本映画2位だからね。そんなのありえないでしょ。
しかも、トップ10内にはこれ以外にもジャニーズ主演作品が複数ランクインしていた。ジャニオタによる組織票であることは明らかだ。

なので、キネ旬はその後、ベスト・テンの投票は本誌綴じ込みのハガキでしか応募できないという方針に変更した。
決して安くない雑誌本体を買わなければ投票できないとなれば、組織票の数は減るし、投票権を得るために雑誌本体を買うといっても、1冊か2冊しか仕入れていない書店だらけだから買い占めもそんなにできない。仮にネットで大量に注文してくれれば、自分たちの利益は増す。
組織票防止の観点でも、収入増の観点でも、そういう対策を取るのは妥当だとは思う。

でも、そうした自分たちの権威を保つためのベスト・テンからジャニオタを締め出しておきながら、普段はジャニオタに金を落としてもらおうと、彼女たちに媚びた紙面作りをしているというのは矛盾の塊でしかないと思う。

勿論、ジャニーズメンバーの関わる映画全てがクソだとは思わない

岡田准一なんかは、アクション監督を務めたり、撮影にも関わったりしているくらいだから、単なる俳優ではなく映画人と呼んでもいいくらいだと思う。また、何をやってもキムタクではあるが、木村拓哉には昔の映画スター的な要素はあると思うし、二宮和也は出演作品全てが良作とは言えないものの、それでも彼の演技は優れていると思う。

だから、俳優としての二宮に注目している映画ファンや批評家が多いのも事実ではある。
とはいえ、いくら二宮が嵐のメンバーだからといって(嵐は活動休止中)、嵐のライブパフォーマンスだけを収録した作品をキネ旬の表紙・巻頭特集にするのは違うんじゃないかって思うんだよね。

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マーティン・スコセッシ監督がザ・ローリング・ストーンズのライブを収録した「シャイン・ア・ライト」はあくまでも一般の映画として公開された。

これに対して本作は、堤幸彦という一般の映画やドラマを手掛けいる演出家が監督としてクレジットされているとはいえ、入場料が3300円も取られる特別上映作品でもある。
要は、シネマ歌舞伎とか、ゲキシネ、あるいは、コンサートなどのライブビューイングみたいなものと同じ扱いってことでしょ。
それを普段は権威を振りかざしているキネ旬がジャニオタに媚びて大特集するというのは恥を知れと言いたくなる気分だ。

作品自体は良くも悪くもライブDVDという感じだった。

冒頭にコンサート開始時の国内外の街並みの様子が映しだされたので、てっきり、各地のファンがライブビューイングなどで盛り上がっている様子などがインサートされるのかと思ったら、そんなことは全くなかった。

また、今年公開されたオアシスの「ネブワース1996」のようにメンバーやファンのコメントが挿入されることもないし、ストーンズの「シャイン・ア・ライト」のように撮影スタッフの舞台裏が映しだされることもない。
だから、ドキュメンタリーではなくライブDVDもしくは、録画のライブビューイング上映といった方がいいのだと思う。

確かに「ネブワース」は楽曲の使い方はコマ切れで、中にはBGM扱いにされている曲もあった。さらにほぼフルで流されている曲でも途中でボイスオーバーが入ったりもしていて、楽曲を聞きたい、パフォーマンスを見たいと思うアーティストのファンとしては消化不良感があったのも事実だ。

ファンからすれば、ファンとかスタッフが出てくるドキュメンタリー要素よりも、パフォーマンス自体を見たいという気持ちの方が強いだろうから、こういう作りになるのはファンサービスとしては大正解なんだけれど、映画としては大大失格だよね。

まぁ、途中でところどころ、スロー編集が挟まったりするのは、堤幸彦をはじめとする映画用のスタッフが“このままだと単なるライブDVDになっちゃうよね…”という思いから、何とか“抵抗”しようとやったことだとは思うが。

それにしても、3300円という通常よりも遥かに高い入場料を取っておきながら、通常作品の上映時よりもCMの量が多いってどういうことだよ!ふざけんな!スポンサーはジャニオタが大量にやって来るからプロモーションのチャンスと思っているんだろうが、それだけ、CM出稿があるなら入場料を下げろよ!

それにしても、嵐のライブってワンハーフ歌唱とかメドレー歌唱が多いんだね。メンバーがトロッコで場内を回る演出も含めて、ジャニーズとAKBグループのコンサートって共通点が多いなとは思った。まぁ、AKBの方が参考にしたんだとは思うけれど。

違うところは嵐にはバックバンドがいるってことかな。AKBグループというか坂道シリーズもそうだけれど、日本の女性アイドルのライブというのはカラオケに合わせた歌唱が多い。でも、嵐はきちんとバックバンドの生演奏に合わせてパフォーマンスしているようだ。
まぁ、本作はファン目線で画作りされているから終盤になるまで、全然、バックバンドがいることに気づかなかったんだけれどね。

この辺が声優アイドル系のライブ映像との違いだよね。声優アイドルの場合はオタクもきちんとバックバンドの演奏を聞くから、ライブ映像にもきちんとバンドメンバーが映っているが、ジャニーズにしろ、ごく稀にバックバンドの生演奏付きでライブを行う女性アイドルにしろ、バンドメンバーがライブ映像にきちんと映ることは少ないからね。その辺がアニオタとドルオタの違いなのかな。

そして、今回のライブは2019年12月収録ということで、コロナ前だから、当然、ファンの歓声やコールが入ったものとなっている。そういう風景を見ると、このような“正常”なライブの光景がいつ戻ってくるのだろうかとつい思ってしまう。

その一方で、やっぱり、アイドルも含めた邦楽のライブって、世界基準で見るとおかしいよねとも思う。拍手する場所もコールを入れる位置も決められているし、アーティスト側が歌ってと言わない限りはシンガロングしてはいけないというおかしな文化があるからね。

嵐なんて、シンガロングしたくなる曲がたくさんあるのに、誰も口ずさまないんだから、やっぱり、違和感あるな…。

まだ、シンガロングしなくても、女性アイドルとかアニソン系のライブはコロナ前なら、あちこちにコールだMIXだなんだと入っていたから盛り上がり感はあったけれど、ジャニーズや一般邦楽にはそれがないからね…。
結局、自分が女性アイドルや声優のライブばかり行くのは洋楽ライブに近いからってことなのかな…。

《追記》
アンコールがエンドロールのBGM扱い。しかも音声のみというのは酷いと思う。まぁ、ソフト化して売るためなのかな?

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