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「百万石まつり」撮影禁止問題を考える

個人的には、祭りやイベント、コンサート、スポーツの試合などパブリックな場所で開催された催しものに関しては、出演者、スタッフ、観客含めた全ての来場者は、その場にいた時点で肖像権は放棄したものとみなしていいのではないかと思っている。

だから、芸能人だろうと一般人だろうと関係なく、その場にいる者は自分が被写体になってしまうことをあらかじめ覚悟しておくべきだと思う。一般人であってもモザイクやボカシを入れる必要はないと思う。

映りたくないが、どうしてもその場にいたいという人は、ずっと下を向いているか、サングラスでもかけていればいいだけのことだ。

百歩譲って、入場料を徴収している催しはクローズドなものなので、出演者やスタッフ、主催者、会場などと来場者の間で撮影禁止という“契約”が交わされているから、誰でも気軽に写真や動画の撮影、音声の録音をしてはいけないという理屈は分からないでもない。

でも、オープンなスペースで開催されるものに関しては、その場にいた人間全てに撮影・録音の権利はあるべきだし、芸能人だろうと一般人だろうと、その場にいる人間は被写体になることを覚悟すべきだと思う。

よく、コミケなどオタク系イベントにマスコミ取材が入ると、オタクなりイベントの運営なりに、“画面に映っている人間全てに許可取れ”とかアホなことを言うのがいるが、そんなの無理な話だからね。

コロナ前のコミケは会期中の4日間で75万人が来場したと言われている。単純計算すれば、1日あたり18〜19万人の来場者だ。勿論、マスコミは開場時間中、ずっと会場で取材しているわけではないとは思うが、それだって、取材時間中に会場にいる来場者は数万人はいるはずだから、その全員に許可取るのなんて不可能なわけだしね。そもそも、来場者や出展者を撮影させたくないなら取材許可なんか出さなきゃいいんだよね。

コミケと同じことが、今回の「百万石まつり」にも言えると思う。

栗山千明側が観衆に撮影禁止を要請し、それに応じなかった者には100万円を請求する(もしかすると、百万石とかけたのかな?)と表明したことに関しては、栗山側、運営側含めて、言った・言わない論が繰り広げられていて、真実は分からないが、それでも、栗山本人が一般人に撮影されたくないと思っていることだけは確かだと言っていいと思う。

公式や取材クルー以外のカメラに撮影されるのが嫌な芸能人は、こうした公道を使った催しには参加すべきではないし、運営側も芸能人側の言いなりになって、それを承知してはダメでしょ!

何故、撮影を禁止するのかといえば、理由は大きくわけて2つあると思う。

1つ目の理由は自分の映り具合をコントロールしたいからだ

いくら性能が良くなったとはいえ、スマホで撮影した写真はクオリティに劣るものが多い。

アイドルのライブに撮影OKのカメコ席を設けるものが増えたが、この席で撮影する際にスマホ禁止となっていることが多いのは、スマホの荒い画像では宣伝効果にならないと思っているからにほかならないと思う。

入場料を取っている客にノーギャラで広報活動をやらせるなんておかしな話だけれどね。

また、女優やアイドルのSNSでは、アプリなどで加工・修正された写真がアップされることが日常茶飯事だ。公式やマスコミには、“この角度からは取るな”とか指示できても、来場者全員にそれを周知させるのは不可能だし、ましてや一般人は修正なんてしてくれない。だから、一般来場者には撮影させないとしている者も多いのだと思う。

そして、もう1つの理由は日本の芸能界が前近代的だということだ。

何しろ、日本の芸能界はいまだに生写真(ブロマイド、プロマイド)がグッズとして成立していて、重要な収入源になっているからね…。

それに、世界的には電子書籍が一般化しているのに、いまだに紙の書籍の売り上げが重要視されているから、素人が撮った写真がネット上で拡散されると、写真集やグラビアが掲載された雑誌の売り上げが落ちると考えているのだろう。

動画に関しても同じだ。動画がネットで拡散されれば、DVDやBlu-rayの売り上げが落ちると考えているのだろう。世の中的には、配信サービスで動画を見るのが当たり前になっているのに、いまだにフィジカルの売り上げにこだわっているから、こういうことを言い出すんだろうね。

そして、また、カメコ席の話になってしまうが、カメコ席の中には、一般の席よりも高い入場料が設定されているものもあるんだよね。

広報活動をやってあげているんだから、本来ならギャラをもらってもいいくらいなのに、逆に一般席よりも高いっておかしいでしょ!

でも、ドルオタのオッサンどもは文句を言わず、喜んでタダで、というか、金を取られてまでして、広報活動に協力しているんだよね。

今回の百万石まつりにおける栗山千明の撮影禁止騒動に関しても、“撮影禁止は当たり前”とか、“撮影禁止は公道上でのイベントだから無理だけれど、個人のSNSにアップするのは控えるべき”などと栗山に同調するコメントが目立つ(それと同じくらい、批判的な声も多いが)。

結局、喜んでカメコ席で撮影するドルオタにしろ、栗山を擁護する連中にしろ、自分は芸能界とかイベント業界側の人間だと思い込んでいるのが多いんだよね。

あんたらはカタギなんだから、芸能人や芸能事務所、代理店の肩なんか持つ必要ないんだよ!一般人なら、素直に“何で撮影できねぇんだよ!おかしいだろ!”と文句を言っておきなさい。

というか、一応、マスコミ関係者の自分からしても、今回、栗山千明側がやったことはおかしいと思うぞ!

※画像は「金沢百万石まつり」の公式ホームページより(報道引用)

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