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ルパン三世 PART6

1980年代末から2010年代初頭までは、ルパン三世というアニメは年に1回放送される(1990年の2作目からは「金曜ロードショー」枠)テレビスペシャルという形で延命していたコンテンツだった。
90年代には劇場版が2作品、00年代にはOVAが2作品発表されたが、大きな話題にはならず、年に1回、金曜ロードショーで見る、要は近況をよく知らない大物演歌歌手を大晦日に紅白歌合戦で久々に見るみたいな感じになっていた。

そんな、懐メロ的コンテンツだったルパン三世が活性化したのは2012年のことだ。スピンオフとはいえ、実に16年半ぶりとなるテレビシリーズ「LUPIN the Third -峰不二子という女-」がこの年に放送された。

翌2013年には「名探偵コナン」とのコラボ映画「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」が公開。

2014年には現在までに3作品が発表されているイベント上映作品「LUPIN THE IIIRD」がスタートした。

そして、遂に2015年から16年にかけてはスピンオフでない久々となる本線のテレビシリーズ「PART4」も放送された。

また、2018年にはテレビシリーズの「PART5」と原作の50周年を記念した(正確にはこの年は51周年)OVA「ルパン三世 ルパンは今も燃えているか?」。2019年には初のCGアニメーション映画「ルパン三世 THE FIRST」が発表された。

ただ、テレビシリーズや映画などでルパンというプロジェクトが活性化するのに伴って、恒例だったテレビスペシャルはあまり作られなくなってしまった。

久々にテレビシリーズが復活した2012年や翌13年はまだ、作られていたが、その次は2016年までなかった。しかも、この2016年のテレビスペシャルはテレビシリーズ「PART4」の再編集プラスアルファみたいな内容だった。
その後は再びしばらく休止となったのちに、2019年に突如、今までなかった年2本体制で放送されただけだ。

そして、2021年秋にスタートしたのが本シリーズ「PART6」だ。正直言って、スタート当初からしばらくは、最初に第0話として先代・次元役の小林清志の次元としてのラスト・パフォーマンスを放送しておきながら、メインの話はルパンとシャーロック・ホームズの因縁を描いた続きもののストーリーというワケのわからない構成にあきれたりもした。

しかも、この“LupinⅢ vs. Holmes”というサブタイトルがつけられたホームズ話を1クール通して描くのではなく、合間合間に全く関係ないストーリーも放送されるというワケの分からない構成だった。この本筋とは関係のないエピソードはゲスト脚本家と称される大物ライターが好き勝手にルパンのキャラクターを使って脚本を書いたものなので、押井守が書いた2エピソードのように、ルパン三世として放送する必要性のほとんどないものまであったりもした。

結局、“LupinⅢ vs. Holmes”として放送されたのは計6話だったから、それだったら、すっきりと話をまとめてテレビスペシャルとして放送した方がいいのではないかと思ったりもした。

そして、ホームズ話が終わったのに、引き続き2クール目も放送されるということに驚いた。
しかも、本筋のストーリーは“Witch and Gentleman”のサブタイトルがつけられていて、どうやら女がテーマだということらしい。
途中でテーマが変わるって、どういうこと?尚更、シリーズでやる必要ないよね?と「PART6」に対する不満は1クール目以上に増していった。
相変わらず、本筋の合間にゲスト脚本家が書いた単発ストーリーが挟まれるのも1クール目と同じだし、だったら、“LupinⅢ vs. Holmes”と“Witch and Gentleman”をテレビスペシャルでやり、残りの単発エピソードを1クールのシリーズで放送すればいいんだよと思ったりもした。

編成の都合で休止になった週の分を別の週に2話まとめて放送したりする放送のやり方も理解できなかったしね。

なので、最終回を迎えた時点で大酷評する気マンマンでいた。

そんな気分がガラリと変わったのが第22話だ。“Witch and Gentleman”のサブタイトルがついていないので、いつものゲスト脚本家が好き勝手にやった同人誌みたいな内容の作品だろうと思っていた。実際、ルパン一味の出番は少なかったしね。
ところが、途中でその印象はガラリと変わってしまった。“Witch and Gentleman”のメイン・ヒロインであり、悪役であることも判明したマティアが登場したのだ。しかも、この第22話のゲストヒロインの母親も、ルパンの母親の可能性がある謎の人物トモエの教え子であることが判明する。

そして、続く23話でさらに衝撃的な事実が明らかにされる。
何と、単発ストーリーと思われていたゲスト脚本家による回のゲスト・ヒロイン全員がトモエの教え子だったのだ。
ということは、制作側がゲスト脚本家に、このキーワードは入れてくれ、こういう描写は入れてくれというのを指示していたということでしょ。
全然、好き勝手に作った2次創作ではなかったということでしょ…。
つまり、見事な伏線を張っていたということ。一気に、クソと言うつもりだった本シリーズに対する評価は一変してしまった。

さらに、1クール目のホームズ話に出てきたキャラまで登場したからね。今回の構成はデタラメではなかったということが分かり、絶賛した気分になってしまった。

ただ、最終話は予想通りの展開で22〜23話で抱いた高揚感が一気に失せてしまった。
トモエは母親ではなかったし、ルパンはトモエに洗脳されたフリをしていただけだったし(一時期は本当に洗脳されていたようだが)、ルパンの出生が分かるお宝をルパンが捨ててしまうし、というのは予想通りだった。

というか、ルパンというコンテンツを終わらすわけにはいかないからそうするしかないんだよね。

でも、この幼少時からルパンを洗脳しようとしていたトモエという人物が出してしまったせいで、過去作品のルパンの行動の全てがルパン本人のものではない可能性も出てきてしまったんだよね。これまでのルパンを否定するのはどうなんだろうかという気もするかな。

あと、原作ではもっと、ハードなことをしているとはいえ、本シリーズの終盤でルパンは明らかにトモエを殺している、それどころか、トモエのアジトをトモエの遺体ごと燃やしているのに、銭形がそれを黙認しているのはおかしいよね。

とりあえず、“Witch and Gentleman”のメイン・ヒロインであるマティアは可愛い!庶民にバケていた時代も、殺し屋の顔を見せるようになってからも、どちらも可愛い!

※画像は公式HPより

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