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Century Tuna Ironman Philippines 2024

2024年6月9日のアイアンマンフィリピン完走しました。アイアンマンは所謂ロングのトライアスロンで、スイム3.9km、バイク180km、ラン42.2kmの形式で行われるレースです。アイアンマンに出ることを目標にトライアスロンを始める人も多いです。アジアでは日本を含めてフィリピン、韓国、マレーシア、台湾、等でアイアンマンレースが行われています。


エントリー

海外アイアンマンに出たいと考えて、いくつかある近隣のレースからフィリピンのスービックで行われるCentury Tuna Ironman Philippinesに出る事にした。決めたのは2023年の9月。ここに決めた理由は、日本から5時間と近く時差も1時間しか無い事、フィリピンには仕事で何度か行っているので親しみがある事、他のアイアンマンよりも移動や宿泊費が安く上がりそうな事、何年間も行われているので運営が良さそうな事、等。エントリーフィーはUSD750+9.25%Active FeeでUSD819.38、日本円で13万円弱。アイアンマン高いな。

移動

日程が決まったので航空券を早速予約。スービックはマニラ国際空港よりもクラーク国際空港が近く、クラークには日本からセブパシフィック航空が直行便を飛ばしてる。往復料金は5万円強、それに自転車追加料金が7000円と食事や席の予約等で合計は7万円強。
格安航空なのでてっきり成田のT3から出ていると思ってけど、T2だった。
自転車は自作プラダンの箱を作り、ハンドル、ペダル、リアディレーラーを外して梱包した。プラダンを飛行機で使うのは3回目だけど、まだまだ使えそう。前回シンガポールに運んだ時は、ハンドルを外すとフォークが固定できなくてガタついたので、安い小さなステムを買って、移動中はそれでフォークを固定した。自宅から成田までは車で移動。フライトが11時発だったので、成田空港近くのホテルに泊まって、ここに車を置いていった。
クラークからスービックの移動は現地のタクシーを予約した。Paypalで事前に支払いができる。値段は12千円強と少し高いが、空港でタクシーを探すよりは確実。

ホテル

スービックにはホテルが多いが、スタート地点のビーチの近くのホテルは少し値段が高かったので、徒歩圏内でそれほど高くないホテルを予約した。しかし、会場とホテルを何度か往復することを考えると、ビーチ近くのホテルの方が良かったかもしれない。

前日まで

移動は木曜日の朝成田出発で、スービックには夕方到着した。その日はタクシーの運転手に教えてもらったスペアリブの店で夕食。

金曜日の午前中に選手受付とエキスポに行った。受付で知り合いに偶然会ったので驚いた。お互い出るとは知らなかったが知り合いがいると少し心強い。受付はパスポート見せて誓約書に署名して、顔写真を取ってグッズをもらって終了。エキスポではメインスポンサーのクラッカーにツナが乗ってるものとか、スポドリとかを試飲した。アイアンマングッズも色々売っていた。
夕方はUnderpants Runを見に行った。本当は出たかったのだけれどもこのイベントがあるのに気がついたときにはすでに出場枠が売り切れていた。その後はホテルでグッズの確認。毎度思うがトライアスロンはグッズが多い。これらをそれぞれのバッグに間違えずに詰めて預けるのもレースの一部。我ながら良く間違えないものだと思う。
ホテルと会場までエアロヘルメットで行ったけど、やはりかなり暑いので、今回はエアロヘルメットは止めてロードバイクヘルメットで出ることにした。

トライアスロンは荷物が多い

金曜日は朝にスイム会場に試泳に行く。水面は穏やかで水もそれほど汚くはなく、良いコンディション。それからスービック空港周辺のバイクコースを試走した。コンクリート舗装で路面状態はあまり良くない。
T1はスイムからバイク、T2はバイクからランとなるが、このレースはT1とT2の場所が違う。なのでT1にはバイクグッズ、T2にはラングッズを預ける必要がある。T1にはレース当日に行くので、前日預けるのはバイクだけ、T2にはレース当日のバイクが終わった後に行くので、前日にラングッズを預ける必要がある。雨が降っても大丈夫なようにバイクにかけるカバーを持ってきたが、アスリートガイドを見るとバイクカバーは使用禁止とあった。
T2まで自転車で行って、ランバックをT2に預けてトランジションエリアの確認。手順は、バイクをラックにかけて荷物置き場で荷物を取って、そこでランの靴を履いて、バイクグッズを袋に入れてラックに戻すという流れ。
夕方にバイクをT1に預けに行く。バイクを預ける時間はレースナンバーの末尾の番号で決まっていた。入口でバイクと記念撮影をしてくれて、バイクを預けトランジションの手順を確認。当日はスイムを上がってから、バイクバックをラックから下ろしてそこで着替えて、スイムグッズをバイクバックに入れて、ラックにかけてバイクに行くという流れを現地で確認する。

補給戦略

シンガポールのT100に参加した時は近くに沢山食事するところがあり、前日にテークアウトしたチキンライスを当日の朝に食べたが、スービックにはどんな店があるかわからなかったので、日本からアルファー米を持参して朝はそれを食べた。バイクの補給はモウルテン Drink Mixを2つ、エネモチ2つ、スポーツようかん3つ、日新のMCTチャージゼリー3つ、他に個別包装の梅干しを4つ。出発するときにホテルのロビーに出場者用にバーガー、バナナ、ゆで卵があったので、ゆで卵をもらった。

出場者用のホテルの食事


レース当時

3時に起床してアルファ米を15分で調理。その間にナンバータトゥを手足に貼り付け、ボトルの準備をした。その後アルファ米を食べ、3時40分出発。途中でポンプを忘れたことに気づいてまたホテルに戻る。外は暗かったけど該当があるので問題なし。朝帰りの若者とすれ違いにビーチまで歩く。
会場では、バイクに空気を入れ、ボトルと補給食をセット。その後はスイムの格好になって荷物を預ける。ここで預けた荷物とポンプはT2まで運んでくれて、帰る前に受け取るというシステム。試泳時間は5時20分から40分まで、という話だったが、その時間の前でも泳げたので、軽くウォーミングアップで泳いで心拍を上げておく。

スイム

スイムコースは反時計回りに1周1.9kmのコースを2周。沖に向かうブイは黄色で、沖のコーナーにあるブイが赤、そして戻るコースのブイはオレンジというわかりやすいコース。岸から見たら黄色のブイが真っ直ぐに並んでなかったので、最短コースを行くために赤いブイの方向を目指して泳ぐ事にする。
今回は申告したタイム別に帽子の色が違っていた。

スイムコース

確か75分で申告したはずなのに、なぜか90分以上の緑のキャップをもらった。同じような人が何人かいて、緑のキャップで他のグループに混ざっているとマーシャルから外に出されていたが、何人かが抗議をしたら元のグループに戻れたので、念の為マーシャルに話をして、キャップの色が申告と違ってた、と言ったら、75分に入って良し、と言われたので75分のグループに入る。今日はミドルディスタンスのアイアンマン70.5も同じコースで行われるので、先に70.5からスタート、その後6時きっかりにアイアンマンもスタート。水質は透明度はあまり良くないけど、まぁまぁきれいな感じ。流れもほぼなく凪状態でコンディションは良い。予定通り赤いブイを目指すが、ちょうど反対岸にあるクレーンが目印になってくれる。途中でレスキューボートの人からもっと左に寄れ、と言われるが自分を信じて赤いブイを目指す。ガーミンを500mでラップを取るように設定していて、最初のラップは10分オーバー。予定では1:50/100mのペースで泳ぐはずだけど、ちょっと遅い。ガーミンは赤いブイまでの半分から先で鳴ったので、コース取りは悪くない。その後も淡々と泳ぎ続けて、岸に戻るコースで前にスタートした70.5の人たちを何人か追い抜く。ブイの近くを泳いでいる人が多かったみたいで、途中はほぼ人とぶつからずに行く。段々と脇の下がすれて痛くなってきた。シンガポールでも少し擦り傷になっていたのだが、大した傷ではなかったので、何も対策していなかった。しかし、流石に距離が長いのでかなり痛い。500mのラップは相変わらずの10分オーバー。今日はこんなものかとあまりスピードは気にせずに泳ぎ続ける。スイムラップは予想よりも5分遅い1時間20分だった。

トランジション1

スイムはスイムスキンをつけていたが、自分でジップを下げられないので、近くにいたマーシャルにジップを下げてもらった。予定通りラックからバイクの荷物を出して、サングラス、ヘアバンド、アームカバー、ソックス、バイクシューズを履いて、スイムで使ったキャップ、ゴーグル、スイムスキンを袋に入れて、ラックに戻してバイクへ走る。ヘルメットはバイクの上に置いておいたので、ヘルメットを被ってバイクコースへ向かう。

バイク

バイクコースは2023年から一部変更になった。2023年のコースは高速道路を4周回だったみたいだが、今年はスタートして最初に高速道路を2周し、その後スービック空港の周辺を6周するコース。前半の高速は最初は坂が続くが、その後はゆるい登りと下りの連続でほぼTTポジションで行ける。エイドステーションでは、バイクボトルではなくて、ちょっと大きなペットボトルに呑み口がついている水か、ペットボトルのIonというスポドリが提供されていた。Iromanと書いてあるボトルを記念に持って帰ろうと考えていたのだが、置いていなくちょっと残念。スポドリはボトルケージに入らないので、その場で飲み干すしか無い。高速道路の最後の折り返しではゴムバンドをもらい、それで周回を確認する。

バイクコース

前半の約90キロが終わった後はスービック空港周辺の6周回へ。このコースは9割がコンクリート舗装で平坦性がとても悪い。今回はAgilist Fast 25CにTPUチューブだったので、コンクリートの細かい段差で自転車がかなり暴れる。TPUチューブには向いていない路面だった。普通のブチルで低圧だったらもう少し早かった気がする。このコースはリゾートホテルの前にスピードバンプが2つあり、多分ここで後ろに積んでいたボトルを落としてしまった。気づいたときにはモウルテンを入れていたボトルがなくなっていた。ここまで100キロ以上でほぼ飲みきっていたから良かったのだが、ボトルがなくなったのは痛い。その先の短い坂で周回確認のゴムバンドをもらう。2周プラス6周なので、ゴムバンドのコレクションがすごい事になっていた。120キロぐらいで路面が悪いからか、疲れが出てきて集中力が落ちてきたのでトイレ休憩。

予定ではバイクは平均30キロ以上で6時間以内で終わるはずだったが、6時間26分かかってしまった。前回のひたちなかTTの時には補給は甘いジェルだけだったので口が甘さに飽きてしまったので、今回は初めて梅干しが個別包装されている物を試してみた。これは程よく酸っぱくてかなり良かった。

補給食に最適

トランジション2

T2は、バイクをラックにかけて、ヘルメットを置いてバッグをラックから下ろして近くの椅子で着替える。アームカバーはそのままで、靴下を履き替えてシューズを履き替えて、帽子を被ってバッグにバクグッズを入れてラックに戻す。走り出してから腕にゴムバンドをつけたままだった事に気づいて、もう一度ラックまで戻ってゴムバンドを外して袋にいれた。

ラン

ランのコースは3箇所折り返しがある10キロのコースを4周する。エイドステーションはオフィシャルのもの以外にも、地元のチームが出しているステーションがあり、水や氷、スポドリ、コーラ、食べ物等、ふんだんにある。今まで出たことがあるトライアスロンレースの中では間違いなく、一番エイドステーションが充実しているレースだ。天気は曇で気温は30℃以上あり湿度もかなり高い。よするにかなり暑い。エイドステーションで全身に水をかけてもらうが、すぐに熱くなる。エイドステーションで氷水を入れたビニール袋を配っていたので、それに小さな穴をあけて腹回りに入れて、氷が小さくなってきたら氷を口で砕いて飲みほして、体を冷やしながら走る。

ランコース

最初の10キロまではキロ6分を切れていたが、段々と落ちてきて20キロ地点で7分になってしまった。スイムで痛くなった脇の下も水を掛ける度に痛くなってきた。コースは大した坂はないのだけれども、ゆるい登りが続くところがあり、そこがかなりきつい。20キロから30キロまでは、集中力も切れてペースが落ちてしまった。30キロを過ぎると段々と歩いている人も増えてくるので自分も歩きたくなるが、歩かないで頑張る。こういう時には疲れている事はできるだけ忘れて、自分はまだまだ行けると信じて呼吸に集中するとなんとかなるのは佐渡トライアスロンで学んだ。今回はアームカバーをつけっぱなしで走ったが、段々と腕が重く感じられてきた。途中でアームカバーを外そうかとも思ったが、これをつけていると少しは涼しいので、悩みながらもそのまま行くことにした。35キロまでくれば残りは7キロなので、ペースをあげたかったのだが、もう体がいうことをきない。今までのロングのレースでは、30キロぐらいから水のかけすぎで足の裏に豆ができて痛くなるが、今回は小指が少し痛いぐらいで、あまり豆ができていないようだった。

ゴール

最後のラップは各エイドステーションに感謝を伝えながら走った。これだけ暑いコースはエイドステーションの水と氷抜きでは完走できなかった。水掛けも桶を使って豪快にかけてくれるのですぐに体が濡れて本当に助かった。
ゴール前にはちょうど前後にあまり人がいなかったので、両手を上げて喜びを表しながらゴールできた。「You are Ironman!」とMCに言われたときには少しうるっときた。今までロングは、佐渡2回、皆生1回を完走したが、アイアンマンのゴールはまた他のレースとは違う雰囲気で良かった。
結果は12時間29分でエイジグループでは6位だった。コナに出るには、このエイジで1位にならなければいけないので、まだまだ頑張る必要がある。エイジのトップは11時間29分だったので、どこかで1時間も削らなければならない。

ゴール後

ゴール後はすぐにメダルとタオルを掛けてもらい、水とスポドリとココナッツウォーターをもらった。タオルは水で冷やされていたので、とても気持ち良い。その後エキスポ内に入る。中ではフィニッシャーTシャツをくれて、その横でピザとチキンの箱をもらった。とりあえず何か食べようと思って椅子に座って食べ始めたら、体が震えてきた。多分低血糖と冷房が効いているので体温が急激に下がったのだと思う。これはやばいと思い、とりあえずメダルとタオルだけ持って外に出た。ゴールの横に朝に預けたストリートギアバッグがあるので、それを受け取ってスマホを出してゴールを家族に伝える。アイアンマントラッカーで応援してくれていた友人からもいくつかメッセージが届いていて嬉しい。外に出たら寒気はなくなったので、とりあえず靴を履き替えようとしたところで腹筋が攣った。しばらく動けなかったが、攣りが収まってきたので、ゆっくりと靴下を脱ぐ事に成功した。小指はふやけて豆ができていた。左側の豆はすでに潰れて血が滲んでいた。
寒気も収まってきたので、T2のバイクの場所に行って、バイクを取る。それからラックからすべてのバッグをもらって、参加賞のバックパックに詰めてポンプも受け取る。バイクを出す所でバイクを預けたときのように写真を取る。記念撮影なのかと思ったが、バイクを入れた人と出す人が同じ人かを確認するために写真を使っているのかと思った。もう日が暮れていたので、あらかじめ用意していたライトをバイクの前後につけてホテルに戻った。

まとめ

流石に何回も実施されているアイアンマンなだけあって、とてもオーガナイズされているレースだった。荷物の運搬、トランジット内の動線、エイドステーションの場所等は良く考えられていた。今年のスイムコースは波もなく、とても泳ぎやすかった。スービック空港周辺の路面状況が悪い以外は、バイクのコースは高速を飛ばせるので気持ち良い。ランのコースも割と平坦でエイドステーションも十分すぎるぐらい設置されている。全体的にとっても満足できるイベントだった。来年また出ても良いけれども、他の国のアイアンマンにも興味があるので、どうするのかはまた考えよう。

アワードパーティ

せっかくなので、レース翌日のアワードパーティとロールダウンイベントも出た。男性の完走者は288人でコナのスロットは25もあるので単純に上位1割に入ればコナに行ける。いつかは上位1割に入りたいものだ。女子に至っては完走者は18人でニースのスロットは15もある。上位表彰者は日本人が多かった。コナやニースに決まった人達は本当にうれしそうだった。

帰国

アワードパーティの後は自転車でホテルまで戻った。ホテルで自転車を分解して箱に詰め、帰国準備をする。飛行機は火曜日の朝5時出発なので、夕食を早めに食べて7時から1時まで寝て、タクシーで1時にホテルを出てクラーク国際空港へ行った。

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