どんべえ介護日記〜おそらくラストミッション〜 その1
2024年6月7日(金)
ここ数日、昼間はほとんど寝たきり状態のどんべえ。器から水を飲んだり、流動食を食べたりするのも難しくなってきており、舌がうまく出せずに鼻を突っ込んでむせることも増えてきたので、今日からシリンジを使って与えることにする。ただ、ドロドロとした流動食はシリンジの細い口だと通らないので、百均でドレッシング用の空き容器を購入した。
気になるのは、朝から呼吸が浅くて速くなっていること。しかも、口から食べ残しのような茶色い液体が、唾液と共に垂れるように。あとからこれは、腎不全によって消化できなくなった食べ物が逆流してきたものだと知るのだが、この時は口の中が炎症でも起こして出血しているのかと思った。
ただ、普段通り1日2回の流動食を完食し、水分も500mlをちゃんと摂れている。「明日にはまた呼吸も元に戻ってくれるだろう」と、この時はまだ楽観的に考えていた。
2024年6月8日(土)
結局、夕べは一睡もしなかった。どんべえが寝たり起きたりを繰り返しながら、ずっと浅く速い呼吸をしていたからだ。
そのまま外も明るくなり、いつも与えている「ミルク+甘酒+水」100mlにプロポリスとチニックを垂らしたものをシリンジで飲ませようとするが、ちょっと口に含んだ程度でやめてしまう。呼吸が浅かったとはいえ、前日はご飯も水分もしっかり摂っていたというのに、たった一晩でこんなに具合が悪くなるものなのだろうか。
ちょうど昨日の昼、どんべえのご飯、野菜や肉などの食材を調理し(最終的にブレンダーで流動食にする)、タッパーに小分けしてひと月分の作り置きをしながら、「あとひと月、頑張ってくれるかな。作り置いたぶんは完食してくれるだろうか」「その頃には18歳の誕生日を迎えられるのだけど」などと、今までになかった感情が押し寄せてきて少し鬱気味になってしまった。
実はもう、そんなに長くないと自分でも薄々気づいているんだろう。それを認めたくないだけで。
かかりつけの病院が開く時間になったので、どんべえを連れて行く。案の定「かなり深刻な状態です」と言われる。病院でできるいくつかの「延命措置」を教えてもらったが、「最後は自宅で見送りたい」という最初からの方針を貫くため、ステロイドと抗生物質を打ってもらって帰宅した。
夕方、「どんべえ介護チーム」のメンバーであるパートナーと前妻が来訪。3人で今後の方針を話し合う。色々考えなきゃならないんだけど、まだ何の実感も湧かなくて話についていくのがやっとだった。
ほとんど寝ていないし、2人が帰ったあと少し寝ようと思ったが全く寝付けない。
どんべえの呼吸は相変わらず浅く速く、しかも血尿まで出てしまった。腎不全が進行し、血を尿に変えることもできなくなってきたのだろう。
17歳と11ヶ月も生きたどんべえ。やれることはやってきたのだから、最後は明るく見送ってあげたい。そう思っているんだけど、ひとりきりになったら急激に不安が襲ってきた。しかも今日は土曜。上階の住民の騒がしい声が深夜まで聞こえてきて余計に孤独な気持ちになってしまう。
それを察するかのようにパートナーからLINEが来て、数回やり取りをしたらだいぶ気持ちが落ち着いた。
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