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犬の緑内障と、その付き合い方について思うこと

今日は、どんべえの持病の一つである「緑内障」について書いていきたいと思います。

これまでのnoteでも述べてきたように、うちの14歳の柴犬「どんべえ」は現在、緑内障を患っています。日々の対処としては、眼圧を抑える目薬「レスキュラ」の1日1回点眼と、動物病院で数ヶ月に一度の「眼圧検査」を行っています。

● 緑内障の発覚

緑内障が発覚したのは、2014年の9月20日なので今から5年半前です。その日はいつものようにボール投げなどして遊んでいたら、瞳孔の開き方が左右で違っていることに気づきました。犬は興奮すると人間と同じように瞳孔が開くのですが、右眼だけ妙に緑色というか。瞳の大きさも左右で違っていたので「ん? これはちょっとおかしいぞ」と思い、その日のうちにかかりつけの病院へ連れて行きました

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その場で診察してもらったところ、涙液産生量(シルマー・ティアー・テスト:STT)が右眼は30mm、左目は27mmで、眼圧が右眼は30.46.37.34、左眼は20.23.22.17という値でした(通常、眼圧検査は数回連続測定をするので、この場合は計4回計測したという意味です。右眼だったら1回目が30mmHg、2回目は46mmHgということ)。

STTの正常値は15mm以上なので、これは問題ないとして、眼圧は10-20mmHgが正常とされているから、どんべえの右眼はこの時点でかなり高い眼圧、左眼も若干高い眼圧だったわけです。

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ちなみに眼圧検査は、「トノペン」と呼ばれる器具を眼球に垂直に当てて計測します。もちろん、ビビリのどんべえはめちゃくちゃ嫌がって獣医さんに噛み付いてくるので、申し訳ないですがその時だけ毎回「犬ぐつわ」をさせて検査しています。

● 緑内障とは?(犬への点眼方法について)

『もっともくわしいイヌの病気百科―イヌの病気・ケガの知識と治療』によれば「緑内障」とは、

 「眼圧が高くなり、それによって視神経が影響を受け、視野が狭くなる病気。進行すると失明することがあります。軽いものでは特に目立った症状は表れませんが、病気が進むと眼球は痛みを持つようになり、特徴的な変化として散瞳(瞳孔が開いたままの状態)が起こります」

とのこと。

「本来、明るいところでは閉じている瞳孔が開いているため、目の色がふだんと違って見えます。網膜の奥にあるタペタム(輝板)という光を反射する組織が緑か赤かによって、犬の目がふだんより緑色、もしくは赤色に見えることがあります。
 眼球の内圧である眼圧が高くなるため、ひどい場合には目が外にとび出したようになります。
 つづいて、角膜の知覚が弱まったり、角膜炎や結膜炎を併発することもあります。さらに進行すると、視野異常(視野狭窄)や視力障害を起こし、放置すると失明することもあります」

眼圧が60〜70mmHgになると、24〜48時間以内に完全に失明してしまうらしく、右眼は最大で46mmHgまで上昇していたので実は危険だったと思います。この日は目薬を「チモプトール」「キサラタン」「トルソプト」の3種類処方され、1日に1度点眼して1週間様子を見ることになりました。

最初のうちは、点眼もめちゃくちゃ苦労しましたね……。どんべえの顎を支えて上にクイっと上げ、目をこじ開けて目薬を垂らす。そんなの、犬にしてみたらたまったもんじゃないですから、暴れまくり、噛みつきまくりの大騒ぎでした。とにかく注意を逸らすため、大好物の煮干しで釣って(食い意地が張っている犬で本当に良かったです)、騙し騙し点眼させていました。

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翌週、眼圧を測りに行ったところ、右眼が19.22.21.17.13、左眼が13.12.10。なんと、初回と比べたら劇的に眼圧が下がっていました! この時点で目薬を「チモプトール」「レスキュラ」「トルソプト」に変更。3回目の眼圧検査はさらに翌週行ったのですが、そこでは右眼が11.13.14、左眼が10.9と下がって通常値になっていました

動物病院の先生には、「早期に発見できたのが何よりもよかった」と言われました。やはり毎日ちゃんとコミュニケーションを取って、いつもと様子がおかしいと思ったらなるべく早く診てもらうことが大切なのだなと思いました。

ただ、今考えると右眼の色がおかしいと気づく少し前から、仕切りに眼をこすっていたんですよね。その仕草が可愛らしかったのと、「目にゴミでも入ったのかな」くらいにしか考えていなかったことを後悔しています。眼をこするのは大抵、遊んでいる時など彼が興奮している時で。興奮すると眼圧って上がるらしいので、きっとそこで眼に違和感を覚えてこすっていたのでしょうね。

その後、時おり27〜28mmHgくらいまで上昇することはあったものの、通常はほぼ数値を維持したまま「レスキュラ」「トルソプト」の2種類を半年ほど点眼し続け、冒頭で述べたように現在は「レスキュラ」のみの点眼となりました。眼圧は左右とも15mmHg前後をキープしたまま、最初の診察から5年半が経ちます。

● 今後の方針と、緑内障の見分け方について

ご存知の方も多いと思いますが、緑内障は完治が難しい病気とされています。現在の状態からの進行をできる限りくい止めるため、眼圧を低い状態にコントロールすることが重要で、治療法としては「内科(点眼)治療」と「外科治療」の2つがあり、どんべえの場合は年齢のこともあるので、獣医さんと相談し「眼圧を抑えていられている間は点眼治療を続けましょう」という話になりました。

つまりここから先は、緑内障が進行して失明するか、その前に寿命がくるかのいずれかになるわけです。緑内障が進むと眼球が飛び出してしまうので、その時は摘出して義眼を入れるか、もしくは摘出したまま傷口を塞ぐことになるでしょう。

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それを知らされた直後は、正直なところショックではありました。インターネットで「緑内障」を検索し、病状が進んだ犬たちの様子を見て心を痛めたり、いつかどんべえもそうなる日が来るのかと思って落ち込んだりしたこともありました。が、病気の進行に気を病んだり、どんべえのことをこちらが心配そうな表情で見たりすること自体が、彼にとってはストレスでしかないことに気づきました。別にどんべえは、失明したり、義眼を入れたりした自分自身を「哀れむ」なんて概念がそもそもないわけです。目が見えなくなって「不便だなあ」と思うことはあっても、そんな自分を惨めに思うはずがない。それよりも飼い主の精神状態の方が、彼にとっては余程重要です。

であれば、ウジウジとネガティブな考えをめぐらせたり、あれこれと悩んだりしている自分自身をまずどうにかせねばと思い至りました。とにかく、どんべえがこれからの日々をできるだけ楽しく穏やかに暮らせる環境を、ちゃんと作ることこそが大切なのだということを再認識した次第です。

とにかく「緑内障」は、早期発見が何よりも大事。「あれ、なんか変だぞ?」と思ったら、直ちに病院へ連れて行ってあげてください。質問などあれば、出来るだけお答えします。まあ、犬って人間の言葉が話せないから(当たり前だ)、具合が悪くても自分で説明できないし、例えば視力にしても、「見えているのか?/見えてないのか?」のゼロイチでしかこちらには分からないんですよね。「ちょっと右眼が霞んできました」とか「夜になると見えにくくなってきましたね」とか、犬本人がグラデーションで説明してくれたらだいぶ助かるのだけど……無理か。こればっかりは毎日ちゃんと観察して、変化に気づいてあげる以外にないですよね。

ちなみにどんべえは、これまで9つくらい動物病院を変えてきました。現在は3つの病院から意見をもらっています。セカンド・オピニオン、サード・オピニオンを持つことの重要性についてはまたいずれ。

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