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2022年3月の読書振り返り

福岡、浜松、鹿児島と移動の多い月であったが、4冊しか読めなかった。世界に平和が早く訪れますように...。


好きなものを売って10年続く店をつくる

元『雑貨カタログ』編集長で、現在はフリーの編集者をやられている碓井さんの著書。全国の「10年以上続く」雑貨屋さんなどを紹介した内容。雑貨屋を開業するのが夢、いつかはしたいと考えてる人も少なくないと思うんだけど(僕も少し思ってる)、なかなか続けるのが難しそうだなという印象を持っている。そんな中で長きにわたってファンを獲得し、運営を続けているお店の持つ「秘訣」みたいのがわかるかなと手にとった。

総論的な感想になるが、攻めるタイミング、引くタイミングが皆さん上手いなと感じた。特に引くタイミング。オンラインよりも撤退が難しそうな実店舗でも撤退するときはしないといけない。その辺は皆さん経営者としての資質高いなと。リズムよく多くの店を紹介している本なので、1店舗あたりの情報は少ないが、いろんなパターンを知ることができたのは良かった。

集まる場所が必要だ――孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学

孤立や分断、治安の悪化などの解決には、物理的な「社会的インフラ」が必要である、という主張の本。著者は図書館や地域の公園など、地域のつながりを醸成するような施設が軽んじられている現状を嘆いている。

コロナ禍において「意外とリモートでも仕事ができるな」というのが多くの人に認識されたと思う。これはインターネットの登場からの流れである「効率化」の現象の一つでしかないと思ってる。遅かれ早かれこういう時代はやってきた。ただ想定よりも速く、そして強制的にその時代が前倒されてやってきたのは確か。

そしてやっぱりそこで生まれた感情は「物理的な交流って良いよな」というもの。オンラインで効率良く物事を進めながら、実際の触れ合いで感情的な部分を補完しないと孤立は防げない。意外と若い世代もそれを無意識に感じているような気がしてて、各地のピッチイベントでも物理的交流のアイデアを発表する人は増えた気がする。

孤立して育った若い世代、孤独になった高齢世代。全世代にとって「社会的インフラ」は重要だと僕も思う。この本を読んでさらに自分でこの問題について考えるきっかけになった。社会的インフラの整備という観点で街を見ながら春の陽気を楽しんでいけたらと思う。

スターリン - 「非道の独裁者」の実像

こういう時期なので改めてスターリンについて知っておきたくて読んでみた。概ね元々持っていたイメージと違った面は無かったが、当時の時代背景、党執行部の動きなんかも知れてよかった。

ロシア帝国崩壊〜ロシア革命、共産国家樹立と元々国力で欧米に劣っていた中で第二次世界大戦後の冷戦時代で超大国アメリカと張り合うまでの国に育てた手腕はそれなりに評価すべきなのかもしれない。ただそのために支払った犠牲があまりにも大きすぎるというのも事実。

スターリンの歴史的評価が難しいという項で本書は締められているが、毀誉褒貶の人物。個人的には、一定の業績評価はできるし、ロシアソビエト混乱期に出るべくして出てきた独裁者だとは思うが、犠牲が大きすぎるので評価してはいけない、という評価。

競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで

気分転換をかねてさらっと読めそうなものを読みたいと思って購入。さらっと読んだ。サラブレッドの歴史の最初期について比較的よく書かれてる。また初期の「競馬」についても詳しい。なんとなく1900年代中盤の、現代競馬の基点となった種牡馬たちについてもう少し書かれてたらよかったなと思ったりもした。けど通史としてはこれでいいのかもな。


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