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あなたなら、生きることを選択しますか。

【Diversity on the arts project_2019】
ダイバーシティ実践論5
「ALSとコミュニケーションの重要性」真下貴久さん(ALS当事者)

真下さんのお話を聞くのは今回で二回目だ。
昨年も、サンプリングされた自分の声を使ったコンピュータによる発話を使っていたが、それでもかなりの部分、
途中からご本人の声でお話をされていた。今回は、コンピュータによる発話がメイン。
それでも現在の自分の発話状態がどんなものなのか知ってもらうためだろうか、
途中、自らの声で質問に答えた。
そして「Air Flick(エア文字盤)真下式」も披露して
コミュニケーションを取る方法を見せてくれた。
一年で、症状が進行してしまうALSの怖さをあらためて思った。

ALSとは筋萎縮性側索硬化症のことだ。
重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で運動ニューロン病の一種。極めて進行が早く、半数ほどが発症から3〜5年で呼吸筋麻痺により死亡するという。
(もちろん延命措置は可能だ)
真下さんは、発症から四年三か月(受講時)。

真下さんは自身でつくったスライドにこんなページがあった。
ーーーーーーー
ALSによりできなくなる4大ストレス
1)喋れない

2)動けない

3)食べれない(原文ママ)

4)呼吸できない
あなたなら、生きることを選択しますか?
ーーーーーーー
このスライドに続けて、
経済的な負担
二四時間三六五日介護によってしか生きていけないこと
疲弊する家族に何もできない精神的な負担
があることが訴えられている。

体が動かせないだけで、知能や聴覚、視覚の機能はそのまま。
自律的に動く内蔵などの働きも変わらない。
でも、徐々に閉じ込められていく。

日本においては、約七割のALS患者が人工呼吸器をつけずに
死を選択しているという。

昨年はいっしょに受講していた若い藝大生の女性が質問にたち、
「絵を描くことしかできない私が、絵が描けなくなるとしたら…」と

涙を流していた。

一年経って今、思いの外、冷静に話を聞いてしまった自分がいた。何もアクションを起こしているわけではないし、理解しているとも言い難い。知識の量は、今日はじめて真下さんに出合った人よりもほんの少しだけ勝っていたかもしれないという程度である。

真下さんのユーモアは健在だった。
それは罹患する以前の真下さんを特徴づける重要な資質だったと思う。
そしてこれだけの恐怖に立ち向かうときでさえ、
それはもっとも真下さんらしい表現方法なんだな、きっと。
そこに救われた講義でもあった。

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