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絶対価値とCSV経営について、メンバーズで15年間バカになってやってきたことを書いていこうと思います。

皆さん、初めまして。(株)メンバーズの取締役の高野と申します。2005年に銀行を辞めてメンバーズに入社し、主に経営企画や人事領域をやってきまして、今は管理部門全体の責任者をしています。私が入社して15年、メンバーズは設立25年、6年間の中期ビジョンであるVISION2020を終え、今年は新たに長期ビジョンであるVISION2030を発表しました。 という、いろいろ良いタイミングかなと思うので、メンバーズの15年間でやってきたこと、考えてきたこと、特に絶対価値経営とCSV(Creating Shared Value)経営ということについて書いていこうと思います。

まず簡単に会社の紹介です。メンバーズは企業向けに主にデジタルマーケティングの運営支援やデジタルクリエイターの人材提供をしています。Web制作会社というイメージの方も多いと思います。今も代表の剣持が95年に創業したもので、ネット業界ではかなりの老舗です。ここ数年は順調に成長しており、日経新聞が発表している中堅上場企業ランキングのNEXT1000の「従業員を増やした企業ランキング」(2018/2/19)では1位になりました。2017年に東証一部に上場し、現在は社員数は約1500名ほどいます(今年2020年4月入社の新卒約230名含む)。

10数年前は倒産寸前でした

当時のことを知る人はかなり少数派になっていますが、10数年前には倒産の危機に陥っていました。ライブドアショックの中でどうにか2006年に地方新興市場の名証セントレックスに上場してから、大口の取引先を失注し2期連続で赤字。その間、いろんな新規事業にチャレンジして、ちょっとうまくいったと思っても長続きせずに数年で撤退して大きな損失を出すことを繰り返す。うまくいっていないので役員同士は仲悪いし、いつも怒号が飛んでいる。社員は終電まで働くのが普通で、会社に泊まる、徹夜、土日勤務も当たり前。それでも成果出ないから疲弊してどんどん辞めていくので離職率は25%くらい。2年で社員が半分いなくなる。社長の剣持も全く元気ない。そこに2008年のリーマンショックも重なって、株価も暴落し、時価総額は上場維持基準を下回る3億円に(今の70分の1くらい、、、)。それでもどこからも買収される話があるでもなし。銀行は融資してくれない、監査法人にも逃げられる、仕入れ先からは担保を取られる。クライアントからも社員からも投資家からも誰からも必要とされていない、価値のない会社だったと思います。

何が変わったのか?

そんなメンバーズが前述のとおり近年は順調に成長して、東証一部に上場、社員数は1500名まで増加。Web制作に強いデジタルマーケティング会社として市場にだいぶ認知されてきていると思いますし、女性活躍推進やテレワークなどの働き方や人材育成の取り組みなどで表彰を頂いたり多くのメディアにも取り上げられるなど、外部的にも評価を頂いていると思います。倒産の危機に瀕していた当時を知る人たちにはよく「いい会社になったよなー」と言われます。

いったい何が変わったのか。潰れそうだった時代も今も優秀な人たちが一生懸命働いていることは変わらない。一生懸命働くなんて当たり前だし。外形的には戦略が変わったとか人を大事にするようになったとかともいえると思うが、その辺りは表面的な問題。より本質的には、企業価値を高めるためのスマートな合理的な戦略とかではなく、自分たちの好き嫌い、価値観をベースにした経営に変えたということ。そして競合との相対的な比較での強み、弱みではなく、メンバーズにしかない絶対的な価値、世界一のサービスを目指したこと。その過程で、我々は何者なのか、どんな価値観を大事にしているのか、社会にどんな価値を提供するのか、どんな未来を目指すのか、というミッション・ビジョンを明確にしていったこと。そしてそれらをCSV(Creating Shared Value。社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を同時に実現させ、社会と企業の両方に価値を生み出す取り組み)と強力に結びつけたこと。

潰れそうなときに好き嫌いで経営するとか、世界一のサービスを作るとか、全く馬鹿げていたと思うし、CSVなんてものは頭ではわかってもクライアントには全く求められていないし、社会課題の解決なんて余計に難しいし、普通に考えたら経営の効率を下げるとしか思えない。が、それでも10数年間、バカになってやり続けてきて、ようやくこの数年で自分たちのやってきたことの確からしさが見えてきた気がします。

まだまだちっぽけな会社だし、目指すところはまだ遥か先だし、自分たちが成功事例であるかのように書くのは気が引けますが、企業変革のケーススタディとしてはまあまあ面白い事例だと思いますし、メンバーズの経営が考えてきたこと、やってきたことはそれなりに多くの人に役立ちそうな気がしますし、何よりもCSVにチャレンジする会社、人たちを後押しできるもの、勇気づけられるものにできればと思っています。

次回、まずは「バカになれなかったメンバーズ」ということから書きたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。


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