添付文書を超えていく。グレープフルーツジュースとCCBの相互作用を調べてみる
こんにちは。
いま、わたしの職場の薬局には実務実習生が来ています。
服薬指導のロールプレイ、実際の患者さんへの服薬指導と学校ではなかなか学べない体験をしているところです。
先日服薬指導のロールプレイをしていて気づいたこと。
アムロジピンを服用中の患者さん。
薬剤情報提供書(いわゆる薬情)には「グレープフルーツとの併用は避けてください」の文章が。
実習生は当たり前のようにそれを読んで患者さんへ指導。
もちろん指導としては大正解です。
でもふと思ったんです。
こういう相互作用には薬によって「濃淡」があることを実習生も知っておいてほしい。
そこで論文を調べてみました。
以下はChatGPTで要約した内容です。
要約:
相互作用の概要: グレープフルーツジュースが腸内のCYP3A4酵素を阻害し、カルシウム拮抗薬のバイオアベイラビリティ(体内での有効利用度)を増加させることが1989年に発見されました。この相互作用は、特にフェロジピンなどの薬物で顕著に現れ、他のカルシウム拮抗薬でも程度の差はあるものの影響を受けます。
作用機序: グレープフルーツジュースの成分であるフラボノイドとフラノクマリンが腸内のCYP3A4を阻害し、薬物が体内で分解される前に吸収される割合を増加させます。この結果、血中濃度が上昇し、薬物の効果が強まることが確認されています。
カルシウム拮抗薬への影響: フェロジピン、ニソルジピン、ニカルジピンは、グレープフルーツジュースとの相互作用により、バイオアベイラビリティが2倍から3倍に増加し、血圧の低下や心拍数の上昇などの薬効が強まります。アムロジピンやニフェジピンも同様の影響を受けますが、他の薬剤と比べると影響は小さいです。
個体差: 人によって腸内CYP3A4の量が異なるため、グレープフルーツジュースの影響には個人差があります。CYP3A4の濃度が高い人ほど、薬物の代謝が低下し、相互作用が強く現れます。
推奨事項: カルシウム拮抗薬を服用している患者は、グレープフルーツジュースの摂取を避けるか、医師に相談することが推奨されます。また、他の柑橘類(セビリアオレンジなど)でも同様の相互作用が報告されています。
そして下の表は結果を表したものです。
この表からアムロジピンとグレープフルーツジュースを併用することによるAUCの変化は16%程度。仮に5mg錠を服用していたとしても、最大用量を超えることはなさそうです。ニソルジピンのそれ(AUC106%増加)と比較しても影響が少ないことがわかります。
このように、添付文書に書いている情報からもう一歩進んで相互作用の
「濃淡」を理解することで熱量を持った服薬指導ができるんじゃないかと考えています。
さらにこの知識は、患者さんのグレープフルーツジュースの好き具合によっても活用ができます。
毎日欠かさず飲む人、お中元、お歳暮のときだけ詰め合わせに入ってきて飲む人、全然飲まない人、そもそも嫌いな人。いっぱいいます。
相手の好みと今回の相互作用。うまく活用することで薬剤師としての視野が広がるような気がしませんか?
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