見出し画像

DPP4阻害薬におまけの作用があるって?

糖尿病領域において、SGLT2阻害薬の登場により少しずつその存在が薄くなってきているDPP4阻害薬ですが、中国の論文で抗炎症作用があるかも?という研究が発表されたので読んでみたいと思います。

Dipeptidyl-peptidase-4 inhibitors have anti-inflammatory effects in patients with type 2 diabetes

pmid:37493797

概要
目的:
体系的な軽度の炎症は、T2DM の発症とその合併症の進行につながる重要な要因であると考えられています。ジペプチジルペプチダーゼ 4 (DPP-4) 阻害剤は、T2DM 患者において潜在的な抗炎症効果を示します。このメタ分析は、T2DM 患者における DPP-4 阻害剤の抗炎症効果を評価することを目的としていました。
方法:
DPP-4 阻害剤の抗炎症効果を評価するランダム化対照試験を特定するために、PubMed、Web of Science、Embase、および Cochrane Central Register of Controlled Trials で包括的な検索が実行されました。定量的データ分析は変量効果モデルによって実行されました。プールされた結果の堅牢性を判断するために感度分析が行われました。
結果:
1595 人の T2DM 患者を対象とした 22 件の研究が含まれていました。統合された結果は、DPP-4 阻害剤療法が C 反応性タンパク質 (CRP) (SMD、- 0.56、p < 0.01)、TNF-α (SMD、- 1.69、p < 0.01)、IL-α の減少と有意に関連していることを示しました。 6 (SMD、-0.67、p < 0.01)、および IL-1β (WMD、- 8.21 pg/ml、p < 0.01)。リーブワンアウトメタ分析では、CRP と TNF-α のプール結果に有意な変化は見られませんでした。
結論:
このメタ分析では、DPP-4 阻害剤が T2DM 患者の低悪性度の炎症状態を大幅に軽減できることが実証されました。 DDP-4 阻害剤は、血糖コントロールの改善に加えて、炎症を制御することでさらなる治療価値を提供する可能性があります。
(pubmedXで翻訳してもらっています)

PECOで整理してみます。(全文読めなかったのでアブストラクトより)

P(どんな患者に?)
 25件のRCT(ランダム化比較試験)をあつめたメタ分析
 1595人の糖尿病患者が対象
E(どんな介入を?)
 DPP4阻害薬の投与
C(何と比較して?)
 投与しない(ここの記載はなかった)
O(どのように評価した?)
 CRP、TNF−α、IL−αの数値の変化

論文のチェックポイントは?

☑ランダム化は?
RCTを集めているので大丈夫そう
☑真のアウトカム?
炎症反応をみているので、必ずしも真とはいえない。
☑バイアスは?
アブストラクトには著者の独立性についての記載もない。
異質性も記載なし。

【どう感じたか?】
DPP4阻害薬を投与された2型糖尿病患者において、炎症反応の数値が下がっている。という結果。
捉え方は色々で、
「炎症の数値が下がったから、炎症を抑えてるのかも?」
または
「ほんとに炎症性疾患だったら、マスキングするのかな?」
と受け取ることもできそう。
以前、山本雄一郎先生から教わった
「ロサルタンには尿酸値低下作用がある」
というのを利用して処方提案したこともあるが、今回の論文はそういう使い方は難しいかな…。
でもいつか役に立つかもしれないから、頭の片隅にしまっておこう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?