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2020.10.15(金) new-old-vintage

ギター受難の雨と夏の季節がやっと終わった。湿度調節するやつ(調湿剤)を大量買いしたので、アコギとヴィンテージ系をいたわりつつケースに入れる儀式をする。ついでに記念撮影も。ギターを撮ると物撮りは難しいなっていつも思う。

プレベ、60年頃のやつ。20年位前に買った。リフィニッシュだから手頃だったし気を使わなくていい。ネックが細めでとても弾きやすい、がすっかりベースを弾けなくなっている...

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おなじみのハミングバード。

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なかなか手の届かない場所でずっと放置されているギルドの12弦もねぎらう。残念ながらこの一年間くらい弾いてない。もっと薄いナチュラルだったトップが、いつしか飴色になっている。よく見るとボディの隅にうっすらと茶色い汚れ。カビ?古いギターのケースの外側によくある汚れに似てる。

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12弦ギターっていうのは、これがないとできない演奏がある一方で、コレがなくてもほとんどのジャンルでは困らない、という代物。(エレキシタールも同様)。調理器に例えるならたこ焼き器とか? 少なくとも年がら年中必要なものではない(大阪の家庭を除く)。

このギルドは「AWAKENING」を録音した1991年、「目覚めの3月」のMVを撮りに行ったL.A.の楽器屋で買った。

超絶画質の悪い動画があった。画質の悪い動画って、実際よりも古く見えるなあ(でも29年前)。この頃はCGとかない時代なので、これはどっかの別荘のプールを借りて実際にずぶ濡れになって撮ってるわけです。たまに、このギターが写ってる(プールサイドで)。


この撮影の前日、同行してくれたレコード会社のスタッフに2時間半くらい待ってもらいながら、楽器屋でいろんなギターを弾きまくった。

虹の都へ」でトッド・ラングレン所有のオベーションの12弦を録音で使っているので、ライブも12弦を弾くことが多かった。そんなわけで、このギターに目をつけた。

散々弾き倒していたら、弦を2本も切ってしまい、だいぶ焦った。店のおじさんは笑いながら「これはもう、あんたのギターだっていうことだよ」とか言っていた。実際、そのとおりになったわけだが。あれ以来、楽器の試奏中に弦を切ったことは一度もない。

1973年製だから、当時だと18年前のもの。あの頃はヴィンテージギターといえば60年代のものだったから、ヴィンテージというよりは程度のいい中古。12万円くらいだったかな?

そんなギルドも今じゃ立派なヴィンテージ。2020年に買った2002年製の中古ギターのケースを開けている2049年の誰かを想像してみよう。はあ.... 時は流れたね。

デジカメもPCも大好きだけど、デジタルには「ヴィンテージ」の概念が通用しない。デジタル機器はデータを扱うための「器具」だから、最新のモノが古いモノの味わいよりも勝る。つまり性能が圧倒的に物を言う。儚い。

一方でアナログのヴィンテージを慈しむのも楽しいが、まあ手間はかかるし気も遣う。味と汚れは紙一重。手入れしてなきゃただのオンボロ。年取りゃ時には病気にもなる。人間としても、いいヴィンテージになりたいもんだ、と思う55歳。

ベースとかウクレレとか含めて25本くらいの竿がある。ギタリストとしてはやや多め?でも多分普通。結局今は、全部自宅に置いてある。なぜなら、この12弦を以前事務所の倉庫にあずけていた時、天井のエアコン近くに置いてあったからか、ヘッドが付け根からぽっきり折れてしまったから。名医によって完全に使えるまでに治ったが、傷跡は今も生々しく残る。

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せっかくなので、楽器を綺麗にした後、変なチューニング(全体一音半下げ・複弦を5度上)にしてサンプリングの素材を録った。そしてふたたびケースへ。今度はちゃんと弾くぞ。

最後に2009年にこのギターをイントロで使った曲「Black & White」を。







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