読書感想文:鷹の月/サム・シェパード
鷹の月
サム・シェパードと言う名前を言葉にした時、人は何を思い出すだろうか。
或いは思い出す以前に、知らない、と言う人も最近は多いかもしれない。
俳優、それが一番知られた肩書きだろう。
劇作家、俳優、カウボーイ、そしてアウトサイダー。
何者でも構いはしないけれど、彼は文章を書く。
詩集なのかもしれない。
モーテルクロニクルズは完成されていると翻訳者は言う。
鷹の月はもっと素朴でぎらぎらしていてとんがっていると。
いずれにせよ、彼と彼自身の醸したものには間違いがない。
原文で読み下すだけの語学力はないので翻訳でそれを読む。
翻訳だから難解なのか、それとも原文で読んでもそうなのか、それは、結局のところ私が翻訳を読んでいる限り分からない事柄だ。
それでも伝わってくるものがあるとすれば、それは乾燥だと思う。
どれほどの混乱と熱狂の果てにあっても、彼の言葉は乾いている。
彼の世界も乾いている。
その乾きこそが世界を形作っている。
(これも2007年ころ書いた文章だ。ところでこの本タイトルが鷹の月となっていてすごくかっこいいのだが、私はこれはいつも、U2の曲のHawkmoon 269か、アメリカのノースダコタにあるホークムーンという町のことではないかとずっと気になっていた。真偽を知る人はいないだろうか。)
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