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散文詩
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そのまま。もうちょっと若いころ(十数年前)書き散らした散文詩です。短歌の収納は今後考えます…。
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冬が来る
今年は
春も
夏も
秋も
無かった
ただ冬だけが来る
疫
そんな年だった
滅多にない
ようでいつか聞いた
はるか昭和の初め
今は老いた母の
小さな弟は
予防接種など胡散臭いものは長男には受けさせぬと言われて
ジフテリアで
死んだと聞いた
冬が来る
高梨
3年前
18
その男の訃報が
同期の間を駆け巡ったとき
そいつはまだ三十五歳で
突然心臓が止まったと聞いた
つまりは心臓発作
誰も言わないが
誰もが思っていた
過労だと
そいつは研修の同期で
優秀賞で
反りが合わずに
罵り合ってばかりいた
真面目な奴だった
人生を生き延びることの僥倖
高梨
3年前
32
冬の朝
ひょいと首出す
ひんやりと
底冷えのする朝ぼらけ
ひゃっと戻りておそるおそる
再度首出す冬の朝
到底ここから出たくない
一生ぬくぬくしていたい
オフトゥーン国は我が故郷
いっそここに永住したい
お布団恋しい冬の朝
ぬくぬく
ほこほこ
過ごしたい
高梨
3年前
21
明治生まれの
亡き祖母は
私が物心ついたとき
既に足が悪かった
いざって移動して
台所の冷蔵庫も遠過ぎた
孫が大好きで
いつも
樹脂の箱に
食べ物を入れてた
桃
黒棒
黒棒はもう食べ飽きたけれど
祖母には言えなかった
おばあちゃん
ぬるい桃でもいいから
高梨
3年前
21
昔
庭に
オレンジ色の躑躅があった
そんな色の躑躅を
よそで見たことがなくて
親に聞いた
「どうだんつつじだよ」
大人になって調べた
ドウダンツツジは白い花で
どうやら間違い
いまだに真の名が分からない
いつの間にか枯れた
木に寿命があることを初めて知った
あの木が好きだった
高梨
3年前
18