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変わる屋外広告 デジタル・3Dがけん引

 BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。今回のテーマは「変わる屋外広告 デジタル・3Dがけん引」です。駅の周辺やビルの上にある「屋外広告」は単に商品やサービスをPRするだけでなく、街の景観の一部にもなっています。最新技術で広告価値も高まっているようです。

日本の広告費はコロナ禍前の2010年まで右肩上がりに増え続けていました。2020年に新型コロナの感染拡大の影響で外食や交通・レジャーの業種を中心に大きなダメージを受け、広告もその余波を受けました。

コロナ禍で広告費は落ち込んだ

 2021年は6兆7998億円です。新型コロナの影響が続きましたが、下半期には東京オリンピックが広告需要を増やし、10月以降はイベントの入場制限が解除され回復基調になりました。

屋外広告は2010年まで3000億円前後で推移してきてコロナ禍でやや落ち込みました。2021年は2740億円。ファッションやエンタメなどの業種を中心に回復しつつあります。数字で見ると、屋外広告は回復傾向にあるんですね。

屋外広告の歴史


屋外広告で代表的なのが「広告ボード・ポスター」と「ネオンサイン」です。広告ボードは江戸時代から存在しています。広告面は手書きからプリンターを使った印刷が主流になっています。ネオンは1918年に東京の銀座に初めて出現し広がりました。昭和の頃は歌謡曲の題名や歌詞に入るほど普及しましたが、最近ではネオンは減少傾向にあります。地域の景観条例による規制が厳しくなったことや、ネオン管というガラスの管を加工する職人が少なくなっているのが背景にあります。光る看板としてはLEDを使ったものが増えています。2010年ごろから広がってきたのが「デジタルサイネージ」です

最新のデジタルサイネージ


実際に都内のデジタルサイネージの最新事例を取材してきました。東京都港区の青山ストリートボード(ライブボード)。20~30代の女性をターゲットにしていてハイブランドの商材に活用されています。午前7時から翌午前0時までの17時間、1時間に15秒の映像を8回流すことができます。くっきりしていて見やすい。明るい昼間でもきれいですね。
2021年7月から始まった新宿の「クロス新宿ビジョン」は3Dが売り物です。取材時にはまるで大きな猫が動いているかのような3D映像が2分間流れた後、広告が10分間流れていました。宇宙船が飛行している映像もありました。午前7時から翌午前1時までの18時間、1時間に15秒の映像を2回流すことができます。値段は1カ月80万円。広告が流れると足を止めてスマホで撮影している人も多かったです。この動画を見るために来る人もいて、広告効果が高そうでした。こちらの3D広告は新商品を打ち出す時に使われ、3Dと相性が良いゲームメーカーが出すことが多いといいます。

広告訴求効果を可視化


屋外広告はインターネット広告と比べると広告の効果が見えにくいといわれてきましたが、最近では屋外広告も効果分析ができるようになってきました。青山のライブボードはNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」を使って得られた消費者の位置情報などからサイネージを視聴している消費者の数(インプレッション)を割り出しています。性別や年代や居住エリアもわかるのでターゲット層の多い時間帯に広告を出すこともできます。

身近な場所では鉄道の中にもあります。サイネージの周辺にカメラを設置していて、撮影した画像から性別や年代などの乗客の情報をAIで解析して車両内の変化に応じて広告を配信しています。

デジタルサイネージの広告市場は交通広告も含め、今後も拡大する見込みです。2024年には2020年の2倍になる見通しです。印刷した文字や画像を掲示する広告ボード・ポスターからサイネージに変わり、複数の広告を時間を区切って出せるようになりました。つまり広告の枠が細分化されたんです。枠が細分化されれば媒体単価も細分化されます。これまでは値段が高くて広告を出せなかった企業や個人が出せるようになり、市場拡大が続きそうです。

 コロナ禍で値段も変化

デジタルサイネージもコロナ禍で値段に変化がありました。緊急事態宣言やまん延防止措置法といった規制で街に人が減りました。見る人がいなければ屋外広告の価値が下がります。総合広告会社オリコムの山本正博さんによると、クライアントから値引きしてほしいと言われ、定価は変えないままでキャンペーン価格として一定の値引きするケースがあったようです。外出自粛も緩和され、今回取材した新宿、渋谷も人出はかなり増えていました。今後も人流が回復すれば価格は上向きそうです。


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