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オフィス家具レンタル料金、職場環境向上で上昇

世の中の様々な値段がどのように決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。 きょうのテーマは「職場環境向上でオフィス家具レンタルの価格上昇」です。オフィス家具のレンタルは購入するより初期費用が抑えられ修理や廃棄費用が掛からない費用面のメリットや納付事務、損害保険の加入などの事務手続きも軽減できます。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

新型コロナウイルス禍からの経済回復や今後の景況感の改善をにらみ、
オフィス家具のレンタル需要が増えています。代表的なのは机やいす、テーブルです。こちらはレンタルバスターズが取り扱う机の1カ月当たりの平均レンタル料金になります。

レンタル家具のグレード上がる

3月の平均料金は1台990円。過去最高を更新しました。コロナ禍前の2019年と比べると12%上昇しています。机以外にもいすやロッカーなども上昇しています。個別の商品でみると物価高騰の影響が大きいです。部材費高騰を受け、オフィス家具大手メーカーが内田洋行は9月にデスク類を3~7%値上げするなど家具メーカーの値上げが相次いでいます。レンタル会社の家具調達コストが上昇し、料金への転嫁が進んでいるようです。
さらに物価高騰以外にもオフィス家具のレンタル価格を押し上げている理由があります。企業が借りるオフィス家具のグレードが上がっており、それが平均のレンタル価格上昇につながっています。

働き方改革につながる家具人気

オフィス家具レンタルのコーユーレンタルに取材してきました。この会社は約2000種類100万点のアイテムを貸し出しています。担当者は「オフィス環境を変えていきたいということで特に働き方改革につながるような商品の需要が増えている」と話します。社員の交流を活性化させ、新たなビジネスアイデアを生み出すためにフリースペースが主流になっています。リモート会議も定着しました。立ったまま作業できるよう、高さを自由に変えられるデスクや身体に負荷がかかりにくい椅子など高機能商品の需要が高まっていて価格を押し上げているそうです。実際にコーユーレンタルではオフィスチェアを例にとると、コロナ前に比べ平均単価が2倍に上がっているそうです。

建設工事の事務所向けがけん引

オフィス環境を改善するための高機能レンタル品の需要増。意外なけん引役がありました。建設工事の建設現場にある仮設事務所向けの需要です。コーユーレンタルではオフィス向けと、建設現場の仮設事務所向けが半々になっているそうです。

最近の現場事務所の写真をみて驚きました。だいぶ前になりますが、建設業界を取材していたことがあり、現場事務所もよく訪れていました。机やいすがシンプルに配置されていた印象があります。それがスタートアップのオフィスと見間違うようなおしゃれなスペースに様変わりしていました。
以前から人手不足だった建設業界は2024年問題で労働時間の上限規制が厳しくなり一段と深刻に、若い人に来てもらうには職場環境の改善は最大の優先事項になっています。大規模再開発やビル建設などは仮設の事務所は3~5年で撤収します。レンタルとの相性もいいようです。

ここで、きょうの方程式です。

「オフィス家具レンタルの値上がり=高機能化+職場の環境作り」

今後も伸びるレンタル需要

今後もオフィス家具のレンタル需要は伸びていきそうです。コロナで一時、減少したオフィス需要が戻ってきたからです。森ビルが まとめた2023年の東京23区の大規模オフィスビルの空室率は空室率が前の年から0.1ポイント減の5.8%となり、4年ぶりに低下しました。港区で「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」や「麻布台ヒルズ」などの大規模ビルが完成し、供給過剰が懸念されましたがテナント企業の増床意欲が旺盛で、空室率低下につながっています。都内ではほかにも日本橋や赤坂、品川などで大規模な再開発が進んでいてレンタル需要は加速しそうです。

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