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流行語トップ10に入選「eスポーツ」 飛躍への課題

スポーツ競技としてコンピュータゲームの腕を競う「eスポーツ」。今年の流行語大賞に入選しました。eスポーツは世界中で巨大市場を生み出しており、海外では巨額の賞金大会が開かれています。独マクドナルドがサッカーをやめて、eスポーツに注力すると発表して話題になりました。日本でも今年は完全に火が着いた感じでプロチームやリーグが続々誕生し認知度が上がってきました。
2019年に茨城県で開かれる「いきいき茨城ゆめ国体」で文化プログラムとして採用されたのもネットニュースで大々的に取り上げられインパクトがありました。COMEMOで11月15日に「eスポーツビジネス その魅力と可能性」というイベントを開いた際、茨城県の石田奈緒子・国体・障害者スポーツ大会局長にもご登壇いただきました。「すごいスピードで準備を進めている」と話していましたが、注目度はますます高まりそうです。

私が関係者から聞いた話では大きなスポンサーがつく大会が来年以降、続々と予定されています。eスポーツ市場はさらに盛り上がりそうですが、いくつか成長への課題はあります。

■ライトなユーザーの取り込み

eスポーツが社会に浸透するには観戦が好きな野球ファンなど、スポーツとして観戦するファンを増やす必要があります。サッカーゲーム「ウイニングイレブン」の大会を観ていますと、実況アナウンサーが試合を盛り上げ、ほとんどリアルのサッカーのパブリックビューイング会場と変わらない盛り上がり。
元朝日放送アナウンサーの平岩康佑さんは7月にeスポーツアナウンサーの専門会社を立ち上げました。COMEMOイベントで平岩さんは「技術論だけでなく、選手のバックグラウンドをきちんと紹介する実況で崩していきたい」と話していました。
ライトなユーザー、ファン層が拡大すれば市場はさらに成長していくでしょう。

■法規制、クリアできるか

日本では刑法や賭博法、景品表示法、風営法といったeスポーツにまつわる法規制が足かせになっています。現在は法規制の問題をクリアすべく、たとえば賭博法との絡みではイベント自体の参加費は無料にするなど、ゲームイベント開催会社も注意して運営しています。ビジネスチャンスとして専門の弁護士を育成しようとしている法律事務所もあります。

■バリアフリースポーツとしての認知度向上

eスポーツはバリアフリーなスポーツとしても注目されています。テレビゲームの操作ができる人であればだれでも対戦できるのが魅力です。ネットを使って対戦するので地域や国境すら関係ありません。来年の国体でeスポーツを採用した茨城県の石田局長は「年齢や性別を超えて皆が楽しめるものをやってみようか、ということでeスポーツ、という話が出た」と話していました。リアルのサッカー経験がない人でもサッカーゲームは楽しめます。実際に高校生のサッカーゲームの大会では女性も混じった文化部のチームがサッカー部員で構成するチームを撃破するというシーンも見られます。
バリアフリーなスポーツとして認知度が高まれば、ゲームに対する偏見や理解度の低さや偏見も少なくなっていきそうです。

■バブルではなく土台

11月23日に幕張メッセで開かれた日本最大級のeスポーツイベント「RAGE 2018 Winter」を観戦してきました。人気カードゲーム「シャドウバース」で初めて女性だけの大会も開かれました。場内はこれまでの大会に比べ女性客が多かったです。担当者も「RAGEで初めて女子トイレがいっぱいになった」と驚いていました。実況アナウンサーの平岩さんは「今のeスポーツを取り巻く状況は、バブルではなく土台。すでに大きな手応えを感じているが、来年はさらに大きくなるはずだ」と話しています。
CyberZの榊原龍介さんは「今はゲーム=遊び、という偏見があるが、徐々に価値観は変わってゆくだろう。RAGEではゲームを真剣にやっている、というところを見せていかなかれば。遊んでいるのでは絶対に勝てない世界だ」と語ります。アクセルとブレーキを重ねつつ、徐々に盛り上がっていくのでしょう。

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