ノリ_1枚目

食卓に欠かせないノリ、不作で値上がり

BSテレ東の朝の情報番組、日経モーニングプラスの「値段の方程式」。今朝5月31日のテーマは「ノリ」でした。明日から6月ですが、大手3社が相次ぎ値上げします。その理由を解説しました。
「味のり」などを販売する大森屋は6月3日出荷分から43品目を平均4%値上げします。ニコニコのりは平均3%値上げします。「朝食のり」を販売する白子は6月1日出荷分からノリ製品全般を1~8%値上げします。大手各社のこの規模の値上げは2年ぶりです。

ノリの取引価格が大幅に上昇しているのが大きな理由です。

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こちらが過去10年の仕入れ価格の推移ですが、ほぼ右肩上がりとなっています。ノリは約20センチメートル四方のサイズを1枚と数えます。2018年度は1枚あたり13.04円になりました。前年度に比べ8%ほど高く、40年ぶりの高値水準です。取引価格の上昇に伴い、ノリメーカーも値上げせざるを得ない状況になっているということです。

では、取引価格はなぜ上昇しているのでしょうか。実はノリは大凶作となって、市場への出回り量が減っています。

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こちらはノリが何枚、取引されたかを表す共同販売枚数のグラフですが、
18年度は63億枚。前年度比で10億枚(20%)減となっています。じつに47年ぶりの低水準です。メーカーの仕入れ価格が上昇しています。

大凶作の理由はなんでしょうか。1つは海水温の上昇です。ノリはほぼ全てが養殖です。育つ際の適温は10~20度とされていますが、昨年の冬は12月でも暖かく、水温が下がりませんでした。葉が育たなかったり、傷んだりするトラブルが発生しました。
もう1つが栄養不足です。通常、ノリが育つためには、栄養塩と呼ばれる窒素やリンを含む養分が必要になります。山から川を通じて海に流れるのですが、昨年の冬は降水量が少なく、生育に必要な栄養分が山から海に十分に供給されませんでした。これらの要因が重なり、生産量の減少につながりました。

きょうの値段の方程式はこうなります。
海苔の値段=冬場の海水温と雨量によって決まる

「ノリの需要ってどうなっていますか」とキャスターの八木ひとみさんから質問が出ました。「単価の高いギフト向けは横ばいか減少傾向にあります。総需要の3割を占めるコンビニ向けが需要のけん引役になっています」と答えました。八木さんが続けて「それならコンビニのおにぎりは値上がりするんですか」と尋ねます。「現時点で値上げの動きは出ていませんが、最近、コンビニで混ぜご飯や五穀米など、ノリを使わないおにぎりが目立ってきました。ノリの値上がりへの対策という一面もあります」と説明しました。

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番組の最後にキャスターの豊嶋広さんが「韓国産と日本産のノリの差はありますか」と聞いてきました。

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輸入量は年々増加傾向です。特に韓国が多いです。韓国は5年ほど前にノリの生産、輸出とも世界一になっています。国産の価格は高値のままになる可能性が大きいですが、国産よりも4~5割安く流通している輸入品が消費者を助けることになるかもしれませんね。



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