開通30周年の瀬戸大橋 車の通行は増えたが…

本州の岡山県、四国の香川県を道路と鉄道で結ぶ瀬戸大橋が10日、開通30年を迎えました。記事によると「車の通行は1日2万2千台と開通当初の2.1倍に増え、JR瀬戸大橋線は1日2万1千人が利用、人の往来や物流を支えるインフラとして定着した」とあります。

私が香川県高松市に赴任した1994年当時、瀬戸大橋は通行料金の高さがいつも批判されていました。瀬戸大橋を使う「瀬戸中央自動車道」の料金は岡山側の早島インターから香川側の坂出インターまで普通車が片道6300円でした。往復で1万円以上かかり、休日に個人で利用すのは相当の覚悟が必要だった記憶があります。

現在はETC装着車なら2270円。さらに休日割引もあります。その効果でしょう。車の通行量は上向きに。記事中でも「2017年度の車の通行量は計822万台と3年連続で最高を記録した」とあります。瀬戸大橋の後に開業した明石海峡大橋と大鳴門橋、瀬戸内しまなみ海道の効果もあり、本州と四国の交流が活発になって一定の経済効果が出ているのは間違いありません。

この記事にはこういう記述もありました。「瀬戸大橋の開通以前、岡山―坂出間はフェリーと鉄道の乗り継ぎで2時間以上かかったが、40分に短縮。この線区はJR四国の鉄道収入の4割を稼ぎだす大黒柱だ」。瀬戸大橋を通る「JR瀬戸大橋線」は岡山駅から高松駅まで71.8キロメートル。このうちJR四国が管轄するのは児島駅(岡山県倉敷市)から高松駅(高松市)までの44キロメートルです。JR四国が有する鉄道路線は855キロメートル。つまり距離にして全体の5%に過ぎない路線で4割を稼いでいる計算です。

裏を返せば、瀬戸大橋線以外の線区がまったく稼いでいない。この構図は90年代前半から変わっていないどころか、むしろ瀬戸大橋線の占める割合が高まっているかもしれません。

四国内の鉄道路線がなぜ苦戦しているのでしょうか。四国は4つの県を結ぶ高速道路の整備が進み、4県を8の字で結ぶ「四国8の字ネットワーク」の整備率は7割を超えています。この道路を四国内外の都市を結ぶ安い高速バスが走っています。利用者を奪われたJR四国は厳しい経営状態が続きます。

本四架橋の経済効果は四国の隅々にまで行き渡っているとはいえないようです。

消費が本州に吸収されていく「ストロー現象」を指摘する記事もありました。

消費は「ストロー現象」本州側に吸収…瀬戸大橋 : 読売新聞

 http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180410-OYT1T50037.html?from=tw

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180410-OYT1T50037.html



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