結論→講演は準備と練習が大事

数年前の小学校の教員研修を皮切りに、割といろんなところに呼んで頂けるようになりました。
(いや思い出すと愛媛時代もなんかアレルギーの話とか保護者向けにしてたかもですが)
今でこそ『人前で喋るの得意なんでしょ』キャラですが、昔はとにかく人前が苦手でした。

授業中に発表できなかった子ども時代

小学生〜高校までは、発表するのが苦手でした。人前で間違えたら恥ずかしいと思い、とにかく当てられたくなかった。授業中は絶対に先生と目を合わせないようにしながら気配を消すことに全力を尽くしていました。今でも自由質問の時間は基本的に手を挙げません(笑)

大学以降:意欲とチャンスの波

しかしそんな自分にコンプレックスがあり、大学に入ってからは出来るだけ人前に出ざるを得ない環境を作ろうと心がけていました。
たまたまアカペラも始めたので、これもまた人目にさらされる機会となりました。ライブを見に来た母は『あなたが人前で歌を歌うようになるとはねえ…』と言っていましたが(笑)
それからもサークルで部長をしたり、アカペライベントを企画したりと、軽く人前に出る機会は増えていきました。

大きな3つの経験

それでも毎回人前に出る直前は「おなかいたい」「帰りたい」となっていた(し、今もよくなる)のですが、転機となる大きな3つの体験がありました。

一つ目は、学生時代の初期にロータリークラブのキャンプ(?)に参加したことです。イベントそのものは滞りなく終わったのですが、参加費を出してくれたロータリークラブで報告をしなくてはなりません。
当時はパワーポイントなどなく、かと言って原稿を丸読みするのも不恰好なので、それはなし。
つまり、丸腰での演説になります。
何度も原稿を書き直し、完全に暗記するまで練習をして本番に臨みました。その甲斐あって報告はスムーズに終わり、しかも「とても良かった」と並み居るおじさま方からお褒めの言葉を頂きました。
しっかり準備をして臨めば、自分でもちゃんとできる。これが最初の成功体験となりました。

二つ目は、大学合唱団の定期演奏会です。
僕が部長をしていた時はたまたま医学部合唱団の25周年でした。いつもより大きいホールを予約して、OBステージも企画するという、まあまあ気合いの入ったイベントです。
僕は冒頭にステージで挨拶をするのですが、この時もガチガチに緊張していました。前の日の夜にお風呂で考えた台本を握り締めながら挨拶を進めたのですが、最後の最後にセリフが飛んでしまいました。
それは「ごゆっくりお楽しみください」、これだけです。
台本を丸覚えして臨むとこういうことが起こる。一言一句よりも、中身や流れを把握しておくことの方が大切なのだなと思わされた経験でした。

最後は、東京に来てからのことです。
成育医療センターに来た初年度、上司が学会でシンポジウムを企画しました。確か小児血液腫瘍学会だったと思うのですが、僕の担当は「精神科で使う薬について」でした。
当時僕は小児科のレジデントを終えたばかりで、精神科の薬は使い始めたところでした。しかも会場にいる50人はおそらく僕よりキャリアが上の人ばかり。ものすごいプレッシャーで滝のように汗をかきながら(そして直前に何度もトイレに行きながら)、話を終えました。
「やーもう二度とやらへん」と思いながら降段すると、一緒に行っていた心理士さんから「先生、『緊張する緊張する』って言ってたけど全然余裕でしたね」と声をかけられました。緊張しているように見えなかったそうです。
実は同じようなことを以前から言われていて、「いやいや」と思っていたのですが、この時はなぜか「あ、そうなんや。そしたら緊張するだけ損やん」と思いました。これはある意味僕の特殊能力かもしれませんが、この一言でその後の講演前の緊張がかなり楽になっています。

講演で大事なこと

一番大事なのは、もちろん中身を詰めることです。しかし、それをどう伝えるかも同じくらい大事です。そのためには何度も自分で流れを振り返っておかないといけないし、喋り慣れておかないといけません。

「人前で話すのが苦手だ」と言っている人の中に、練習を全然していない人がけっこういます。そんな状態だったら、僕だって緊張します(笑)。
しっかりと内容と流れを理解して、何度も練習する。ありきたりな結論ですが、これ最強です。

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