絵本探求講座第一期(ミッキー絵本ゼミ)第3回講座

2022.6.26.㈰ 
インフィニティアカデミア絵本探求講座第1期(ミッキー絵本ゼミ)第3回目。当日は所要の為、後日録画にて受講した。
この講座のタームも残すところあとオンライン一回とリアルゼミ一回の2回。1か月の何とはやいこと!
やや記憶も薄れかけておりますが、学び録を残します。

【講義内容】
1⃣ グループワーク:技法が特徴的な絵本の発表
2⃣ 子どもはどのように絵本を読むのか
3⃣ 子どもの心理発達と絵本

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1⃣ グループワーク:技法が特徴的な絵本の発表
前回5月の講義で、絵本の技法における専門用語を学んだが、今回はその復習・実践として「技法が特徴となる絵本」をそれぞれ持ちより、チームブレイクを経て全体シェアとなった。

わがチーム3では、この講座に先駆けて予習会を行ったが、確信のあるものやこれは技法と言えるのか判断がつかないという絵本まで、メンバー6人で実に27冊もの絵本が議題のテーブルに乗った。
ここでの勉強会の意義は大きく、メンバーの意見交換から更に技法を見る目が育ち、自己判断する軸にもなっていったと思う。この勉強会の10日後の講座にメンバーが持ち寄った本は、より精査されたラインナップになっていた。

講座当日、チームの代表として発表されたのは、

✿アッキーの『オーガスタスのたび』

【技法】①断ち切りはみだし ②タイポグラフィー ③見返しの工夫
絵全体で物語っている本で、絵も技法の入れ方もセンスを感じる。主人公のトラも愛らしい。手に入れたいと思ったが絶版本。中古は高値のようで残念だった。

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講座内で他チームから紹介され、印象に残ったのは、
『おしり』
【技法】① 裁ち切り②ノドと呼ばれる本の割れ目を利用したお尻の演出に誰もがほっこりするだろう。
孫が生まれたら・・・という妄想本棚に入れておこう。

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そして、
『おーい、こちら灯台』
これはまさしく技法のデパートだった。
【技法】①裁ち切り②ビネット③タイポグラフィー④フリップ・・・
日本語版と英語版を持ってきてくれたが、表紙タイトルのアルファベットが、灯台のデザインの一部になっていたり、全体を通じて“円”の意匠があちこちに認められ、絵と構成が凝っていた。ミッキー先生の解説により、この円の持つ意味を掘り下げられたのも興味深かった。
回る、時計の針、時間経過、人生の巡り、全方向に照らされる灯台の灯、灯台の断面図の円の中に見える灯台守の家族の人生・・・
“絵を読む”ことの面白さと深さを実感する。

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私の本棚にある絵本では、以下三冊を忘備として記しておく。
✿①『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』
【技法】・タイポグラフィー・裁ち切り
文字列のデザインが絵の一部になっており、ミッキー先生の解説によると、くねくね形には時間経過と距離が表されているとのこと。
2~3歳ころの息子の最も好きだった絵本。
ここから彼は機関車トーマス沼にハマっていったきっかけの思い出の本でもある。

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✿② 『地球をほる』
【技法】・裁ち切り・タイポグラフィー・ビネット・回しながら読む・
少しずつ回転させながら読んでいく構成。日本を出発した時には縦書きだった文章も、アメリカに着く頃には横書き・英語になっている。

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✿③ 『わたしのやま』
【技法】・裁ち切り・ビネット・Point of view・表裏二方向からの開き/タイポグラフィー
表と裏の両表紙から読める二方向視点の二つの物語。
表から読むと人間の羊飼いの視点で語られる山の世界で、裏から読むと狼の視点の山の世界。どちらから読んでも一言一句テキストが同じ。
それだけに、それぞれの見える世界の違いとその意味に面白みと気づきを感じ、また全体が思慮深い作品に感じられる。

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2⃣.子どもはどのように絵本を読むのか

<子どもの特性>
①物語世界を現実として生きている。
絵を見る力が圧倒的に強く、直観的・主観的に読むことで、即物語世界に飛び込み、その中で自分が生きている感覚。
右脳優位で、五感・想像力が優れている。

②文字を声として聴いている。
・たくさん読み聞かせをしてもらっている子供は・・・
    お母さんの声で聞こえてくる。
・たくさんの本を読んでいる子どもはは・・・
    登場人物の声で聞こえてくる。

③子どもは自分の見たいものだけを見る(身体能力的に視力・視野が狭い)

④時間感覚がない。
絵本の世界でも自由にワープし続け、ファンタジー世界に入りこむ。

子どもは大人の6倍の時間感覚がある!?という記事を見かけたが、確かに、子供の頃の1年はあんなに長かったのに・・・と思う。
因みに、これを「ジャネーの法則」と言うらしい。
"生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)"

自分の子育ての時、こんな知識があったらなと思った。もっと子どもたちを理解して、ゆったり豊かに育てられたかもしれないなぁと反省しきりだ。

3⃣ 子どもの心理発達と絵本
ここでは先生のご長男の絵本記録と、生活における成長発達に合わせた子育て中のエピソードを聞かせていただいた。
当時の絵本の記録は今の研究にもつながっていらっしゃるのは勿論であるが、お子さんの絵本から刺激された想像世界と現実世界にうまく付き合い、成長を適時に捉えて一緒に愉しみながら、また起こる現実に合わせた絵本を選書するなど、子育てを大切にされ、しっかり検証していらっしゃることに改めて尊敬の念を抱く。

次回の課題は、
「読者年齢と絵本」
年齢に応じた絵本を持ち寄り、検討していく。

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私の絵本活動は、対象が大人、公演という形態が多い。今回は絵本と子どもとの関係性にした講義だったが、小樽の絵本児童文学センターで学んで以来5年ぶりであった。
日常の生活に根付いていないと、絵本に向き合う上で、また読み聞かせ指導をする上で、大切なことを見落としがちになってしまうと感じた。


この講座では、先生お薦めの書籍も多くご提示していただいた。
中でも、
✿『子どもはどのように絵本を読むのか』ヴィクター・ワトソン、モラグ・スタイルズ編、谷本誠剛監訳、柏書房、2002、

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✿『絵本の心理学-子どもの心を理解するために』佐々木宏子著
新曜社  2000/3/1

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✿『クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々』ドロシー バトラー (著), Dorothy Butler (原著), 百々 佑利子 (翻訳)のら書店; 普及版 (2006/3/20)を読みたいと思った。

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☆ひとつ、私の中で咀嚼できていない部分がある。
講座の録画の中で、「幼少期から朗読教室で読み方を習ってしまうと、本から声が聞こえなくなる」といったようなことを先生がおっしゃっていたように思う。
朗読を教えている身として、この意味をもう少し詳しくお聞きしたいところだが、自分でも今少し考え、研究してみたいと思う。

最終講座、8/6の層雲峡でのリアルゼミにて、チームごと30分の研究発表がある。
我がチーム3も、先日、発表テーマと手法、役割分担を決めたところだ。
絵本の見方が、技法を学んだことで一層視点が変わったのが面白かった!と言うのがメンバーの共通認識。絵本を作る人は大変だね、という話から、
失敗しても未完成でも、自分たちの絵本を作ってみようということになった♪ メンバーが一気に湧いた!行程は手間がかかりそうだが、みんな自分の強みを生かして力を合わせて進んでいる。世界にひとつだけの絵本が出来そうだ!
リアルに会えるということもあり、8月最終講座にわくわくが止まらない。

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