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空の上の東京。

東京に住みながら、東京のホテルに宿泊する。

二年前までは考えもしなかったことだけれど、去年、そして今年と二年連続で、自分の誕生日付近に都内のホテルに宿泊するのが密かな楽しみになっている。

今年は、三井ガーデンホテル豊洲ベイサイドクロスさんへ。
(去年泊まった神宮外苑の杜プレミアも最高だった!)

何日も悩み抜いた末に、ここを選んだ一番の理由は、なんといってもロビーからの眺め。
36階という高さのロビーから見渡す、青い青い東京の街の写真に惹かれ、今年はここで一泊を過ごすことに決めた。

午後三時、チェックイン。
ロビーに足を踏み入れるとまず、大きな窓の向こう、一面の青色が目に飛び込んでくる。
光がたっぷり差し込んで、ロビーはぽかぽかとあたたかい。

お部屋は34階。
カーテンを開けると、眼下には東京の湾岸部の風景が広がっている。
東京湾の向こう、遠くにぼんやりと千葉県側の陸地が見えた。

Googleマップ片手に、遠くに見える建物の名前を探す。
持ち込んだ美味しい焼き菓子を食べる。
広いベッドにごろんと横になってみる。

ホテルステイでは、何をしても良いししなくても良い。そのゆるさがとても好きだ。

夕刻、窓の外は真っ青から淡いオレンジ色へ、そして深い濃紺へと姿を変えてゆく。
こんなにゆっくりと、日暮れを眺めるのは本当に久しぶりだ。

日が暮れると今度は、さっきまで青かった東京の街がキラキラと眩く輝きはじめる。
窓から見えるひとつのひとつの光が誰かの生活で、誰かの仕事で、誰かの足元を照らしている、と考えるとなんだか不思議な気持ちがした。
この小さな街にたくさんの人が鮨詰めで暮らしていて、その人の数だけ人生や暮らしがある、というのは巨大都市の魅力でもあり、なんだか奇妙にも感じる。

翌朝、日の出の少し前に目を覚ました。
窓の外はまだ暗いが、薄ぼんやりと空の際が明るくなっている。
立ち並ぶ高層ビルの真上に、爪で引っ掻いたような細い三日月が浮かんでいた。

少しずつ空は明るくなってゆき、やがて眩いばかりの太陽が顔を出す。
東京の街が、見る見るうちに赤く染まっていく。

夜明けを見届けた後はもう一眠りして、すっかり日がのぼり明るくなってから朝食会場へ向かう。

昔はこういうところにくると普段食べない洋食ばかり選んでいたけれど、最近はもっぱら和食派だ。
ご飯のお供をたくさん用意してくれているレストランほど、朝ごはんが楽しみになる。

朝ごはんを終えたら部屋に戻り、コーヒーを飲みながらぼうっと窓の外を眺める。
その日の予定や観光地に向かう時間などを気にすることなく、焦ることなく、チェックアウトぎりぎりまで素晴らしいお部屋や部屋からの眺めを満喫するのが、近場でホテルステイするからこその贅沢な楽しみ方だ。

午前11時、満たされた気持ちでホテルを後にする。
まだまだ気は早いけれど、来年はどこに泊まろうか。

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